旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

Taipei メトロに乗って 淡水名物阿給と蒜香醃蜆仔と紹興酒と 淡水信義線を完乗!

2024-07-13 | 旅行記

精悍な青いラインを流して、6両編成のC301型が北投站に駆け込んできた。
北回帰線上、真上から照りつける夏の陽がシルバーのボディーをギラつかせている。
終わりの見えないミッションに手をつけるようだけど、台北メトロは先ず淡水信義線で呑む。

淡水信義線の当面の起点は象山站、駅への入り口は深緑の美しい象山公園の中にポッカリと口を開けている。
この日の気温も朝から35℃を超えてこの頃の日本と変わらない。でも台北っ子は平然と街を闊歩している。

地下ホームに降りると、丁度ガラスの壁の向こうにブルーのラインの6両編成が終着した。
電車はほどなく折り返し淡水ゆきとなる。
ところで淡水信義線の路線カラーは赤、駅に振られたナンバーも「R」で始まる。
んっと、でも車体にはブルーライン。この辺りが決まりが悪いというか、納得できないボクなのだ。

淡水信義線は幅の広い信義路を西進し、やがて景福門のロータリーに至る。正面には總統府が見える筈だ。
一つ目の駅は 台北101/世貿站、地上では台湾最も高い「台北101」(508m)の竹が天を衝いている。

ブルーのラインの6両編成が反時計回りに中正紀念堂を半周して進路を北に変えると台大醫院站。
緑溢れる西洋風の二二八和平公園を巡って總統府の正面に出る。
總統府は1919年、日本の台湾総督府として建てられた。赤煉瓦のバロック式が青空に映えて美しい。

ひとっ子一人いない休日の官庁街を歩いて、見えてきた青い八角形の瓦屋根が中正紀念堂だ。
戦後、台湾を支配した中国国民党の初代総統蒋介石を記念して建てられた。

89段の石段を上った紀念堂の内部には、巨大な蒋介石の座像が置かれている。
この建物が前世紀に建てられたことを思うと、何だか社会主義国の個人崇拝にも似て好感は持てない。
でも毎時0分の衛兵の交代式は一見の価値がある。ここに向かい合う微動だにしない衛兵が凛々しい。

ひと駅戻ったかたちで中正紀念堂站から淡水信義線の旅は続く。
アイスクリーム売りのおばちゃんの誘いを躱してホームに降りると、今度の電車は途中駅の北投止まり。

中正紀念堂、台大醫院と停まったら次が台北車站、メトロは信義淡水線と板南線がクロスする。
橙の瓦をのせた巨大な台北車站、中央ロビーは6階まで吹き抜けて開放感がある。
台湾鉄路も台湾高鉄も線路は地下を走っているから、地上で列車をみることはない。

っと思ったのだが、駅舎を回り込むと東門広場に短く線路が敷かれ、蒸気機関車が静態展示されていた。
日本車輌製のLDK58号機は、まるで遊園地の乗り物のようなナローゲージ、1982年まで台東線を走ったという。

台北車站で多くの乗客を入れ替えて、ブルーのラインの6両編成はさらに北へと向かう。
確か民權西路站を出たあたりで、電車は地上に這い出て高架線路へと上がった。
中山高速公路を潜って、右手に宮殿風の圓山大飯店が見えると、車窓は郊外の景色へと変わっていく。

淡水河に基隆河が合流する關渡站あたりで、信義淡水線もまた大河の右岸に臨みラストスパートをかける。
やがて電車は6連の編成をくねらせて、終点の淡水站に到着する。台北車站から約40分、案外と長旅なのだ。

橙の瓦屋根の庇をプラットホームまで延ばして、淡水の駅舎もまた中国宮殿風に仕上がっている。
駅と河岸の間の広い芝生の公園では、あるグループは太極拳を舞い、またあるグループは卡拉OKに興じて、
中華圏らしい風景が見られる。お年寄りの生活はそう変わるものではないのだろう。

駅から続く淡水老街には、この暑さの中どこから集まったのかと訝るほどの人波、
ソフトクリームを舐めたり、イカ焼きを頬張ったり、縁日のような賑わいを楽しんでいる。

この人並みをすり抜け大学へ続く真理街という坂道を登る。汗を滴らせて。B級グルメ “阿給” を試したい。
春雨を詰め込んだ豆腐の厚揚げ、トマトソースだと思うがこれがなかなか癖になる美味さだ。
絶対にビールに合う筈だがアルコールの提供はない。額から滴る汗で、さらに塩辛く味変するのが楽しい?

ロータリーに西洋人の石像があった。
碑文にはジョージ・L・マッケイとある。宣教師であり、医師であり、教育者であったカナダ人とのこと。
その名をとっ馬偕街には、彼に縁のある滬尾偕医館、淡水礼拝堂などが並ぶ。

環河街は賑やかな屋台街からカフェが並ぶ西洋風の小径に変化し、そして淡水海関碼頭までやって来た。
石造りの埠頭で、淡水河口とその先に広がる東シナ海を眺めながら、汗が引くまで風に吹かれるのもいい。

淡水海関碼頭から中正路を挟んで高台に登ると、赤れんが造りの「紅毛城」に辿り着く。
1628年、スペインによって建設された要塞は、オランダ、鄭成功政権、イギリスと変遷した。
隣にはビクトリア様式の旧イギリス領事館が建ち、異国情緒が漂っている。

足早に見どころを巡った信義淡水線の旅は、昼呑みの機会を持てずに乗り潰してしまった。
阿給の店にもビールなかったしね。とりあえず沿線の中山站まで戻って一杯ってことで。

中山站から徒歩5分、中山北路一段の「青葉」は台湾料理の老舗レストラン。
この界隈は日本人が利用する飲食店やクラブが多い。うろ覚えだけどビジネスでも利用した記憶がある。

今宵は “紹興酒” をロックで、ゆるりと呑もうと思う。
前菜に “しじみの醤油漬け”、ニンニクが効いたのを手を汚して抓むのが楽しい。

それから “クラゲのにんにく和え”、酒が進むなぁ。今晩どうするつもりだろう。
海鮮で “かぶら菜と海老の炒め物”、ってこれもニンニク、負けじと杯を重ねる。

肉料理は “牛肉とシシトウの醤油炒め” を択ぶ。これ絶品、純米酒を合わせたら美味いだろうか。
〆は “焼きビーフン”、何というか油を感じさせない優しい一皿なのだ。

最先端の台北101から、近現代の歴史的建造物を巡って、17世紀に拓いた港町まで、
歴史を遡った信義淡水線の旅は、中山で台湾料理をアテに紹興酒に酔って終える。
さて、開けてしまった Taipeiメトロの旅、いつか完乗することが叶うだろうか。

台北捷運 信義淡水線 象山〜淡水 29.6km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
ふたりの愛ランド / 石川優子&チャゲ  1984



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2 コメント

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のんさん (呑み人)
2024-09-13 22:26:31
こんばんは。
そうそう、ブンブン回っていましたねイカ!
今度はやっぱり夕日の時間に訪れたいものです。
夕日が海に沈む時、やっぱり、ジュッって音がするのでしょうか。
コメント、ありがとうございます。
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Unknown (のん)
2024-09-08 11:14:08
こんにちは。呑み人さん♪

ゆっくり再度拝見させていただきました。
淡水は地元の方に案内してもらい電車で回ったんです。
同じく『紅毛城』を訪ねました。
海を眺めた場所も同じで懐かしく思い出しました。
イカがブンブン回っていたのが面白かったです。
台湾ビールも美味しく飲みましたよ(*^^*)
また行ってみたい台湾です♪
情報ありがとうございました。
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