旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

港ヨコハマから桑都・八王子まで 横浜線を完乗!

2020-06-20 | 呑み鉄放浪記

 横浜鉄道の開通は明治41年と云うから、当時の国鉄の延伸と比べてかなり早い。
当時、日本の主たる輸出品「生糸」を甲信から
横浜港へ運搬することを目的としていた。
なるほど地図を開くと納得なのだ。ちなみに中央本線は明治39年に塩尻まで延びている。

起点の東神奈川駅前から真直ぐ1キロ進むと瑞穂埠頭、横浜港が見渡せる。
新港ふ頭に停泊しているのは "にっぽん丸"、大さん橋は "飛鳥Ⅱ" だ。
この辺りの再開発地区を COTTON HARBOR と云う、SILK HARBOR じゃないと話が繋がらんなぁ。

今日は東神奈川から横浜線に揺られ、生糸と逆走して八王子辺りの酒場を訪ねてみたい。

京浜東北線の複線を切り裂いて、2・3番線に横浜線のE233系が並ぶ。
爽やかな緑と黄緑のラインを纏い、サイドには YOKOHAMA LINE と白抜きされている。

東神奈川を発った8両編成は、高架に上がって東海道本線を跨いで北に転進する。

 4つ目の小机は思いがけず長閑な駅、畑の土の匂いがするね。
ネギ畑を左手に5~6分歩くと日産スタジアムの大きなスタンドが見えてくる。
J1リーグの再開も決まり、7月にはスタンドにトリコロールが揺れることだろう。

 旅程の中ほど、町田から橋本の10.9kmは長い長い直線区間になっている。

 意外にも町田は結構な都会であった。JRと小田急の駅を結ぶパークアベニューは人の波。
ちなみに横浜線の場合、町田駅の乗車人数は、2位の新横浜に大きく水を開けての第1位。
郊外にあっては、JR線と私鉄線は駅が連絡しない方が、地域経済は潤いそうだ。

都県境を越えると長さ1キロ弱の新相原トンネルを潜る。なんだか遠くへ旅している様だ。

夕やみ迫る中、緑と黄緑のラインの8両編成が大きく左カーブを切ると終点の八王子。
42.6Kmの旅を終えた5番線の線路は、往く手を車止めで塞がれている。

 

 北口の「酒蔵一平」は昭和風情の大衆酒場、なんと9:00AM開店で朝酒も楽しめる。
隣はスナック、手前はお風呂屋さん、かなり混沌とした界隈にあかちょうちんが灯る。
甲州街道八王子宿の頃から、この辺りは花街だったと云う。

「丸くなるな星になれ!」まずは黒生をジョッキーで呷る。
こんな大衆酒場だから、アテはオーソドックスに択ぶ。まずは "ポテトサラダ" これ基本。

地元青梅の "澤乃井 大辛口"、すっきりした香りにキレある本醸造を一杯。
"マグロ山かけ" は山葵をたっぷり溶いて、つんとくるけどさっぱりと美味しい。

二杯目は "純米吟醸 高尾の天狗"、天狗を彷彿させるラベルの「紅」が鮮やかだ。
やや辛、スッキリした喉ごしの純米吟醸のアテは、濃厚な味噌ダレの "ナス田楽" を。
この酒、八王子の好適米を諏訪の蔵元に送って醸す、飲食店や農家によるプロジェクトだ。
昔は生糸、今宵は酒と味噌?、思いがけずふるさと信州を感じた八王子での一杯。
横浜線の旅は終わるけど、鉄路は甲州そして信州にむかって緩やかに勾配を上って行く。

横浜線 東神奈川~八王子 42.6km 完乗 

Yes-No / オフコース 1980