旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

奥の細道で一ノ蔵と鳴子の湯と 陸羽東線・西線を完乗!

2017-06-26 | 呑み鉄放浪記

 梅雨の晴れ間、奥羽山脈を横切って宮城から山形へ陸羽線で吞み抜けようと思う。
キハ48系を改造した車両は、鮮やかに織り成す紅葉をイメージした深緋(こきひ)色と
沿線に広がる稲穂を思わせるメタリックゴールドに彩られている。
さらに前面のアンティークゴールドの装飾は、伊達政宗の兜をイメージしたという。

 

"奥の細道湯けむりライン" 陸羽東線は、東北本線を小牛田から分岐して西へ向かう。 
「リゾートみのり」は、沿線の温泉地を結んで新庄へと向かう週末のリゾート列車だ。

 

傍らには沿線の名蔵・一ノ蔵の "本醸造生酒ひゃっこい"、駅前の古びた酒屋で仕込んだ。
控えめな香り、後味スッキリの生酒を、田植えを終えた田圃を眺めながら堪能する。

小牛田から60分と少々、鳴子温泉駅では「歓迎」の横断幕に迎えられる。
ここで途中下車して「リゾートみのり」を見送る。鳴子に来て湯に入らない手はない。

共同浴場「滝の湯」は、温泉神社のご神湯を引いた総檜造りの湯舟、雰囲気は抜群だ。
まさに掛け流しの温泉に浸かって至福のひと時を過ごすのだ。

 

「たかはし亭」 の縁側、冷たいビールと吹いてくる涼風で火照ったからだを冷やす。
"鳴子焼蕎麦おくずかけ" が美味い。小鉢の "豆腐と野菜の塩麹漬け" は酒の肴に絶品だ。

13:05発の新庄行きに乗車する。車両には "奥の細道" とマークされている。
『なるごの湯より尿前の関にかゝりて出羽の国に越んとす。此路、旅人稀なる所なれば、
関守にあやしめられて、漸として関をこす。』と奥の細道。
"蚤(のみ)虱(しらみ) 馬の尿(しと)する 枕もと"、鉄路は鳴子トンネルで尿前の関を越える。

 

鳴子温泉から1時間、県境を越えたディーゼルカーは新庄駅に終着する。
車内放送ではこの車両がそのまま、陸羽西線の酒田行きになることを告げている。
コンコースでは "鬼女紅葉伝説" を題材にした「新庄まつり」の山車飾りが迎えてくれる。

構内には明治36年の開業当時に造られた赤レンガの旧国鉄新庄駅機関庫が残っている。
引き続き乗車する陸羽西線の愛称は "奥の細道最上川ライン" に変わる。 

『最上川はみちのくより出て、果ては酒田の海に入る。白糸の滝は青葉の隙〱(ひまひま)
に落ちて、仙人堂岸に臨で立。水みなぎって、身あやうし。』とは奥の細道。
"五月雨を あつめて早し 最上川"、陸羽西線はまさにこの情景を走り抜ける。 

 

草薙温泉の下船場を過ぎると間もなく車窓が広がる。
最上峡の渓谷美から一転、米どころ庄内の肥沃な平野に列車はとびだして行く。
やがて陸羽西線は左手から寄って来た羽越本線と余目で合流しその旅を終える。 

余目駅から15分ほど、鯉川酒造は享保10年(1725年)の創業。
亀の尾(余目が発祥の米)で醸した "恋の川 純米吟醸" を求めて再び車中の呑み人となる。
新潟へと抜ける特急で、穏やかな吟醸香とふくよかな味わいを愉しむのだ。

陸羽東線 小牛田~新庄 94.1km
陸羽西線 新庄~余目  43.0km 完乗 

 

案山子 / さだまさし 1977



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2 コメント

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Unknown (niagara-falls437)
2021-06-17 19:07:54
作業員様、こんばんは。
コメントをいただいて時刻表を見てみました。
「リゾートみのり」って走ってないんですね。
今の快速は110系だそうで、色気ありませんね。
小さな温泉場を繋いで、魅力的な陸羽東線です。
瀬見温泉にも行きました。単車でしたけど。
返信する
羨ましい!! (作業員)
2021-06-17 09:03:06
リゾートみのり
いつか乗ろうと思ってて
結局、乗り逃してしまいました^^;
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