沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(ごみ処理計画の調和)

2016-05-29 12:53:32 | ごみ処理計画

いよいよ、31日は中城村の村長選挙の告示日です。

そこで、今日は2村の住民(職員と議員を含む)の皆さんのために、2村の既存施設に対する施策を整理しておくことにしました。

現村長は平成26年3月にごみ処理計画を改正して他の市町村との広域処理については検討課題から除外しましたが、任期中の平成28年3月に施政方針を変更して浦添市との広域処理を推進することを決定しています。したがって、現村長には改正したごみ処理計画を見直して浦添市のごみ処理計画との調和を確保する責務があります。

と言うことで、まずは、下の画像をご覧下さい。

これは、中城村の現村長が平成26年3月に改正したごみ処理計画を見直さないまま任期を満了した場合を想定して作成した資料です。

前の記事にも書きましたが、現村長が任期を満了する前に1市2村のごみ処理計画の調和を確保するための施策を決定して協議会を設立することができなかった場合は、今年度中にインフラ長寿命化行動計画を策定することができなくなるので、1市2村は広域処理を白紙撤回して単独更新を前提とした事務処理に着手しなければならない状況になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、中城村の現村長が既存施設に対して何の施策も決定しなかった場合は、法令違反を是正しないまま任期を満了することになります。そして、平成29年度から2村の住民に40億以上の財政負担を強いる形で2期目の職務を全うすることになります。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、中城村の現村長が任期中に法令違反を是正するために休止している溶融炉を廃止した場合を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

休止している溶融炉を廃止するために財産処分の承認手続を職員に命じれば、法令違反は簡単に是正することできます。しかし、焼却灰の委託処分を中止しなければ、浦添市のごみ処理計画との調和を確保することはできないので、この場合も現村長は平成29年度から2村の住民に40億以上の財政負担を強いる形で2期目の職務を全うすることになります。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、現村長が法令違反を是正するために平成26年3月に改正したごみ処理計画を元に戻した場合を想定して作成した資料です。 

原寸大の資料(画像をクリック)

2村の焼却炉が浦添市と同じストーカ炉であれば、この施策は浦添市のごみ処理計画と全く同じ計画になるので、長寿命化が遅れなければ広域処理を推進することができます。しかし、2村の焼却炉は流動床炉であり、溶融炉は国内で稼動している事例のない溶融炉です。もちろん長寿命化が行われている事例もありません。したがって、この施策は浦添市から見ると地方財政法第8条に適合していても第2条第1項に違反していることになります。

また、2村の村長が広域処理を白紙撤回した場合であっても、この施策はギャンブル性の高い施策になるので、万が一、事故や故障等により溶融炉が使用できなくなった場合は、長寿命化に利用した補助金を返還して自主財源により単独更新を行うことになってしまいます。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、焼却灰の資源化を外部委託する場合を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック) 

塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰を資源化できる施設は沖縄県内にはありません。内地においても安定的に資源化できる施設は皆無に近い状況です。したがって、この施策も前の画像にある施策と同じようにギャンブル性の高い施策になります。

ちなみに、1市2村がこの施策を採用して広域組合を設立した場合に、広域施設を整備する前に外部委託が困難になった場合は国の補助金を利用することができなくなるので、自主財源により広域施設を整備することになってしまいます。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、あり得ないことですが、国が国家公務員の判断だけで、1市2村に対して財政的援助を与えた場合を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

上の画像にあるフローは、2村が地方財政法第8条の規定に違反して溶融炉を休止している状態、そして、1市2村が廃棄物処理法第6条第3項の規定に違反してごみ処理計画の調和を確保していない状態であっても、国家公務員の判断で財政的援助を与えた形になりますが、言うまでもなく、国家公務員がこのような事務処理を行った場合は国家公務員法違反になります。

また、このような事務処理が発覚した場合は、沖縄県内の市町村に対して国家公務員が「特別な配慮」を行ったことになるので、間違いなくスキャンダルになります。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、2村が溶融炉を整備していなかった場合を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

2村が例えば南城市や金武町のように、最初から溶融炉を整備していない市町村であればこのフローに従って浦添市との広域組合を設立することができます。

しかし、2村は平成15年度に国の補助金を利用して溶融炉を整備しています。そして、自らの判断で平成26年度から溶融炉を所有したまま休止しています。これは、廃棄物処理法の基本方針に適合するごみ処理計画を策定していた市町村が基本方針に適合しないごみ処理計画に改正していることになるので、再度ごみ処理計画を見直す場合は溶融炉を再稼動しなければならないことになります。

2村は平成26年度から完全に「民間の発想」で事務処理を行ってきているので、もしかすると、設備の処分制限期間を経過したことで、溶融炉を整備していた事実も消滅したと判断しているかも知れません。しかし、処分制限期間を経過しただけでは補助金の返還義務が消滅しただけであって、過去の事実までは消し去ることはできません。 

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、平成22年度に国(環境省)が通知した特例に基づいて溶融炉を廃止する場合を想定して作成した資料です。

仮に、設備の処分制限期間を経過した場合に溶融炉を整備していた事実も消滅するのであれば、国(環境省)がこのような特例を通知する必要はなくなってしまいます。また、このような特例を利用する市町村もなくなってしまいます。

原寸大の資料(画像をクリック)

国(環境省)は平成22年度に代替措置として15年分の最終処分場を確保すれば溶融炉の廃止を認めることにしました。そして、平成27年度からはハードルを下げて5年分の最終処分場を確保すれば廃止を認めることにしています。

これは、平成26年度に会計検査院が環境省に対して休止している溶融炉に対する新たな施策を要求したことによるものですが、2村がこの特例に該当しない場合は、溶融炉を廃止するか再稼動しなければならない状況になっています。

つまり、平成28年度において最終処分場を5年分以上確保していない市町村が溶融炉を休止している場合は地方財政法第8条違反が確定していることになります。

なお、内地では札幌市や仙台市などがこの特例を使って溶融炉を廃止していますが、これらの市は溶融炉のほかに最終処分場も整備していたことでこの特例を受けることができました。しかし、沖縄県内にはこの特例を利用できる市町村はありません。

2村がこれから最終処分場を確保すれば焼却灰の資源化を推進しなくても委託処分をゼロにすることができます。そうなれば最終処分場の延命化を図ることができることになるので、2村が溶融炉を廃止しても1市2村のごみ処理計画の調和を確保することできます。

ただし、1市2村はそもそも最終処分場を整備していないので、15年分であっても5年分であっても、新たに整備することになると、広域処理のスケジュールが大幅に遅れてしまうことになります。したがって、この施策は選択肢から除外しなければならないことになります。

下の画像をご覧下さい。

これは、上の画像にある国の通知に対する2村の対応の履歴を整理した資料です。

2村は平成22年度から平成27年度まで国の通知を無視してきています。そして、平成26年度からは法令(地方財政法第8条)に違反して溶融炉を休止しています。

1つ目の画像にあるように平成26年度からの2村は完全に「民間の発想」で事務処理を行ってきたことになりますが、平成28年3月に浦添市との広域処理を推進することを決定しているので、平成28年度は「公共の発想」で事務処理を行うことを決定していることになります。

したがって、中城村の村長の任期が満了するまでに法令違反を是正しなかった場合は、平成28年度も「民間の発想」で事務処理を行っていると判断せざるを得ない状況になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

  

2つ目の画像にあるように、市町村のごみ処理(自治事務)に対する国の通知は、通常は県に通知して県が市町村に周知するという事務処理になります。

ただし、市町村が一部事務組合を設立してごみ処理を行っている場合は、県はその一部事務組合に対して国の通知を周知することになります。したがって、この一部事務組合が「民間の発想」で事務処理を行っている場合は、構成市町村も「民間の発想」で事務処理を行うことになってしまいます。

2村と中北組合との関係がどうなっているのかは分かりませんが、2つの自治体(村)が同じように「民間の発想」で事務処理を行っていることは考えにくいので、平成26年度と平成27年度においては、おそらく中北組合が「民間の発想」で事務処理を行ってきたものと思われます。

したがって、2村が平成28年度も中北組合に事務処理を「丸投げ」しているとした場合は、中城村の村長の任期が満了するまでに、①法令違反を是正することや、②既存施設に対する施策を決定して、③広域処理を推進するための協議会を設立することはほぼ不可能になると考えます。

下の画像をご覧下さい。

これは、2村が「公共の発想」で事務処理を行っているつもりであっても、中北組合が「民間の発想」で事務処理を行っている場合を想定して作成した資料です。

なお、この資料は2村と中北組合から猛烈な抗議を受ける覚悟で作成しています。

ただし、2村の住民の福祉の増進を図ることを目的として作成しているので、その場合は、喜んで抗議を受けたいと考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

浦添市が中北組合や2村に対してどのような評価をしているのかは分かりませんが、平成27年度に浦添市が予定していた協議会を設立することができなかったことは事実です。そして、平成28年度になってもまだ協議会は設立されていません。

その理由は何か?

それは、2村の職員がごみ処理計画に関する事務処理を「民間の発想」で事務処理を行っている中北組合の職員に「丸投げ」しているからだと思います。

下の画像をご覧下さい。

これは、「民間の発想」で事務処理を行っている中北組合に対して2村が事務処理を「丸投げ」した場合を想定して作成した資料です。

 

原寸大の資料(画像をクリック) 

このブログの管理者は、2村がこのような事態になる可能性は十分にあると考えています。なぜなら、中北組合も2村も平成28年度になってもまだ法令違反を是正していないからです。

下の画像をご覧下さい。

これは、2村が設立している中北組合の平成26年度と平成27年度の事務処理を整理した資料です。

1から9までは平成27年度において評価が決定している事務処理ですが、中城村の村長の任期が満了するまでに浦添市との広域処理を推進するための協議会を設立することができなかった場合は、10の評価も決定することになります。

なぜなら、中北組合が「公共の発想」で事務処理を行っていれば、平成27年度に協議会を設立することができたからです。

原寸大の資料(画像をクリック) 

中北組合が「民間の発想」ではなく「公共の発想」で事務処理を行っていると主張する場合は、少なくとも中城村の村長の任期を満了する前に浦添市との事前協議を終了して協議会を設立しなければならないと考えます。

なぜなら、「公共の発想」で事務処理を行っている浦添市の職員と中城村と北中城村の職員は広域処理を推進するための協議会を設立するための準備を完了しているからです。

と言うことで、下の画像をご覧下さい。

これは、処分制限期間を経過した溶融炉の運用に関する「公共の発想」と「民間の発想」を比較した資料です。

浦添市は「公共の発想」で溶融炉の長寿命化を実施することで地方財政法第8条の規定と廃棄物処理法の基本方針に対応した事務処理を行っていますが、2村(実質的には中北組合)は地方財政法第8条の規定や廃棄物処理法の基本方針を無視して「民間の発想」で溶融炉を所有したまま休止しています。

原寸大の資料(画像をクリック) 

このブログの管理者は、平成26年度と平成27年度は中北組合が「民間の発想」で事務処理を行っていたと考えていますが、浦添市から見れば、どちらがどうであっても、中北組合と同じように2村も「民間の発想」で事務処理を行っていたことになります。

その浦添市が2村と広域処理を推進するためには、2村が「公共の発想」で事務処理を行うことが必須条件になります。したがって、2村が上の画像の真ん中にあるフローに従って事務処理を行わなければ、広域処理を推進することはできなくなります。

ただし、2村が溶融炉を廃止するための代替措置として、国の特例に従って5年分の最終処分場を確保することは時間的に不可能です。

では、どうすればよいのか?

答えは1つしかありません。

それは、溶融処理以外の方法で焼却灰の資源化を推進するための代替措置を講じることです。

下の画像をご覧下さい。

これは、溶融炉の運用と代替措置の関係を整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック) 

このように、広域処理を前提にすると、最終処分場の整備や外部委託による焼却灰の資源化は選択肢から除外しなければならないことになります。そして、もちろん、代替措置を講じずに溶融炉を休止又は廃止して焼却灰の委託処分を行う選択肢も除外しなければなりません。

下の画像をご覧下さい。

これが、このブログで何度も書いている、1市2村のごみ処理計画の調和を確保して広域組合を設立するための唯一の選択肢になります。

原寸大の資料(画像をクリック) 

上のフローの中で、2村の焼却炉の長寿命化については、国との協議によって、もしかしたら免除される可能性があります。なぜなら、これまでの焼却炉の維持管理状況によっては、老朽化があまり進行していない可能性があるからです。

その場合は、長寿命化を行わずに広域施設の整備を行った方が所有財産(焼却炉)の所有の目的に応じた最も効率的な運用を行うことができる可能性が残っています。ただし、国がそのことを認めるかどうかは、実際に国と協議をしてみなければ分かりません。

それはともかく、1市2村のごみ処理計画の調和を確保するためには焼却灰の委託処分だけは絶対に中止しなければなりません。そして、最終処分場を確保していない場合は、溶融炉の廃止に当って代替措置を講じなければなりません。

広域組合の設立に当って1市2村のごみ処理計画の調和を確保することは、法律(廃棄物処理法第6条第3項)で定められていることなので、市町村長や地方公務員、そして国家公務員の判断(法令解釈)で勝手にルールを変更することはできないことになっています。

なお、行政の関係者(国と県を含む)が合意すれば2村のごみ処理計画における「過去の履歴」を消去することも不可能ではありません。それができれば、1市2村はこのまま広域組合を設立することができます。しかし、日本において行政がそのような事務処理を行うことは、行政の「自殺行為」になります。

最後に、前の記事で使用した下の画像をもう一度ご覧下さい。

消去法で考えると2村には上の画像にある選択肢しか残っていないことになります。そして、2村が中城村の村長の任期が満了する前に方針を決定して協議会を設立しなければ、平成28年度が策定期限になっているインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」を策定することはできないことになります。

広域組合は関係市町村が「公共の発想」で事務処理を行わなければ設立することはできません。そして、関係市町村が「公共の発想」で事務処理を行う場合は、今年度中にインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」を策定することなります。したがって、それができなければ「民間の発想」で事務処理を行っていることになり、広域組合を設立することもできないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック) 

2村が6月に方針を決定しても、代替措置に対する準備を完了しなければ「行動計画」の策定に必要になる中長期的なコストの見通しを立てることはできません。また、「行動計画」の策定には少なくとも3ヶ月は必要になります。

したがって、12月までに代替措置に対する準備が完了しなければ、今年度中に「行動計画」を策定することができなくなってしまいます。しかし、代替措置に対する準備を完了するためには6ヶ月以上はかかってしまいます。

一方、平成24年度に焼却炉と溶融炉の長寿命化を実施している浦添市は、中長期的なコストの見通しが立っているので、いつでも単独更新を前提とした「行動計画」の策定に着手することができます。

つまり、浦添市は2村に対して、今年の12月まで広域処理を推進するチャンスを与えていることになります。このため、2村がタイムオーバーになった場合は、浦添市は「公共の発想」で単独更新を前提とした「行動計画」の策定に着手することになります。

以上により、2村が7月から代替措置に対する準備に着手することが広域処理を成功させるためのラストチャンスになると考えます。 

広域処理の成功を祈ります。