満天の星と天の川の下、標高2600m超のテン場を一人占めする贅沢な夜をすごし
10月6日未明に起床
去年10月、霙の降った槍沢程では無いにしても中々に寒かった。
俺の別荘(笑)!
フライシート(テントの外張り)の外は夜露、内は結露がパリパリに凍りついていた。
5時を過ぎると空が少しずつ明るくなってくる。
雲海の下には安曇野市が・・・夕暮れには街の明かりが見えていた。
薄暗い空に浮かび上がる槍や穂高のシルエットを眼にして、今朝の天気が良い事を確認。
急いでテントを撤収した後、地球が創った芸術作品を観賞する。
誰よりも早く外に出て・・・
独り占めに出来る場所で「貴方がくれた、この風景♪愛しく想っています♪」なんて歌ったり
誰よりも永く眺めていた・・・。
山の良さには色々ある。
その姿が美しい山、ルートが険しい山、頂から見る景色の素晴らしい山・・・。
そんな山々の頂に立ちたいと人は想う訳だが、
この『蝶ヶ岳』は人気のある穂高連峰を一望にできる。
その眺望は北アルプスでも、トップクラスの『頂から見る景色の素晴らしい山』だ。
多くの人に、写真には収める事の出来ない迫力を、その眼で見て欲しい。
(危険な山では無いのだし! 熊いたけどね・・・・笑)
ずっと眺めていたい素晴らしい眺めだったが、そうも行かない。
今日はここ蝶ヶ岳から、涸沢まで行くのだから!
涸沢カールまでの一般コースタイムは以下
蝶ヶ岳→2:30→横尾→1:00→本谷橋→2:00→涸沢。計5:30分の道のり!
とは言え、何度も足を止め穂高連峰に見入ってしまう・・・・。
蝶ヶ岳から横尾まで標高差1000m以上を一気に下り、
今見ているこの↓
『涸沢カール』(遥かな昔、氷河が削り取ったすり鉢状の地)まで登る訳だ。
(上下写真、中央のすり鉢状の地が涸沢)
幾度も足を止めて、今まで登った山、そしてこれから登る山を眺めた。
↑左から・・・、前穂3090.2m→奥穂3190m→涸沢岳3103.1m→北穂3106m大キレット
南岳3032.7m→中岳3084m→大食岳3101m→槍ヶ岳3180m。
立ち止まって眺め・・・ニヤニヤしているだけで、時間がどんどん過ぎていく(汗)。
7:15分、いい加減未練を断ち切って 下山開始!
蝶ヶ岳の稜線の日陰は未だ霜がビッシリ↑ こちらは日向↑
稜線から少し下って行くと樹林帯に入って行く事になる。
ここで槍は見納かと思ったが・・・足に負担のかかる横尾への急斜面を下りていくと
槍見台なる場所があり、そこで眼にした姿がこの旅で見た槍の最後の姿になった。
横尾への下山で親指の裏にデッカイ豆が出来たが、痛みを無視して横尾まで下山して辿り着いた横尾→本谷橋→涸沢間は、紅葉を眼にしようと涸沢に向かう人達でいっぱいだった。
本谷橋を過ぎると斜度がキツクなって、蝶ヶ岳からの下山で疲れた足腰には正直こたえる。
しかし涸沢に近づき高度を上げていくと、周りの木々が色付き始めてくる・・・・。
ナナカマドの赤とダケカンバの黄色・・・
生憎の曇り空でも、この色彩!晴れていれば、どれ程美しい事か・・・。
疲れなんて消し飛ぶ!全てが報われる。
自然の美しい景色に感動できるのは人間だけなのだろうか・・・。
犬だって自然の中へ連れて行けば喜ぶしな・・・。
生き物は自然を眼にすると何か感じるものがあるのだろう。
そんな事を想った。
俺は涸沢小屋方面から涸沢に入る道を選んだ。
石段を上り涸沢とテン場の入り口に至ると、見たことのあるツェルトが・・・
新島々駅で御一緒したAさんのツェルトだった。
姿は見えないが、恐らく北穂を登っているか、ヒュッテで「おでん」と「酒」でも飲んでいるのだろう(笑)
12:40分、涸沢到着。
先ずは良い幕営地を探さねばならない。
涸沢のテン場は角ばった岩がゴロゴロしているので、平らに均してある数少ない場所を確保しないと寝返りも打てない夜を過ごす事になるのだ。
今回の俺は、運良くいい場所が開いていたので(ヒュッテに近く平らだった)ラッキーだった。
『テント設営両500円、水は無料、トイレはチップ制100円』
昼食を作る為に水を汲みにヒュッテにいくと・・・テラスで酒を酌み交わしているAさんを発見!
この時は挨拶程度ですましたが、夕暮れ前に新島々でのお礼にAさんへビールをご馳走して、Aさんと俺そしてもう一人の方3人、テン場で日が沈むまで山と星の話をしていた!
(寒かったけどね・・・)。
その後、テントの中でチーズクリームリゾットと小屋で購入の白ワインハーフボトルを堪能。
涸沢の紅葉はこんなモンじゃない!
明日に期待!
朝日の中の紅葉を目にする為に20:00には就寝。
↑テン場から見た涸沢ヒュッテ方面 テン場から見た涸沢小屋方面↑
↑テン場から見た大雪渓 涸沢小屋から見たテン場と涸沢ヒュッテ↑
明日は紅葉を眺めながら奥穂を登り、吊尾根→前穂→岳沢へと向かいます。
つづく