昨年85歳で亡くなった父は、整形外科の業界ではその人ありと知られた外科医でした。
その父が、私が歯科医になって親知らずの抜歯とかインプラント手術をしている、と知って言い付けたことがあります。
「患者さんは大丈夫だったのか、次の日とか経過が不良ではないか、必ず確認しろ。そして、何かの時には直ぐに躊躇なく対応しなさい。」
父は、必ず病棟に患者さんの経過を見に行って、安定していることを確かめていたそうです。
確かに、父はいつも家には居ない、何時帰って来たのか、何時寝てるのか、子供の私には分かりませんでした。
あの頃の父は本当に激務だった、と思います。
人の3倍オペをして、倍の論文も書く、と言う超人ぶりで、周りからスーパーマンと言われてました。
そんな父が、手術は怖いものだ、と自分が頑張ったとしても何があるか分からない、油断はするな、と常々言っていて、その具体的なことが術後の経過観察を怠るな、でした。
その教えを、私は守っています。
本当に自分がしたオペが大丈夫だったか、何か問題が起きてないか、無事に治るまで気にしています。
そんな父の教えを守って来たからこそ、即時荷重インプラントで患者さんを守ることができたんだ、と確信しています。
父の教えに心から感謝しています。
手術はしたらそれで終わり、ではなく、治るまでの始まり。
治って安心できるまで、患者さんと共に頑張りたいと思います。
スーパーマンとまで称えられた父ですら、自分の術後経過を甘く見ず、気にかけて来たのですから、私なんて父の足元にも及ばない外科医ですから、なお気を引き締めて参ります。