第86回アカデミー長編ドキュメンタリー賞受賞作。数々の有名ミュージシャンの影で唄い、ロック史を支え続けてきたバックコーラスにスポットを当てた作品だ。ソロシンガーとしてデビューを夢見ながらあと1歩の所でスターダムに手が届かない彼女らは、それでも人生をかけて歌い続ける。探求を人生とした事がある人なら見た方がいい。「才能とは分け与えるもの」と言う彼女らの生き様からは悦びを共有し合おうとする歌本来の精神が伝わってくる。
人生山あり、谷あり。ミック・ジャガーに請われ、専任ボーカルとしてセクシーなアクトを続けた時もあれば、自身の売り時を間違え、スターになり損ねた者もいる。自身の歌声をボディダブルに使われたダーレン・ラヴが一時、家政婦にまで身を落としたエピソードは涙も出ない芸術家残酷物語だ。
人生の光と影を拾い集めたのはもちろん、バックコーラスからロック史を紐解いたのも面白い。人生の多様さを捉えた本作の原題は“20feet from stardom”だ。
『バックコーラスの歌姫たち』13・米
監督 モーガン・ネビル
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