長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『プリデスティネーション』

2020-03-01 | 映画レビュー(ふ)

 ロバート・A・ハインラインによる短編小説『輪廻の蛇』を原作とした本作の倒錯的なタイムパラドックスを解説できる自信はないので、プロットについての言及を避けておこう。イーサン・ホーク主演のSFサスペンスのような売られ方だが、真の主役は時空も性別も超えるサラ・スヌークであり、語られるべきは彼女の驚異的才能だ。

 HBOのドラマ『サクセッション』で歯に衣着せぬ物言いが痛快な長女シヴを演じ、一躍その名を知らしめたサラ・スヌーク。性格的にドギツイ役柄でありながら愛さずにいられないのは彼女のファニーフェイスに依る所も大きい。貫禄たっぷりの存在感にさぞかしの熟練かと思いきや、1987年生まれの32才だ。本作ではイーサン・ホーク演じるバーテンダーのもとに現れた謎の男に扮し、奇想天外な身の上を物語っていく…そう、スヌークはなんと男を演じている。意外やディカプリオ似のイケメン、彼女と知らなければ女優である事にも気付かないだろう。性差すら乗り越える独自の才能にイーサン・ホークも“お仕事”に終わらない集中力を発揮している。彼女が気になった人はぜひとも『サクセッション』を見てもらいたい。


『プリデスティネーション』14・豪
監督 マイケル&ピーター・スピエリッグ
出演 イーサン・ホーク、サラ・スヌーク、ノア・テイラー

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