今日は、村長が今年の3月に浦添市との広域処理の推進を表明した中城村と北中城村のラストチャンスに関する記事を書きます。
その前に、下の画像をご覧下さい。
これは、この記事のテーマを簡潔に整理した資料です。
原寸大の資料(画像をクリック)
中北組合(中城村・北中城村)は約2年前の平成26年3月にごみ処理計画を改正して「運転経費の高い」溶融炉を休止していますが、そのために国の補助金を利用する権利を放棄しています。しかも、廃止をせずに所有したまま休止(所有財産の効率的な運用を放棄)しているため、地方財政法第8条の規定に違反する事務処理を行っています。
そして、ごみ処理計画を改正した2村の村長は約2年後の平成28年3月に浦添市との広域処理を推進する施政方針を表明しています。
しかし、2村(村長と職員)が広域処理を推進するためには、①法令違反を是正して、②国の補助金を利用する権利を確保しなければなりません。
この記事は、住民の福祉の増進を図るために、2村(村長と職員)がこの①と②の条件を確実にクリアするための事務処理をテーマにしています。
では、最初に下の画像をご覧下さい。
これは、市町村が行うごみ処理施設の整備に対する国の補助制度の中で「人口」に関する条件を整理した資料です。
原寸大の資料(画像をクリック)
国の補助制度は、人口が5万人以上の市町村を対象にしていますが、離島地域や過疎地域等の市町村は人口が5万人未満であっても国の補助金を利用することができます。
そして、沖縄県内の市町村の場合は人口が5万人未満であっても国の補助金を利用することができます。また、沖縄県内の市町村の場合は補助率が50%という内地の市町村にはない優遇措置が設けられています。
しかし、中北組合(中城村と北中城村)は、焼却灰の溶融処理に対する経費を削減するために、平成26年3月に現村長がごみ処理計画を改正して国の補助金を利用する権利を放棄しています。
2村の村長が議会や住民に対してどのような説明を行ってごみ処理計画を改正したのかは分かりませんが、沖縄県はもちろん、内地の市町村においても、ごみ処理計画を改正して自ら国の補助金を利用する権利を放棄した市町村はないと思います。
しかも、中城村と北中城村は県内(本島)において突出して住民1人当たりのごみ処理費が高い自治体です。
したがって、2村の村長は議会や住民に対しては、少なくとも、①「補助金を利用するときがきたらごみ処理計画を見直す」という説明、そして、②溶融炉は廃止する(法令違反になるような事務処理は行わない)という説明をしていたと考えます。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、浦添市と中城村と北中城村の1市2村が内地の市町村だった場合を想定して作成した資料です。
原寸大の資料(画像をクリック)
このように、1市2村が内地の市町村であった場合は、そもそも2村は国の補助金を利用する権利のない自治体になるので、法令違反がなければ無条件で広域処理を推進することができます。
もちろん、そのためには浦添市が条件を満たしていなければならないことになりますが、浦添市のごみ処理計画にはまったく問題はないので、広域処理における一般的な事務処理に従って、①広域施設の整備に関する地域計画を策定して、②国の承認を受ければ、③広域組合を設立することができます。
次に、下の画像をご覧下さい。
原寸大の資料(画像をクリック)
このように、1市2村が規模は違っても同じような方式の既存施設(ストーカ炉+溶融炉)を整備していて、地方財政法第8条の規定と廃棄物処理法の基本方針に従って長寿命化も実施していれば、事前協議において、①広域施設の整備に関する基本的な計画が決定した段階で、②協議会を設立して、③前の画像と同じように事務処理を行えば、④なんの問題もなく広域組合を設立することができます。
しかし、2村の既存施設は浦添市と異なる方式を採用している(ストーカ炉ではなく流動床炉を採用している)上に、2年前から溶融炉を休止して、供用開始から14年目になっても焼却炉の長寿命化も実施していません。そして、長寿命化計画も策定していません。
普通に考えると、なぜこのような状況で1市2村が広域処理を推進することを検討しているのか分かりませんが、市町村が可能性のない計画に貴重な税金を使うことはあり得ないので、1市2村には2村がこのような状況であっても広域処理を推進できるという確かな根拠があるのだと考えています。
いずれにしても、1市2村の首長が広域処理を推進するための協議会を設立するためには、1市2村の職員が上の画像にあるように、事前協議において1市2村の既存施設に対する施策の調和を保つようにしていなければならないことになります。
もちろん、処分制限期間を経過した溶融炉の長寿命化を実施している浦添市が溶融炉を休止して長寿命化も実施していない2村の施策との調和を保つような事務処理を行うことはできないことになります。
下の画像をご覧下さい。
これは、1市2村の現状を整理した資料になります。
原寸大の資料(画像をクリック)
このように、浦添市のパートナーである中城村と北中城村が、①法令(地方財政法第8条)に違反している、②国の補助金を利用する権利を放棄している、③既存施設の長寿命化を実施していないために、マスコミ発表があった平成27年12月の段階で既に広域施設の整備に関する基本的な計画が決定しているにもかかわらず、まだ協議会を設立することができない状況になっています。
法令や廃棄物処理法の基本方針に従って既存施設の長寿命化を実施している浦添市は、2村の法令違反や廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理計画のことを承知しているはずです。
そして、市町村の職員であれば、1市2村の首長が設立する協議会は、国の補助金を利用することができることを大前提にして広域施設の整備に関する本格的な協議を行うための組織であって、既存施設に対する施策を協議するための組織ではないことを十分に承知しているはずです。
したがって、現在行われている1市2村の職員による事前協議においては、浦添市が2村に対して、①協議会を設立する前に、②法令違反を是正して、③国の補助金を利用する権利を確保できる施策を決定することを求めていると思われます。
しかし、2村には浦添市の要求を満たすための確かな根拠があるはずなので、本来であれば平成27年度中に協議会を設立することができたはずです。しかし、平成28年の5月になってもまだ協議会は設立されていません。
なぜなのか?
このブログの管理者は、その答えは中城村の村長選挙が告示される前日(5月30日)に分かると考えています。
つまり、それまでに2村の職員が浦添市に対して広域処理を推進するための確かな根拠を示すことができなければ、2村には広域処理を推進する根拠がなかったことになるからです。
なお、2村においては、溶融炉を再稼動して長寿命化を行う施策や溶融炉を廃止するために焼却灰(塩分濃度の高い流動床炉の飛灰)の資源化を外部委託する施策は、他の市町村(浦添市)との広域処理を前提にした場合は、「他の市町村の財政に累を及ぼすような施策を行ってはならない」としている地方財政法第2条第1項の規定に抵触する施策になるため、選択肢から除外しなければならないことになります。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、浦添市の長寿命化計画と広域化計画を整理した資料です。
原寸大の資料(画像をクリック)
このように、浦添市は平成14年度に供用を開始した溶融炉を、国の補助金を利用して11年目(平成24年度)に長寿命化を実施しています。そして、広域施設の供用を開始する平成36年度から平成37年度頃までは稼動を続けて行く計画になっています。
しかし、広域施設の供用を開始するのは長寿命化の実施から12年目から13年目になるので、新設から長寿命化を実施した期間よりも長くなってしまいます。しかも、その間は国の補助金を利用したときの条件になっている最終処分ゼロを継続していかなければなりません。
国内にあるごみ処理施設の中で、溶融炉は稼動している事例や長寿命化が行われている事例が少なく、焼却炉と違ってかなりデリケートなプラントになります。
ごみ処理は市町村が行う事務処理なので、廃棄物処理法の規定だけでなく地方自治法の規定も適用されます。
したがって、浦添市は住民の福祉の増進を図るためにごみ処理を行わなければなりません。そうなると、浦添市としては、これ以上広域化計画のスケジュールを遅らせることはできない状況になっていると考えます。
なお、国の補助制度においては、長寿命化から10年以上溶融炉を稼動すれば補助金を返還せずに廃止することができるので、浦添市は最初の長寿命化のときと同じように、長寿命化から11年目、つまり平成35年度(長寿命化から10年を経過した年度)に広域施設の供用を開始するように広域化計画を前倒しすることもできます。
ということで、下の画像をご覧下さい。
これは、1市2村の事前協議において、2村が既存施設に対する施策を変更しなかった場合を想定して作成した資料です。
原寸大の資料(画像をクリック)
平成28年度は国のインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限になっているため、平成28年度における1市2村の事前協議においてこのような結果になった場合は、2村における決定事項になるので、浦添市としては広域処理を白紙撤回せざるを得ない状況になります。
なぜなら、浦添市が白紙撤回をしない場合は、浦添市は下の画像にあるように1つだけではなく、2つの法令に違反している自治体と広域処理を推進することになってしまうからです。
その2に続く