夜になると表情を一変する東京。浮かび上がる赤レンガに青い月が共演する。
東京駅のライトアップ、仲通のイルミネーション、やはり丸の内は美しい。
銀座線に遅れること27年、丸ノ内線が走り出したのは戦後なんですね。
荻窪、方南町へと全線開業するのは、オリンピックを控えた1962年のこと。
この辺りの情景は浅田次郎の小説に描かれている。
西口五差路からEchikaに潜る。普段利用しない者には、あまりにも広く複雑な空間だ。
辿りついた2番ホームから荻窪行きに乗車する。赤いラインをひいた6両編成だ。
東京の主要なポイントを繋ぐ路線にしては容量が小さいが、年長の路線なので仕方ない。
深度の浅い丸ノ内線はところどころで地上に姿を見せる。
東京中心部が台地と谷の上に広がり、変化に富んだ地形であることを教えてくれる。
神田川を赤い丸ノ内線が渡る風景は、幼いころの東京のイメージだった。
きっと、絵本か何かの刷り込みだと思う。
東京メトロでも年長の3路線が交差する銀座駅、冬型の気圧配置の日、東京の空は青い。
新宿の喧騒の手前、ぽかんと緑の異空間が空いている。
初夏や初秋には、シートに本を何冊か、それに缶ビールを持って訪れたい新宿御苑。
中野坂上に6両編成が滑り込むと、中線に方南町へと道草する3両編成が待っている。
方南町までは3駅6分の寄り道、途中の中野富士見町には電車たちの塒がある。
スカーレットに塗られた丸ノ内線の新型車両に混ざって銀座線のオレンジが見える。
この2色はなかなか相性がいいね。公園の花壇を眺めるような中野車両基地だ。
中野坂上に戻って荻窪へのラストスパートは、先ほど見かけたスカーレットの6両編成。
善福寺川沿いに住んでいた学生時代、新宿で呑んだくれたら南阿佐ヶ谷まで乗ったっけ。
想い出に浸る間もなく次は終点の荻窪、青梅街道下の直線は電車も軽快に駆けてきた。
16時半を回ってすでに日は西に没して、いい塩梅に暮れてきた。
南口仲通りを左に折れるとせんべろ界では有名と云う「魚正宗」に灯がともっている。
刺し盛り(orアジフライorハムカツ)+小鉢+ドリンク3杯が、ここのせんべろセット。
一見さんとしては、素直にこのシステムにのってみる。ただし日本酒はNGだ。
外は寒いけれど、やはり一杯目は生ビール。
刺身は、ヒラメ、〆サバ、タコの二切れ三種、少量だけどいいところを切っている。
とろけるチーズをのせてバーナーで炙った "ぽてさらチーズ焼き"、これなかなかの逸品。
井川遥がステアしてくれたと想像を巡らせ "角ハイボール"、レモンのちょいしぼは無い。
"赤エビを塩焼き" を剥きながら、三杯目を "男梅サワー" で〆る。
カウンターの兄さんが一寸つっけんどんだけど、丁寧な仕事ぶりでアテも美味しい。
こういう店はある程度通わないと愉しく飲ませてもらえないかな。いい経験になった。
レトロ調の赤い丸窓電車に乗って、再た飲みに行ってみようか。
東京地下鉄・丸ノ内線 池袋~荻窪 24.2km
方南町線 中野坂上~方南町 3.2km 完乗
TOKIO / 沢田研二 1980
今年も楽しみにしております(^^)v