「行こか戻ろか」と思案橋、今では欄干の跡を残すのみだ。この時点で22:00。
結構時間がかかった路面電車の乗りつぶし旅なのだ。
長崎港を見下ろす南山手の丘には、花々に囲まれて異国情緒あふれるグラバー邸。
旧三菱重工造船所第2ドックハウスのベランダから長崎港が見える。
大浦天主堂から坂の住宅街を抜けると石橋電停。
5系統の蛍茶屋行き電車に乗車して築町電停までが大浦支線だ。
築町電停は鎖国の約200年間、日本で唯一開かれていた窓「出島」東側にあたる。
思案橋方面から4系統の蛍茶屋行き電車がやって来る。
西浜町電停から終点の蛍茶屋電停までが蛍茶屋支線になる。
“おすわさん” と親しまれる諏訪神社前を右手にカーブして、R34を東へと向きを変える。
秋の大祭「長崎くんち」は、豪華絢爛・異国情緒たっぷり、日本三大まつりに数えられる。
諏訪神社前電停から3つ先、蛍茶屋電停は2、3、4、5系統の起終点。もう日が暮れていく。
長崎駅前電停に戻って公会堂前電停までの2区間を3系統の電車に乗る。桜町支線だ。
日本初のアーチ式石橋の眼鏡橋、川面に映った影が双円を描き「メガネ」に見える。
最後に赤迫電停から正覚寺下行きに乗車する。1系統が走る路線が最長の本線だ。
途中、浦上天主堂、平和公園など見どころを通るのだけど、この時間なのでパス。
ガタゴト揺られて30分、本線は正覚寺下電停に終着、思案橋横丁はひとつ手前の電停だ。
運転手は慌ただしく反対側の運転台に移動して、電車は早々に折り返して行った。
思案橋横丁の「立ち呑みたたんばぁ」、威勢のいい声に迎えられる。
10人も立てばいっぱいのカウンター、先客は奥へ詰めて新しい客のためにスペースを空ける。
長崎ではラインナップは焼酎が中心、地酒は冷蔵庫に冷やしたワンカップでいただく。
平戸は福田酒造の「福鶴」を1杯目、2杯目は今里酒造の「六十餘洲」、波佐見の酒。
午前中の肥前浜から飲み続けの1日、ほっとひと息、思案橋横丁で〆の1杯なのだ。
長崎電気軌道 大浦支線 石橋~築町 1.2km
蛍茶屋支線 西浜町~蛍茶屋 2.2km
桜町支線 長崎駅前~公会堂前 0.9km
本線 赤迫~正覚寺下 7.3km 完乗
中之島ブルース / 内山田洋とクール・ファイブ