青春18きっぷ、残った1回分で首都圏の外郭を周る水戸線を呑み鉄旅。
起点の小山駅は久しぶり、東口へと延びる自由連絡通路が抜けて様変わりをしている。
水戸線のホームは15・16番線?どれだけ大きな駅なのかと訝しむ。
勝田行きが下館駅に着くと向かいのホームにSLを見つた。迷わず予定外の途中下車。
C12型はローカル線用のタンク機関車、トーマスみたいなタイプ。南樺太や台湾でも走った。
出発の様子は小さいながらも迫力があって、汽笛の一声には構えていてもドキッとする。
笠間駅は南に筑波山を望む田園風景の中に在る。
ここから北へ20分、日本三大稲荷に数えられる笠間稲荷神社を訪ねる。
バスの便は日に10本程度、朝夕に集中しているので訪れる人のダイヤではない。
駅前には立派な観光案内所があるから、ここのレンタサイクルを利用すると良い。
笠間稲荷神社の御祭神は、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)、農牧、水産、養蚕を
はじめ殖産興業の神だそうだ。家族連れが多く三世代のお宮参りを数組見かけた。
門前はそれなりに賑わい、参詣客は名物笠間いなり寿司や、くるみ饅頭のお店に足を止めている。
ボクはと云えば吹き出す汗に甘いものより生ビール、で並びの蕎麦処の暖簾を潜るのだ。
格子のガラス戸、クラッシクな柱時計、2階の座敷へ上がる急な階段、壁一面に食器棚、
老舗の雰囲気十分な店で、お奨めの大きな油揚げが入った "いなりそば" を注文する。
お蕎麦が来るまでは、お決まりの生ビールで人心地なのだ。
門前の笹目宗兵衛商店は "二波山" と "松緑" の醸造元、神社に御神酒を奉納している。
明治維新に際して、笠間藩主牧野家から蔵の経営を譲られた時に銘柄を賜ったそうだ。
「二波山 松の緑りの 色たけく よろずよかけて なお榮ゆらん」と
三度車中の人となる。車窓に実りの風景を見ながら、仕込んだ "蔵出し原酒" を愉しむ。
割り水を一切していない20°のお酒は、冷酒かオン・ザ・ロックが美味しい。
笠間から山裾に沿って走ってきた水戸線は、常磐線の複線に合流して友部駅に終着する。
「水戸線」ではあるが水戸駅までは達しない。でも電車は水戸や勝田まで乗入れている。
飲みきれなかった蔵出し原酒は上野行きに乗り換えてから楽しもう。
<40年前に街で流れたJ-POP>
愚図 / 研ナオコ 1975