【手抜き除染】国一丸となり是正をより転載
(1月10日)
東京電力福島第一原発事故に伴う国の除染で「手抜き」が明らかになった。環境省福島環境再生事務所は楢葉町、飯舘村の2件について、請負業者が汚染水を回収しないなどの事実を認めた。他にも、汚染土壌や草木などを不法投棄した疑いが持たれている。発覚した「手抜き」は氷山の一角ではないか。国を挙げて監視・調査を徹底し、改善を進めなくてはならない。
「手抜き」の疑いは、楢葉、飯舘、田村、川内の4市町村で行われている国の直轄除染で浮上した。同事務所は受注した4つの共同企業体(JV)の現場責任者に聞き取り調査を行い、2件の事実が明らかになった。
環境省は、井上信治副大臣をトップとする「除染適正化推進本部」を設置、同省職員らを現在除染作業中の全現場に派遣し、監視を強化した。4JVの現場責任者への実態調査報告を週内に受け、18日までに対策をまとめる。
汚染土壌などの不法投棄は、除染の枠組みを定めた放射性物質汚染対処特別措置法で禁じられた犯罪行為であり、許せない。違反者には5年以下の懲役か1千万円以下の罰金が科される。
環境省の除染ガイドラインは、汚染土壌は周囲への飛散防止や放射性物質が地下水に漏れ出さない対策を講じた上で、除染現場や仮置き場での保管を規定する。工期内の作業完了を焦る業者が、膨大な廃棄物の処理に困って手抜き行為に走ったのではないか。
環境省の職員定数は平成23年度末現在、約1300人だ。公共事業を手掛ける国土交通省のわずか2%、農林水産省の5%にすぎない。除染という公共工事を行うのは初めてだ。省単独で監視を強化しても実効性に疑問が残る。
国土交通省は、工事全体を監視・指導する「施工プロセス検査」などを通じ工事の品質を確保している。農林水産省は農業公共土木に関する技術の蓄積があり、除染で生じる草木の処理などで協力できそうだ。縦割りを廃し霞が関の英知や人材を総動員して直轄除染に立ち向かうべきだ。
国の直轄除染費用は平成24年度だけで2677億円に上る。手抜きで放射性物質が拡散すれば、除染の意味がなくなるばかりか、状況が悪化しかねない。国民に対する裏切り行為だ。地元住民の怒りも大きい。松本幸英楢葉町長は「除染への不信が生まれ、町の復興や住民帰還に影響しかねない」と話す。
石原伸晃環境相はじめ省幹部は出先任せにせず、問題解決へ、本県で陣頭指揮を執ってほしい。(小池 公祐)
( 2013/01/10 08:42 カテゴリー:論説 )福島民報
(1月10日)
東京電力福島第一原発事故に伴う国の除染で「手抜き」が明らかになった。環境省福島環境再生事務所は楢葉町、飯舘村の2件について、請負業者が汚染水を回収しないなどの事実を認めた。他にも、汚染土壌や草木などを不法投棄した疑いが持たれている。発覚した「手抜き」は氷山の一角ではないか。国を挙げて監視・調査を徹底し、改善を進めなくてはならない。
「手抜き」の疑いは、楢葉、飯舘、田村、川内の4市町村で行われている国の直轄除染で浮上した。同事務所は受注した4つの共同企業体(JV)の現場責任者に聞き取り調査を行い、2件の事実が明らかになった。
環境省は、井上信治副大臣をトップとする「除染適正化推進本部」を設置、同省職員らを現在除染作業中の全現場に派遣し、監視を強化した。4JVの現場責任者への実態調査報告を週内に受け、18日までに対策をまとめる。
汚染土壌などの不法投棄は、除染の枠組みを定めた放射性物質汚染対処特別措置法で禁じられた犯罪行為であり、許せない。違反者には5年以下の懲役か1千万円以下の罰金が科される。
環境省の除染ガイドラインは、汚染土壌は周囲への飛散防止や放射性物質が地下水に漏れ出さない対策を講じた上で、除染現場や仮置き場での保管を規定する。工期内の作業完了を焦る業者が、膨大な廃棄物の処理に困って手抜き行為に走ったのではないか。
環境省の職員定数は平成23年度末現在、約1300人だ。公共事業を手掛ける国土交通省のわずか2%、農林水産省の5%にすぎない。除染という公共工事を行うのは初めてだ。省単独で監視を強化しても実効性に疑問が残る。
国土交通省は、工事全体を監視・指導する「施工プロセス検査」などを通じ工事の品質を確保している。農林水産省は農業公共土木に関する技術の蓄積があり、除染で生じる草木の処理などで協力できそうだ。縦割りを廃し霞が関の英知や人材を総動員して直轄除染に立ち向かうべきだ。
国の直轄除染費用は平成24年度だけで2677億円に上る。手抜きで放射性物質が拡散すれば、除染の意味がなくなるばかりか、状況が悪化しかねない。国民に対する裏切り行為だ。地元住民の怒りも大きい。松本幸英楢葉町長は「除染への不信が生まれ、町の復興や住民帰還に影響しかねない」と話す。
石原伸晃環境相はじめ省幹部は出先任せにせず、問題解決へ、本県で陣頭指揮を執ってほしい。(小池 公祐)
( 2013/01/10 08:42 カテゴリー:論説 )福島民報