毎月 幾つかの介護施設を音楽訪問しているが 印象的な方は多い
昨日の施設は 比較的元気な方が多く メンバーも少し入れ替わっていた
明るい男性が私とは初めてだが 声をかけたり短い会話を交わす
今日は皆さん いつもより大きな声で私も嬉しいですよ
こう言いながら なるべく全体に眼を配る 眼が合うと嬉しそうな方も居る
毎回 先生が好きよと言う女性も 大きな声で歌っている
最前列にいつも案内されている女性は眼が不自由だ
ここでは毎回 5.6曲の歌詞を 全員に配布され これを先に歌う
だが この方には配らない 見えないからだ
この5.6曲が終わると 私が模造紙で用意した歌詞をホワイトボードに貼る
歌詞を見ないで歌っているか 歌えているか 時折 私が伴奏しながら様子を見る
しっかりと 噛みしめるような雰囲気で 殆どの歌を歌っている
その方の声を聞き分けたことは無いが きっと心に刻まれた歌を辿っているのだろう
私たちも 高齢者の方も 童謡唱歌や懐メロは いつまでたっても忘れられない
繰り返し聴いたり 歌ったりした歌は 脳のレコードに刻み込まれているのだ
眼が不自由でも 歌は歌える かけがえのない心の友だちなのだろう
皆さんに癒しの時であったら 楽しさを少しでも感じてくれたら 私も歌に感謝だ
柔和なお顔だが笑顔は分からない 心の中できっと笑顔になっていると思う
10年くらい前に全盲の皆さんに 日帰りバスツアーを企画したことがある
行き先は潮来 ホテルで食事と入浴 そして あやめまつりに行った
この時期になると あるいは あやめや菖蒲を見ると いつも思い出される
企画も添乗も私 案内に言葉を選ぶのに苦労した
見えない風景 様子を健常者なら簡単に伝えられるのに どう言葉にするか
かなり難しいものであった それでもバス車内は明るかった
全員にヘルパーさんがついてはいるが 嬉しそうな笑いも聞こえる
昔なら 家に閉じこもっていたりするしかないが 今はこうして観光にも行ける
見えなくても 風が違う 空気が違うと感謝していた
入浴はさすがに 女性のヘルパーさんは 男性と一緒に来れない
私が3人 順番に案内した 脱ぐ場所 浴槽まで 一人づつ案内する
蛇口の位置を手を取って案内する 貴重なヘルパーさんの苦労体験が出来た
あやめ園では 皆さんが付添ではあるが 散策している
咲き誇るあやめが 心の眼にどう映っているか 私も考える
私は あやめを2株 咲いてる鉢植えを買ってきた
バス車内でぐるっと回して貰い 花に手を触れ 香りも感じて貰う
愛おしそうに 花にそっと手を添えたり 形を確かめたり それぞれ味わう
健常者ならすぐそこに見える風景 心の眼はどう見ているのだろう
ただ同情だけでは無い 一人の人間として しっかり生きて頂きたい
そのために 社会や行政や私たちが 出来る範囲内で助けとなろう
後日 この方たちと歌の機会を作った 皆さん上手で私の方が緊張した