ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

青い花――瀬戸内寂聴少女小説集

2018-01-12 19:43:10 | 本のレビュー

「青い花」 瀬戸内寂聴 作 小学館


 思いっきり、レトロな装丁に「少女小説」というタイトルが、昔むかしの物語を連想させる本であります。
実は、この本、母の年上の友人の方から、かしていただいたもの。 「寂聴さんから本を送っていただいたのだけど、今ちょっと本が読みづらいから、おたくのお嬢さんに先に読んでもらえたらいいと思って」とおっしゃったというのですが、ありがたく読ませていただくことに。
もちろん、これは寂聴さんが現在書かれたものでなく、ごく若い頃、書かれた初期のもの。

タイトルの「青い花」がとても素晴らしかった!のです。ああ、いにしえの(戦前とか戦後まもなくとか)女学生って、こんなに夢見る乙女然としていたんだなあ。
美しい女の先生への憧れとか、親友の女の子とのちょっと同性愛めいた感情(これって、当時はSとか言っていたらしいのだけれど)……私が小学校のころ、図書館で借りた昔の少女小説も、こんな風に美しいロマンチックな雰囲気だったもの。懐かしいです。


本をかしてくださった方は、寂聴さんとは女子大学時代の親友で、以来ずっと親しい関係が続いているというのですが、よく考えたら今95歳として――80年近くも友情が続いてきたことになるのですね。 これも、凄いなあ……。

後年は、よく知られているように、華やかな文体で、様々な歴史上の女性の伝記小説などを数多く書かれている瀬戸内寂聴さんですが、ここには、まだ原石のみずみずしさが感じられるのであります。私も、ひととき、昔のロマンチックな女学生の世界にワープ!  この頃の時代のムードって、あまりにも変化が速く、人の情感もドライになりつつある現代から見ると、別世界の趣で、憧憬さえ感じてしまいそう
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