旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

三陸海岸をゆく夏 気仙沼「伏見男山」

2021-06-19 | 日記・エッセイ・コラム

 

 三陸海岸を旅したのは2019年の夏、まずは宮城県の前谷地から気仙沼線に乗車する。
ところが起点から僅か17.5km、北上川を渡った柳津で鉄路は突然に途切れる。

ここから先は3.11以来不通になったまま、この先気仙沼まではBRTで北上する。
陸前戸倉を過ぎると車窓に志津川湾が広がり、堤防や高架道路の槌音が響いていた。
分かっていたこととは言えやはり言葉が見つからない。旅人はただ祈るしかない。

"ピカチュウ" が迎える終着駅の気仙沼、雨模様を気にしながら湊へと続く坂道を下る。
木造3階建ての本社屋は流出するも、仕込水の井戸は難を逃れた「男山本店」を訪ねた。
"伏見男山" は日本有数の湊町に集う漁師たちにぴったりの銘柄だと思う。

親潮と黒潮が交わる三陸沖に臨む港町・気仙沼に来たからにはスシ食いねェ!
気仙沼のもう一つの蔵「角星」の "金紋両国 別格" は飲み飽きしない端麗辛口だった。
大将の十貫が端正な黒の大皿に並ぶと、気仙沼線の旅もそろそろ終わりを迎える。

つづく

守ってあげたい / 松任谷由実 1981



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