Netflixで「アトランティスのこころ」(スコット・ヒックス監督作品 2001年)が配信されたので、また観ちゃいました。何度目だろう。
原作はスティーブン・キングの同名の小説。
キングは「イット」などのホラー小説で有名ですが、「スタンド・バイ・ミー」に代表される彼の子ども時代を描いた作品群が秀逸なので、私はどちらかというと、こちらの作品群のほうが好きです。
特に映画「アトランティスのこころ」は地味な作品ながら、アンソニー・ホプキンスが主演するなど、なかなか力の入った作品です。
この中で主人公のボブ少年を演じているのが、アントン・イェルチンです。残念ながら26歳という若さで亡くなってしまいました。
いい俳優ってなぜか若死にするよね。
ジェームス・ディーン、ヒース・レジャー、アントン・イェルチン・・
彼が主演した映画、
「オッド・トーマス/死神と奇妙な救世主」(スティーヴン・ソマーズ監督 2013年 原作はディーン・クーンツの小説)
も大好きな映画で何度も観ました。
惜しまれる俳優です。
そのアントン・イェルチンが少年時代に11歳の少年を演じた昨品がこの「アトランティスのこころ」。
「ザリガニの鳴くところ」でも書きましたが、アメリカの闇はなかなか深く、特に家庭内のDVや虐待については、映画や小説など様々な形で取り上げられてはいますが、厳しい現実はなくならないようです。
もちろん、日本にだってあるのだけど、ほとんど話題にすら上らない。黙殺されている。
なので、むしろアメリカの映画や小説から学ぶことは多いと感じます。
最初にこの映画を見たとき、私はこう思いました。
ボブははたして母親を許すことができるのだろうか・・
答えを知りたくて小説を読んだのですが、小説ではきちんと彼の成長過程が描かれ、成長過程の中でボブ自身が様々なことに気づいていき、母親も苦しかったのだと理解するようになるのですが、
この映画を見た限りでは、ボブの負った深い傷を埋めるものは一体あるのだろうかと思いました。
同じく映画「シドニー・ホールの失踪」でも同じテーマが描かれています(2019年9月17日の記事参照)。
本当に、家族の闇は深い。
しかし、子どもたちは子どもたちなりに育っていき、どんな家族でも彼らなりに理解し受け止め、大人になっていく、そうした過程をきちんと描いた映画やドラマはアメリカにはたくさんあります。
でも、日本にはあんまりないよね。
そこが奇妙というか、ないことにして蓋してるのか・・
きちんと言語化し、描くことで、何が起きたのかを理解し、受け止めることができるようになるのだと思うのですが、その辺が日本では曖昧にされ、まあ、誰にでもいろいろあるんだから、と一般化してごまかされてしまう、そんな気がしています。
なので、こうしてきちんと言語化して描かれた作品を見ることにより、自分が育ってきた環境について改めて見直したり考え直したりできるのだと思います。
家族や子ども時代にもやもやしたものを抱えている人はこうした映画を観ることをお勧めします。
繰り返し観た挙句、もういいか、って思えるようになって、ようやく乗り越えられるのかもしれません。
心の奥底に隠れているものをしっかり認識することによって、はじめて手放すことができるのだと思います。
それはともかく、この映画はどんな子ども時代を過ごした人にもお勧めです。
アントン・イェルチンの巻き毛と青い目がとてもチャーミングなので。