ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

イニシェリン島の精霊

2023-03-31 10:34:06 | 映画

この映画も今年アカデミー賞にノミネートされたようです。

「イニシェリン島の精霊」マーティン・マクドナー監督

マクドナー監督は映画「スリー・ビルボード」の監督です。主演がコリン・ファレル(パードリック役)とブレンダン・グリーソン(コルム役。「ハリー・ポッター」のマッドアイ・ムーディ役の人)

最初は何じゃこれ??と思った。

(以下ネタバレ)

二人のおっさんが意味不明なことでいがみあい、それがどんどんエスカレートしていくという、ただそれだけの話なので。

片方はついに自分の左手の指を切り落とす、という暴挙に出ます。

ここまで見て気味悪くなってね、見るのをやめたのだけど、続きが気になるので翌日後半を見た。

で、全部見終えてから思ったのだけど、

これって、ひょっとして、ラブストーリーなのか??

二人のおっさんのけっこう激しいラブストーリーなのか??

そう思って振り返ってみると、隠されたストーリーが見えてきます。

因習に囚われたアイルランドの片田舎の島、しかも時は1923年、本土では内戦の最中。

ゲイなんて絶対に認められない世界。その中で、二人とも自覚のないままに愛し合い、それがエスカレートしていきついに破局を迎える・・

自分の指を切り落として相手の家のドアや窓に投げつけるという行為はまさにアレでしょ。

自虐きわまりない愛。

それでも愛することをやめられない、

そういうストーリーなのかもしれないと思った。

最後に、家に火を放たれ、危うく死にそうになったコルムが海辺に立っていると、そこに火をつけた本人パードリックがやってくる。

そして、犬の世話をしてくれてありがとうとコルムがいい、パードリックは"Any time"(お安い御用だ)と返事をするというこの奇妙な会話は、恋人同士以外ではありえないでしょ。

非常にわかりにくい仕掛けになっているけど、

わかってみると、至極当然なストーリー展開で、そこに因習や意地悪な牧師や村人や息子を虐待する警察官や占い師の老婆や、そうしたいかにもな舞台装置が目くらましとして配置されているので、こちらはすっかり騙されて、なんじゃこりゃ、となるのですが、

全部見終えた後の後味はそれほど悪くない。途中までは薄気味悪くて見たくなかったのだけど、

終わってみると、印象に残るのは禁断の愛の不器用な表現、といった不思議な映画でした。

マーティン・マクドナー監督、恐るべし。

まあ、この映画についてはいろんな解釈があるようなので、これも解釈の一つだと思ってください。

とにかく主演の二人の演技がすごい。

恐ろしいほど荒漠としていて、恐ろしいほど深い愛とその破局が描かれています。

好きかと聞かれれば、あまり好きじゃないし、2回見ようとは思わない。

でも、「エブエブ」よりこっちのほうがずっとアカデミー賞にふさわしいと私は思うのだけどね。

(現在、ディズニー+で配信中です)

 

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Everything Everywhere All At Once

2023-03-27 19:42:31 | 映画

今年のアカデミー賞を総なめした映画

「Everything  Everywhere All At Once」(通称「エブエブ」)

を見てきました。

すごく期待したのだけどね、何度も寝落ちしそうになった。

何しろ長いのよ。2時間半もの間、絶え間ないアクションの連続の中にいると睡魔に誘われる、ということがわかった。

面白くなくはないのだけどね、わざわざ劇場で見なくてもいいかな。

これがアカデミー賞なら

「少林サッカー」「カンフーパンダ」だってアカデミー賞でしょ、と思った。

特に「少林サッカー」の面白さに比べると、今回のは詰め込み過ぎ。息つく暇もないのに眠くなるという不思議な映画。とにかくカオスな映画でした。

ミシェル・ヨーは好きな女優さんです。彼女の「グリーン・デステニー」はよかったなあ。

夫役が「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」に登場した少年だというから月日の経つのは早い。

それにしても、何度も言うけど、長すぎる

アクションぎゅう詰めの映画、あるいはカオスな映画が好きなら、それなりに楽しめるとは思いますが・・

(冒頭の写真は劇場でもらったポストカードです。これはちょっと好き)

《追記⦆ポストカードの裏にQRコードがあって、これを読み取るとアカデミー賞の授賞式のスピーチが聞けます。

 

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WBCで学んだこと

2023-03-23 18:40:07 | スピリチュアル

普段、スポーツにはほとんど関心がないので、サッカーもラグビーも野球も観ません。

でも、昨日はちょっと特別な日でした。

お墓参りに行き、墓地の花屋さんでWBCの日本対アメリカの試合をTV中継しているのを横目で見ながら、

日本が優勝するといいなあ、と漠然と思ってはいたけど、それほど熱心ではありませんでした。

お天気がよく桜がちょうど満開で気持ちのいい日だったので、家の中でTV見るなんてもったいないと思ってたし。

帰宅後に日本が優勝したことを知り、TVやネットの解説を聞いていくうちに、今回の試合が特別なものだったことがわかってきました。

奇跡って起きるんだ、とマジで思ったのです。

ここぞという時に力を発揮できたのは、やはり選手たちの才能と日頃の訓練の賜物なのでしょうが、

それ以上に何かの力が働いたとしか思えない、そういう瞬間がスポーツには時々あるようです。

それこそ、理屈では説明できない何かが降臨したような。

それをわかりやすく普通の人たちにも見せてくれるのがスポーツなのかもしれない。

準決勝メキシコ戦での村上選手の最後の一打、決勝アメリカ戦での大谷選手の最後の一球、しかもトラウトとの対決はまさにこの奇跡の瞬間といっていいでしょう。

今さら私が解説するまでもないのですが、こうした幸運というか偶然というか奇跡は本当にあるのだなあ、

そして、奇跡が起きてみると、それは必然だったのだ、と思えてくるから不思議です。

これらの瞬間は何度見ても、一瞬前とは全く違う世界が一気に開けたことがわかります。

一瞬で世界が変わる、それを私たちはこの眼で目撃した、その瞬間に立ち会った。

シンクロニシティというのは、こういうことを言うのでしょう。

私たちが一瞬ごとに生きていることを教えてくれる。

もしかすると、平穏な日々の中にもこうした瞬間は訪れているのかもしれない。

現に私がいるこの地球の上で、今まさに起きたばかりなのだから、私にも訪れるに違いない。

そんなことを思いました。

人生ってこういうことがあるから面白いよね。

もしかすると、奇跡だらけなのかもしれないよ、人生は。

 

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『星を継ぐもの』星野之宣作(JP・ホーガン原作)

2023-03-19 11:59:17 | 宇宙

昨日は一日冷たい雨だったので、長いこと積読だった漫画を読みました。

『星を継ぐもの/全4巻』星野之宣作(JP・ホーガン原作)

原作を読みたかったのだけど、何しろ文庫本で三冊もあるし、それぞれが300ページ超えの超大作なので躊躇していたところ、漫画があるというので買っておいたのだけど、長いこと忘れていた。

それを一気読みしたというわけ。

面白かった!

やっぱり原作読んでみたいなあ。でも、最近文庫本を読むのが辛くなってきたしなあ。こういうのは若いうちに読んでおくべきなんだよねえ。他にも未読の本いっぱいあるけど・・

これ、1970年代のSFだというから驚きます。

5万年前の宇宙服を着た人間が月で発見される、というところから物語は始まります。これが果たして地球人類と同じ人類なのかどうかと議論沸騰する中、なんと、木星の衛星ガニメデで100万年前の宇宙船が発見される。

この宇宙船と月で発見されたチャーリー(と名付けられた宇宙服の人)との関係や如何?

そして、話はさらに壮大になっていき、

チャーリーの手記を解読したところ、火星と木星の間にあるアステロイドベルト(小惑星帯)には、太古の昔、惑星ミネルヴァがあったという説が浮上してきます。

ミネルヴァは100万年前に破壊され、その残骸がアステロイドベルトになったという。このミネルヴァと宇宙船、そしてチャーリーとの関係や如何?

また、宇宙船に格納されていた地球の太古の生物たちは、何のために輸送されるところだったのか・・

謎が謎を呼び、ストーリーはどんどん壮大になっていく。

そして、ついに消えた惑星ミネルヴァで暮らしていたミネルヴァ人が宇宙の彼方から地球にやってくる。

戦いに明け暮れた人類の誕生の秘密、平和を愛するミネルヴァの巨人たち・・

話がどんどんどんどん大きくなっていき、

最後の最後に、ミネルヴァ破壊の原因が明らかになるという見事な伏線回収で締めくくられます。

原作はちょっと違うらしいのだけど。

面白かったなあ。

で、思ったのですが、SFを読むときはやっぱりある程度科学知識があったほうがよい。

最近、小惑星探査機はやぶさや「宇宙兄弟」などで基礎的な知識(小学生レベルですが)は身に着けていたので、より面白く読むことができました。

太陽系の惑星の構成とか、木星の衛星が何個あるとか、ミネルヴァと呼ばれる架空の惑星(アステロイドベルトになった)はどの辺にあったのかとか、月がなぜ地球の周回軌道に収まっているのかとか・・ある程度しっていたほうがより面白く読める。

良質のSFを読んでいると、この世界そのものが実はフィクションなのではないかと思えてきて、この先にどんな展開が待ち受けているのだろうか・・

たとえば、宇宙人が地球に降り立つ日はもうすぐ来るのかとか・・

現実とフィクションの区別がつかなくなりそうです。

そして、これを一つのストーリーに仕立ててくれたJP・ホーガンという人は凄い作家なのだと改めて思いました。

SFの世界、また覗いてみたくなりました。

文庫本は字が小さいので次からはkindleで読もうかな。

 

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「宇宙兄弟」を最後まで見た

2023-03-16 17:58:09 | 宇宙

アニメ版「宇宙兄弟」をついに最終話99話まで見ました!

この2週間はなんて幸せな時間だったろう。

毎晩「宇宙兄弟」の続きを見て、幸せな気分に浸りながらぐっすり眠る、という習慣がついてしまった。

これを見ると、気持ちが穏やかになり楽しくなり、人生何があっても大丈夫、と思えてくるのだから不思議。

ときおり混ざるジョークやさりげない人生訓の数々。漫画家小山宙也て天才だなあ。

特に後半のヒビトの挫折と復活劇は見事でした。

最終章ではどうなることかとハラハラしたのだけど。

だって、最終章よ、これでおしまいなのよ、なのにヒビトったら・・

という感じだったのですが、

見事に収束し、完結したのだから、その力量たるや本当にすごい。

アニメの放映が2012年~2014年と古いので、現代だとちょっと微妙ですが。でもまあ、フィクションの世界なので・・。

というわけで、前半はムッタのコミカルな言動(こち亀の両さんみたい)に笑い転げ、後半はヒビトの不運にハラハラドキドキの連続でした。

そして、やはり高度なテクノロジーといえども、中心にいるのは人間なのだと。一人ひとりの人間の複雑な感情やそれぞれの来し方行く末をぜんぶひっくるめた上でのテクノロジーなのだ、ということを、実に見事に描いてみせてくれました。そのバランスが崩れたとき、大きな事故や災害に見舞われるのでしょう。

あの事故はヒビトにとっては不運ではあったけれど、乗り越えるべき障害であり、まさに、

「失敗を知って乗り越えたものなら、それはいいものだ」(3月9日の記事参照)

を身をもって証明してみせたというわけ。

そしてまた、これは兄弟の物語でもあります。

Neflixのドラマ「ベター・コール・ソウル」がそうであったように、兄弟というのは実に複雑なのだなあ。兄弟姉妹のいない私は物語の中で想像するしかないのですが、仲の悪い兄弟もいれば、まるで生まれる前から申し合わせてこの世にやってきたような、ムッタとヒビトのような兄弟もきっといるに違いない・・

そういう想像をたくましくさせてもらいました。

さて、これからどうしよう・・

もう一度最初から見直して、漫画も読んだりして・・二度目だと、どんな印象になるのか、それもまた楽しみだけど・・

終わってしまった、という一抹の寂しさもある。

とにかく、人生の中でこんなに幸せな2週間というのはめったにない経験で、これからもあるかどうかわからない、

そんな貴重な2週間でした。

ありがとう、小山宙哉先生!

まだ見ていない人たちは何て幸せだろう。これから第一話から見始めるんだから。

というわけで、まだの人はぜひ見てみて。

これを見るためだけに一カ月Huluに入っても損はありません!

(でもさあ、宇宙好きな人ならもう見てるにゃん)

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