ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

「一汁一菜でよいと至るまで」土井善晴著

2022-11-26 10:47:19 | 

先日書いた土井善晴著「一汁一菜でよいという提案」に続いて、

この提案に至るまでを書いた、土井氏の自伝的な本、

「一汁一菜でよいと至るまで」(土井善晴著・新潮新書)

を読みました。

これがまたいい本でねえ、

ちょっと読み始めたらもう一気に最後まで、という感じでした。

一流の人ってやっぱり違うのね、というのが最初に感じた印象です。

土井善晴氏は料理研究家の土井勝氏のご子息です。

私がまだ子どもだった頃、NHKの「きょうの料理」に出演していた土井勝氏のことはよく覚えています。

大阪弁で語るやさしくて面白いおじさんという印象でした。

土井善晴氏もまた土井勝氏によく似たやさしくて面白い人です。

でも、彼の人生に一貫して流れているのは一流を目指すという真摯な姿勢でしょう。

フランスに留学してフランス料理を学び、帰国してからは「味吉兆」で和食の髄を学び、一流の料理人になるのですが、その彼が行き着いたのが、

家庭料理だったということ。

父親がこだわった「おふくろの味」に行き着いたというのは、自然の成り行きだったのかもしれません。

しかし、そこに行き着くまでに、一流を極めるという姿勢。

フランス料理と日本料理の違いは、「自我の発露」と「他者に委ねる」の違いであるとか、

懐石料理の極意とは、雑味を徹底して取り除き「澄ませる」「きれいである」を大事にする。それは日常から離れた非日常の世界に入るためであり、日本には古来こうしたあの世とこの世を繋げる「澄ませる」という文化があるのだとか・・

それが「ケ・ハレ」という思想に繋がり、家庭料理の美しさに行き着いて、

「一汁一菜でよい」という発想が生まれるわけです。

非常に哲学的な熟慮された思想がやさしい口調で語られます。

だからこそ、彼の「一汁一菜」は説得力を持つのですね。

「一汁一菜でよい」というのは、家事を楽にしようとか、手抜き料理をしようという発想とは真逆のところから来ているのです。

この本を読んでいると、まるで土井善晴氏が隣でしゃべっているかのような親しみを覚えます。

それでいて、内容は濃くどこまでも深い。

何度も繰り返し読んで、座右の書にしたい一冊です。

是非手に取って読んでみてください。

超々お勧めです!!

 

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ミニマリストをめざそう!(おまけ)ピッカピカの効用

2022-11-19 11:11:47 | 片付け

足の痛みもあり家の中も雑然としてきたので、思い切って家事代行を頼みました。

2時間で6千円というのは私にはかなりの負担ですが、この際仕方ない。

で、先日二回目のお掃除に来てもらいました。

とても若くて小柄な方で、この人で大丈夫なのかしら、と最初は思ったんですが、

ところがどっこい。

お掃除を始めて1時間半が経過した頃、ベランダ側の窓枠(アルミサッシが長年の結露と泥や錆で汚れまくっていた)が、

何とまあ、ピッカピカに輝いているではありませんか!

これにはびっくり。

時間が限られていたので完璧ではありませんが、とにかく期待以上の出来栄えで、大満足。

家がピッカピカになるって、心までピッカピカにしてくれるのね、

とようやく気づいた次第です。

ミニマリストの知人宅のピッカピカ具合ほどではありませんが、

アルミサッシがピッカピカになるって、すごく気持ちのいいことで、

さらに家の中が片づいて、隅々までピッカピカになったらどんなに気持ちいいだろう。

そしてそれは、私自身の汚れも落としてくれるような気がします。

夜、ベッドに入って(いつもそうですが)やらねばならないあれこれを思い浮かべて、

ああ、面倒だなあ、やりたくないなあ、

と気分が重かったのですが、そこに突然、

ピッカピカのアルミサッシが浮かんできてね、

そうだ、私にはピッカピカのアルミサッシがあるではないか!

と思ったのでした。

私のところにも、アルミサッシをピッカピカにしてくれる人が応援に駆けつけてきてくれたではないか、

と唐突にそう思って、

なんだか幸せな気分になりました。

たった一ヵ所ではありますが、

ピッカピカの効用って本当にあるんだなあと実感しています。

これからはこのピッカピカを維持するために、

私自身も頑張ってお掃除せにゃ、と思ったことでした。

それとも、あの人にまた来てもらおうかな。でも指名料がかかるので高くなるのだけど・・思案中です。

(掃除せにゃあ~)

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ミニマリストをめざそう!(おまけ)ほどほどに。

2022-11-15 11:00:51 | 片付け

去年、「ミニマリストをめざそう!」

というシリーズで家の片付けについて書いてきましたが、
(おかげでかなり片付いたのですが)

ここにきて、入院だの何だのいろいろあって、

元のカオスに戻ってきました。

私はミニマリストには向かないのだなあ、とつくづく思います(気づくの遅すぎ)。

というのも、知人たちの中に数人のミニマリストがいて(自らそう宣言しているわけではないが)、

皆さん、家の中が実にすっきり片付いている。

余計なものが何もなくて、趣味はお掃除だとおっしゃる。暇さえあればお掃除をしている。

キッチンも風呂場も洗面所もどこもかしこもピッカピカ。

玄関前には小ぶりの鉢植えがあり、いつも瑞々しい緑の葉を宿し、家の中に一歩入ればかぐわしいアロマの香り漂う、そんな素敵な家々にお住まいです。

でね、その人たちと私の何が違うかといえば、

やっぱり性格なのよねー。

それと、完璧主義、かな。

もちろん、家の中がすっきり片付いているからといって、誰もが完璧主義だというわけではありません。

普通に綺麗好きなだけかもしれないし、暇を持て余しているのかもしれない。

でも、一度モノを捨て始めると、捨てる行為自体に中毒性が発生し、どんどん捨てずにはいられなくなる、とミニマリズムにハマった人たちも言っています。

少しでも余計なモノがあると、捨てずにはいられない。

ゆるりまい著「わたしのウチには、なんにもない」にも、

「物を捨てたい病になった」「捨て魔」になったとあります。

一方、私には少々ADHDの傾向があり、娘にも同じような傾向があるので(遺伝的なものと思われる)、典型的な片付け苦手のタイプです。

でも、こういう傾向のある人が一端片付けにハマると、むしろ「捨て魔」になるのかもしれない。

ダメな自分を律しようと完璧主義に陥り、中毒になる危険性があるのかもしれない。

なので、言わずもがなのことですが、

ほどほどが大事。

それに、家を片づけて幸運が舞い込んできたとか、お金持ちになったとかいう話は、私の周囲では一向に聞きません。

「一汁一菜でよいという提案」にもあったように、毎日おいしいご飯を作らなくてはいけない、と思い込むことで大きなストレスをためこむように、片付けにも同じことが言えるのではないでしょうか。

大きなストレスは積もり積もってその人の運をよくするどころか悪くするのではないか、とすら思えてきます。

終活で家の中の片付けを始めた人は、どうか極端に走らないように。

ほどほどでいいのです。

家の中の散らかりよう、というのはその人の個性であり魅力でもあるので。

残された家族に迷惑がかからないようにと、片付けを始める人も多いかと思いますが、

家族って、お互いに迷惑をかけたりかけられたりするもの。

最後の迷惑はかけてもよいのではないか、と思います。

そんなことより、残りの人生をいかに楽しく有意義に過ごすかを考えた方が絶対にいいです。

それでも、あまりにとっちらかった家の中はやっぱり迷惑かしら?

やっぱり、片付け再開しようかなあ・・

(片付けって、始めるとけっこう楽しいのですよ。これこそが中毒性なのかも)

 

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外反母趾の手術・その後4

2022-11-11 13:14:59 | 日記

外反母趾の手術で入院し、退院してから2か月が経過しましたが、

右足の痛みと腫れはまだ少し続いています。

30分以上歩くとぐったり疲れて、家に戻るともう何もしたくない、という感じ。

毎日9時間~10時間寝ています。

かなり体力が落ちているようです。

毎日歩いてるのだけどね。疲れてるなあ、という感じが抜けません。

持病のリウマチから来るものかもしれない。もともと体に炎症がある上に骨を3本も切ったのでその炎症も加わり、治りが遅いのでしょう。

でも、必ず治ると信じているので、今しばらくはじっと我慢の子でいるしかないようです。

外反母趾の手術を希望される方は、自身の持病と相談して決めたほうがいいかと思います。

退院後に職場復帰が必要だとけっこう厳しいかも。

私も日本語レッスンは再開していますが(近所のカフェでやってます)

時間が短いのでむしろ楽しみです。

仕事は大事です。

趣味もいいけど、仕事って向き合い方が違うからね。

高齢者は特に仕事を続けた方が絶対いいです。

悠々自適、趣味三昧なんて大して楽しくもないだろうに、と貧乏性の私は(ひがみ半分)思ってます。

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「インサイドマンー囚われた者ー」

2022-11-07 09:50:12 | 映画

「シャーロック」の脚本家スティーヴン・モファットの新しいドラマがNetflixで配信されました。

「インサイドマンー囚われた者ー」

ミニシリーズで4話完結です。

これねえ、面白いかといえば、けっこう面白い。でも、賛否が分かれるドラマだと思います。

登場人物たちが酷すぎるので、ちょっとアホらしくなって中断したりしながらも、ほぼ一気見でした。

最後まで見ると伏線回収の爽快感があって、なるほどねえ、そう来たか、と思えるので、

それが好きな人にはお勧めです。

何しろ、今回の名探偵は死刑囚。

主演は「スーパーノヴァ」のスタンリー・トゥイッチ。同じく死刑囚の相棒が面会の際に同席します。彼は記憶の天才でレコーダー代わりに同席するのですが、この二人がすごくいい。

シャーロックとワトソンですね。

今回のストーリーは完結したのですが、続きがありそうで、今後もこの二人が名探偵役で登場するシリーズになるかと思われます。

次回も、たぶん観ると思う。

でも「シャーロック」ほどは惹かれない、そういうドラマです。

イギリス特有の皮肉とひねくれたユーモアが随処にあって、そういうのが好きじゃない人には向きません。

茶番劇、あるいはドタバタ喜劇だと思って観るのがいいかと。

実によく練られたストーリーで、さすがスティーヴン・モファットです。

もう少し毒気が少ないほうが私は好きかも。

それにしても、スタンリー・トゥイッチっていい俳優だなあ。

 

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