サイナスリフトは、私はやらないと言う話題ですが、サイナスリフトの方がよく見えて、早くできて、ソケットリフトよりも楽な手術なのでは?と言う話が出ていて、それに対して私の考えを改めて書き残して置きます。
結論から言いますが、私はそれでも患者さんが術後経過が楽で何事もなく過ごせて、手術侵襲が少ないから早く治るソケットリストの私の編み出した改良法を取ります。
昔は上顎の奥歯に骨がないとインプラントを諦めないといけない、と言われた時代があったんです。
25年以上前の話になります。
そんな中、忘れもしません、骨が造れると言う情報が世界を震撼させました。
確かアメリカンクラブでの夜のセミナーでした。
1990年もしくは91年。
講師が誰だったのか、も忘れましたが、海外の外人の講師でした。
そこで骨が再生できる、と講演されたのです。
それは衝撃でした。
そんなことができるのか?そこに集まっていた歯科医は皆んな戦慄に打ち震えていた、と思います。
その時に、日本のインプラントの父と称される小宮山先生も参加されてました。
私の目前におられて、密かにわあ小宮山先生だ、と感動してました。
そこで、講演後の質問時間で、小宮山先生が挙手されて、海外では最近この治療の応用で骨が造れる、造っていると聴きますが、それはどうなんですか?と質問されたのです。
そうしたら、講師の先生が始めてるDRはいます、でも、まだまだこれからで確かではありません、と答えられました。
そのやりとりを聴いていて、そんな時代が世界では始まってるのか、凄いことになった、と感動したのを良く覚えています。
そして、骨を造ることが世界で競って始められ、やがて上顎洞の中にも造る、と言う話が聴こえて来ました。
1995年頃だと思います。
その頃なので、試行錯誤の時代で、横から窓開けするのにもかなり苦労をしていた時代です。
残念ながら、やり方が拙いと菌血症などの重篤な全身病状を起こしたりして、大変だった時代です。
あの頃は専用に開発された機器もなく、あれこれと口腔外科の道具とか歯周外科の器具を応用して使ったりしてました。
そして、時代が進み、やり方の改良改善もなされて、昔とは天と地ほども違う、手術がやりやすい時代に今は変わりました。
研究も進んで、ノウハウの蓄積もあり、きちんとトレーニングをしたDRなら、確実にできる時代になっている、と言える手前までは来てる、と思います。
かたや、ソケットリフトは、私の知る限りデニス.スマイラー先生が早くもサイナスリフトの直ぐ後くらいから始めていた、と覚えています。
で、その当時と言うか、今でもですが、やる基準は、骨の厚みが4、5mmはあること、とされてます。
この4、5mmと言うのが、今なおサイナスリフトかソケットリフトかの判断基準、いわゆるエビデンスとなっています。
1、2mmの厚みしかなければサイナスリフトと言うのは、エビデンス重視をしたらその通りです。
で、骨の厚みが4mmくらいで、今日の書き始めの話に戻りますが、サイナスリフトの方がやり易くて早い、と言う考えを持っているDRが増えて来てるのかな、と言う話になります。
確かに、明視下で今開発されてる専用の器具とかを使えばサクサクと終わり、20分でできる時代かも知れません。
そのDRは早くて綺麗な手術をするので、その方はそうなのだろう、と思います。
それをソケットリフトでやろうとすれば、明視下でなく手探りなので、ソロソロとやらなければなりませんから時間はかかるでしょうね。
それを比較したら、その方はサイナスリフトを選択して良いのだろう、と私でも思います。
で、私の考えですが、私はその方はどの天性に恵まれた腕と感性を持ってませんので、サイナスリフトしたら手術時間はそれなりにかかる、と思います。
そして、その同じ時間で、私ならソケットリフトで骨を造れる、と思うんです。
そうなると、私の判断基準は、患者さんが術後経過が如何に楽なのか?に変わります。
20分でできるDRなら、そんなに侵襲かけないで終われるのだろう、と思いますが、私はそこまでゴットハンドではありません。
そしたら手術侵襲の小さなやり方、ここで私のやり方を詳しくは解説しませんが、患者さんが腫れたり痛んだりしないやり方をファーストチョイスにします。
写真の患者さんも、友人の先生のご紹介の患者さんさんで、普通ならサイナスリフトでしか骨を造れない、と言われる状態です。
一番骨が薄い所では、1mmもないかもです。
なので、さすがの私も骨造りとインプラント植立を分けました。
でも、私のソケットリフト改良法で、ちゃんと骨ができて、インプラントもできてます。
患者さんは、全く腫れたり痛んだりさせませんでした。
多分、垂直的に12mm程度骨を造りました。
これだけの骨造りなので、私がサイナスリフトでしたなら、結構時間かかったと思います。
で、私なのでそんなに普通の先生のたちほどは侵襲かけないでしますが、それでも腫れや痛みはソケットリフトに比べたら出たと思います。
一般的に、ソケットリフトは割りと簡単に済む手術、と言うイメージが広がってるのが、そのDRは気になっての発言だと思います。
私は、私が話す寺子屋の中では、ソケットリフトは簡単な手術ではない、やり方を間違えると大変だ、と話しています。
これは実名を出せませんが、さる指導医の先生がソケットリフトで上顎洞にインプラントを何本も落として、そのままにしてる、なんてパノラマも見たことがあります。
指導医なら誰か知り合いの凄腕に頼んで取って貰えば良いのに、と思いましたし、私取りましょうか、と申し出ようかな、とも思いましたが、当時は恥かかせるのが気になって言えませんでした。
ちなみに、私のサイナスリフトの経験は、殆どいや全部かな、サイナスに落ちたインプラントを取り除いて、その場で骨造りをして再インプラントした症例ばかりです。
それぐらいしかしたことがありません。
で、私のやり方なので、然程腫れも痛みもなかったそうです。
上顎洞に落としたインプラントを取り除くのは得意ですね…大変なので、余り受けたくはないですが、一応20万で受けてます。
何が大変かと言うと、これだけは秘密を漏らしますが、サイナス内の粘膜シュナイダー膜を縫うのが大変なんです。
その先の話は寺子屋で…
で、同時にインプラントなら、そのインプラント代も掛かりますが…
私余り書きませんが、痛くない腫れない骨造りも得意です。
なんで余り書かないかと言うと、友達の邪魔したくないからです。
お友達の先生方が、骨造りを売りの一つにされてるので、それを邪魔したくないんです。
と言うか、骨造成GBRはインプラント治療の花形なので、そこでも一悶着起こしたくない、と思ってます。
なので、即時荷重インプラントと同時の骨造りの話しか意図的に出してません。
まあ実際、殆どインプラント同時の骨造りでできてるので、分かる人だけ分かるだろう、と言うスタンスです。
で、まとめなのですが、骨造りは今なお凄い格好良い仕事、のようです。
でも、私は患者さんの大変さを思い、侵襲の小さなやり方を好む、と言うことです。
患者さんは骨が欲しい訳ではなく、歯が欲しいのですから…
だからと言って、ザイゴマインプラントは、侵襲はバカでかいし、舌の領域犯すのでやりませんが…
だって眼窩近く、頬骨まで骨見えるようにめくるんです。
わあ、こうして書いてても恐い…
余談でしたね….
と言うことで、今日は終わります。