先ごろ、札幌市の「しまむら苗穂店」で従業員に土下座をさせ、その写真をツイッターで公開していた介護職員の女性(43)が、強要の疑いで札幌・東署に逮捕されたという記事があった。
「お客様は神様です」とは、歌手の故三波春夫氏の遺した名言だが、これを接客の際の心得だと勘違いしている人が多いという。かく言う私もそうだが、『ニコニコ大百科』には【お客様は神様だからとサービスをする店側を下に見るクレーマーに悪用されたり、意図を勘違いしたまま社員教育に使われてしまっているのが実情である。が、本来この言葉は、買い物客や食事客を対象にしたものではないので、客の側から使うのは誤用といって差し支えが無く、客側が言ってはいけない言葉なのである。】とある。この女性も勘違い組の一人だろうが、あまりにやりすぎである。
それにしても、強要罪で逮捕された女性が介護職員であることに驚く。介護職員といえば弱者に優しい博愛主義者というイメージがあるが、この女性に限り介護職に従事する資格はない。大した罪にはならないだろうが、おそらく彼女は職を失うだろうね。いい歳をして「短期は損気」という言葉を知らないのだろうか。また、テレビで土下座した2人の店員の写真が公開されたが、私なら会社をクビになっても絶対に土下座などしない。
私も昔、ギフト店でデータ入力のアルバイトをしていたとき、とんでもないクレーマーに出合って、ぶち切れそうになったことがある。
私の仕事は、葬儀が終わった後に喪主から香典帳を預かって、専用ソフトに入力して氏名・住所・香典金額を整理することである。だが、弔問客の中には住所が市町村名だけというのが意外と多く、同姓同名のミスもたまにはある。最終的には喪主に確認をお願いするのだが、きっちり照合してくれる人は少ない。
ある日、大阪在住の人から商品誤配を指摘した電話があり、責任者を出せというので私が代わった。「忌明け返礼品が送られてきたが、同姓同名の誤配だ」という。「さっそく業者に回収に行かせますが、お手数をかけては申し訳ないので商品を廃棄するなり、お宅様のよろしいように処分していただければ…」と、私は電話の前でお辞儀せんばかりに平謝り。ところが先方はおかしな事を言い出したのである。
「商品を開封して忌明け礼状を読むと、亡くなった人が自分の友人と同姓同名で、てっきりその人が亡くなったものと思ってその人のお宅に電話した。そこで間違いだと分かったが、その時の驚きは口には言い表せないほどのショックだった。商品の誤配さえなければこんな思いはしなかったのに、どうしてくれる?」というのである。いくら謝罪しても許してもらえず、そうした抗議の電話は何回も続いた。
精神的ショックをどうにかしろと言われてもどうしようもない。こちらが低姿勢で謝れば謝るだけ怒りが増すようで、最後には「大阪まで商品を取りに来い。来なければテレビ局と新聞社に投書してやる」とまで言い出した。これは私の責任でもあり、大ごとになっては困るので、私は大阪だろうがどこだろうが行くつもりだった。が、何回目かの電話に社長が出て、「これ以上どうしようもありません。テレビ局なり新聞社なり、お好きなようにしてください」と一喝。それで相手はひるんだのか、それ以後、電話は掛からなくなった。
あとで考えてみれば、発送元に心当たりがないのに荷を解くだろうか。また、忌明け礼状まで読むだろうか。不確かなことは言えないが、多分、発送元に心当たりがないまま開けたことがきまり悪かったのではないか。10年間この仕事をしてきたが、同姓同名による誤配があっても、こんなに怒り狂う人は初めてだった。こちら側のミスは誠意をもって謝罪、対処しなければならないが、明らかにクレーマーだと分かったときは強気に出ることも必要ではないか、そう思うのである。
それとも、世間の目に触れる機会(ネット上等)が格段に多くなったので、面白可笑しく取り上げれる。これが事の真実で
は?
犯罪に紙一重に繋がる際どいクレームを受けるなど、オールドレディさまの人生経験は全てにおいて豊。ブログでの本質を見通す優れた判断力がそれを物語っています。
しまむらの従業員は、欠陥商品は自分の責任でもないのに、なぜ土下座して念書まで書いたのか。これは責任者が出て対処すべきことだと思いますけどね。
長く生きておれば色んなことがありますね。あの時本当に大阪に行って商品を持って帰れと社長に言われたら、きっとぶち切れて辞めていたと思います。
私って意外と短気で、道理の合わないことに従うことは我慢できません。でも年を取ってからは「短気は損気」が分かってきましたね。