ZはR254をひたすら北上し、東武東上線の急行の終点小川町で左に折れる。
槻川に沿ったワインディングを楽しむうちに、関東平野と秩父盆地を分つ尾根筋に駆け上がるのだ。
標高500m、尾根筋まで続く広大な斜面で約1,000万本のポピーが涼風に揺れている。
決して溶け合うことのないポピーの赤と、澄んだ空の青のコントラストが美しい。
カランカランと鐘の音が響いて秩父高原牧場、見下ろすのは “あついぞ!熊谷” あたりか。
仔牛や羊が遊ぶ放牧地に子どもたちの歓声が聞こえる。
お嬢さんたちの真似をして、右手のスマホで撮ろうと思うが、なかなか上手くいかない。
そうこうしているうちに濃厚なミルクが指に絡んでくる。口を窄めて冷たいソフトクリームが美味しい。
尾根を越えるピークは天空の展望台、東に関東平野、西に秩父の山々を眺める。
ひとつふたつとカーブに身体を合わせると、突然、視界いっぱいに赤が広がる。
ところどころにピンクやオレンジを従えて、赤いシャーレーポピーが彩る牧草地はまさに天空の楽園。
槻川の谷まで降りて、今度は県道11号を定峰峠へと登っていく。
この峠はヒルクライムの入門的なコースらしく、多くのロードバイクとすれ違う。
走り屋の若者たちを描いたアニメ「頭文字D」の聖地に、名物「定峰峠の鬼うどん」がある。
っとタイガーカラーのZが停まっている。なんだか嬉しい。
冷たい麦茶を飲みながら10〜15分、本格手打うどんの茹で上がりを待つ田舎家での時間を愉しんで、
ゴボウ、ニンジン、おろし大根、かつおぶし、天かすを満載して “きんぴらからみ鬼うどん” が美味しい。
涼しい早朝に発ってワインディングを走り、ご当地グルメを楽しんだら、昼下がりには帰路につく。
夏のツーリングは始まったばかりなのだ。
<40年前に街で流れたjazz fusion>
Hello Goodbye / The Square 1983