旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

露天茶座の風景

2024-11-09 | 旅行記

山上の茶樓から東シナ海が見おろせる。
夏至過ぎの夏の太陽も、さすがに没する時刻になって、空は藍に海は灰に、少しずつ色を変えていく。

テラスの隣の席に美しい女(ひと)が座っていた。すこし憂いを帯びた横顔がキレイだと思った。
スマホに触れるでもなく、ページを繰るでもなく、ただ空と海を眺めているようだ。

海の向こうから訪ねてきた旅行者か、台湾の方か知る由もない。
私が席を立つ頃になっても、彼女は時折山肌を上ってくる海からの風に、肩までの黒髪を靡かせていた。

秋を装う季節になって、彼女はどこかを、こんどは微笑みを湛えて旅しているだろうか。なんだか気になる。

ずいぶん長くかかってしまった夏の台湾紀行も、これで筆を置くことにしたい。

<40年前に街で流れたJ-POP>
恋の予感 / 安全地帯 1984



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