2014年1月9日
「震災を忘れないで」。こう訴える福島県内の高校生が今週末から千葉県を訪れ、原発事故後の生活を描いた演劇「この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?第二章 ばらあら、ばらあ」を上演する。演じるのは福島県矢吹町にある県立光南高校の演劇部員。千葉県内の有志による実行委員会が主催し、上演後には生徒と観客との対話の時間も設けられる。 (砂上麻子)
「リンゴが売れたら払うから」「福島のリンゴなんて売れると思ってるの」
演劇部の積立金を払っていない部員に、他の部員が支払いを催促する場面。顧問で脚本と演出を手がける佐藤茂紀教諭(50)は「リンゴが売れると思うかと言われ、みんなはどう感じる? 感じたことを芝居にしてほしい」と部員に声をかける。
劇中では「海に流出しているかも、お・せ・ん・す・い」といった原発事故に関係するせりふが数多く登場する。「生徒の会話に出てくる言葉をせりふに取り入れた。観客に福島の今を感じてほしい」(佐藤教諭)と言う。
佐藤教諭は、前任の福島県立あさか開成高校演劇部顧問だったときに震災を体験。原発事故で目に見えない放射性物質におびえながら、現実を生きる高校生を描いた「この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?」をつくり、二〇一二年に東京、神奈川でも上演した。
その後光南高校へ異動したが、原発の話題を避け、口を閉ざす生徒の多いことが気になった。「演劇を通して心の叫びを表現する必要がある」と感じ、昨年夏に新たに「第二章」を書き上げた。一作目から二年半が過ぎ、何も変わらない現実の中で懸命に生きようとする高校生の姿を描いた。「生徒たちが福島というジレンマを抱えながら、真剣に生きようとしている姿を見てほしい」と話す。
演劇部員の二年渡辺瀬理加さん(17)の家はコメ栽培農家。だが、風評被害で売れなくなったといい、「福島ではまだ震災が続いている現実を知ってほしい」と話した。
実行委員長を務める森山佳代さん(51)=長南町=は今回、佐藤教諭の二作目制作を知り、「高校生の思いに寄り添いたい」と県内での公演を計画した。これまで福島との関わりはなかったが、「自分たちに何ができるか考えるきっかけにしたい」と話している。
公演は十一日午後二時から鴨川市の県立長狭(ながさ)高校文化ホール(無料)で、十三日午後一時半から長生村文化会館ホール(有料)で開催。問い合わせは実行委=電080(3275)0113=へ。
「震災を忘れないで」。こう訴える福島県内の高校生が今週末から千葉県を訪れ、原発事故後の生活を描いた演劇「この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?第二章 ばらあら、ばらあ」を上演する。演じるのは福島県矢吹町にある県立光南高校の演劇部員。千葉県内の有志による実行委員会が主催し、上演後には生徒と観客との対話の時間も設けられる。 (砂上麻子)
「リンゴが売れたら払うから」「福島のリンゴなんて売れると思ってるの」
演劇部の積立金を払っていない部員に、他の部員が支払いを催促する場面。顧問で脚本と演出を手がける佐藤茂紀教諭(50)は「リンゴが売れると思うかと言われ、みんなはどう感じる? 感じたことを芝居にしてほしい」と部員に声をかける。
劇中では「海に流出しているかも、お・せ・ん・す・い」といった原発事故に関係するせりふが数多く登場する。「生徒の会話に出てくる言葉をせりふに取り入れた。観客に福島の今を感じてほしい」(佐藤教諭)と言う。
佐藤教諭は、前任の福島県立あさか開成高校演劇部顧問だったときに震災を体験。原発事故で目に見えない放射性物質におびえながら、現実を生きる高校生を描いた「この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?」をつくり、二〇一二年に東京、神奈川でも上演した。
その後光南高校へ異動したが、原発の話題を避け、口を閉ざす生徒の多いことが気になった。「演劇を通して心の叫びを表現する必要がある」と感じ、昨年夏に新たに「第二章」を書き上げた。一作目から二年半が過ぎ、何も変わらない現実の中で懸命に生きようとする高校生の姿を描いた。「生徒たちが福島というジレンマを抱えながら、真剣に生きようとしている姿を見てほしい」と話す。
演劇部員の二年渡辺瀬理加さん(17)の家はコメ栽培農家。だが、風評被害で売れなくなったといい、「福島ではまだ震災が続いている現実を知ってほしい」と話した。
実行委員長を務める森山佳代さん(51)=長南町=は今回、佐藤教諭の二作目制作を知り、「高校生の思いに寄り添いたい」と県内での公演を計画した。これまで福島との関わりはなかったが、「自分たちに何ができるか考えるきっかけにしたい」と話している。
公演は十一日午後二時から鴨川市の県立長狭(ながさ)高校文化ホール(無料)で、十三日午後一時半から長生村文化会館ホール(有料)で開催。問い合わせは実行委=電080(3275)0113=へ。