沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(2村の職員と村長の発想)

2016-05-22 13:17:24 | ごみ処理計画

中城村の村長選挙の告示日(5月31日)が近づいてきたので、今日は2村の職員と村長の発想について書きます。

なお、2村は一部事務組合(中北組合)を設立してごみ処理を行っているので、2村の職員と村長の発想は同じ発想という前提で記事を書きます。

まず、下の画像をご覧下さい。

これは、平成26年3月に改正した北中城村のごみ処理計画から法令に基づく「位置づけ」の部分を簡略化して整理した資料です。

中城村と中北組合のごみ処理計画はネット上には公開されていませんが、2村のごみ処理の体制を前提にすれば、中城村と中北組合のごみ処理計画も北中城村のごみ処理計画と同じ「位置づけ」になります。

北中城村一般廃棄物処理基本計画

原寸大の資料(画像をクリック)

廃棄物処理法の規定に基づいて住民に「告示」されているごみ処理計画は、市町村にとって「公文書」に該当することになります。そして、2村のごみ処理計画は沖縄県の廃棄物処理計画を上位計画として策定(改正)していることになっています。

次に、下の画像をご覧下さい。

上の画像の「位置づけ」はかなり簡略化した「位置づけ」になっていますが、実際には下の画像にあるように、県の廃棄物処理計画の上位計画として政府が閣議決定している廃棄物処理施設整備計画があります。そして、その上に環境大臣が定めている廃棄物処理法の基本方針があります。

原寸大の資料(画像をクリック)

地方財政法第8条の規定は廃棄物処理法の規定ではないので、市町村のごみ処理計画の「位置づけ」に関する資料には記載されていません。しかし、この規定は国が処分制限期間を経過した市町村のごみ処理施設に対して長寿命化を求める根拠法になっています。

地方財政法

廃棄物処理法の基本方針や廃棄物処理施設整備計画は市町村に対してごみ処理施設の長寿命化を求めていますが、この規定がなければ国は法令に基づく根拠がないのに市町村の自治事務に関与することになるため、長寿命化を推進することができなくなってしまいます。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、平成26年度と平成27年度における2村の実際のごみ処理計画を整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

2村のごみ処理計画における最大の問題は、このように2村の職員と村長が上位計画としている県の廃棄物処理計画や廃棄物処理法の基本方針、廃棄物処理施設整備計画に適合しないごみ処理を行っていることです。そして、溶融炉を所有したまま休止していることで地方財政法第8条の規定に違反する事務処理を行っていることです。

なお、2村は廃棄物処理法の処理基準や委託基準については遵守していると思われるので、県の計画や国の施策を知らない人、そして地方財政法第8条の規定を知らない人から見れば、適正なごみ処理を行っているように見えることになります。

下の画像をご覧下さい。

これは、平成26年度と平成27年度における2村のごみ処理計画の実態を法令の規定に基づいて整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、2村は、①虚偽のあるごみ処理計画(公文書)に基づいて事務処理を行っており、②国の施策や県の計画、そして地方財政法第8条の規定を無視して事務処理を行っていたことになります。そして、③法令に違反して事務処理を行っていたことになります。

なお、2村の職員や村長がそのことを知っていて事務処理を行っていたとすれば「故意」による悪質な事務処理を行っていたことになりますが、このブログの管理者は、おそらくこれらのことを知らずに事務処理を行っていたと考えています。ただし、その場合は2村の職員や村長に「重大な過失」があったことになります。

2村の村長はともかく、職員が国の施策や県の計画を知らないということはあり得ないことですが、「故意」による事務処理ということになると2村の職員はほぼ確実に「懲戒免職」になると思われるので、この記事においては「重大な過失」に留めておくことにします。

ただし、市町村において首長の補助機関としてごみ処理に関する事務を担当している職員が国の施策や県の計画を知らなかった場合は単なる「過失」で済む問題ではありません。もちろん、地方財政法第8条の規定を知らないということはあってはならないことになります。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、平成27年度までの2村の職員と村長の発想を整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、2村は平成27年度までは完全に民間の発想でごみ処理を行ってきました。ちなみに、2村の村長が平成26年3月に改正したごみ処理計画は、平成35年度まで現体制(中北組合)を維持して行く計画になっており、他の市町村との広域処理については検討課題から除外しています。 

ということで、下の画像をご覧下さい。

これは、2村の村長が平成26年3月にごみ処理計画を改正する前と改正した後の2村の職員と村長の発想を整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

2村の関係者や浦添市の関係者がどこまで理解しているかは分かりませんが、この資料に書いてあることは紛れもない事実なので、平成26年度からの2村は民間の発想でごみ処理を行っていくことを決定していたことになります。

言うまでもなく、民間の発想であれば地方財政法第8条の規定は適用されないことになるので、法令違反にもならないことになります。

次に、下の画像をご覧下さい。

平成28年3月7日に、中城村の村長は平成27年度までの施政方針を変更して、浦添市との広域処理を推進することを正式に表明しました。したがって、平成28年度からは民間の発想ではなく公共の発想でごみ処理を行っていくことを決定したことになります。

平成28年度における中城村の村長の施政方針

原寸大の資料(画像をクリック) 

2村の職員と村長が公共の発想でごみ処理を行っていくことにしなければ広域処理を推進することはできません。そして、広域処理を推進するための協議会を設立することもできないことになります。

下の画像をご覧下さい。

これは、2村の職員と村長が平成28年度から公共の発想で事務処理を行うようになった場合を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、2村が広域処理を推進するかどうかはともかく、平成28年度から公共の発想でごみ処理を行っていくためには、2村の村長が平成26年3月に改正したごみ処理計画を直ちに見直して法令違反を是正る必要があります。 

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、2村の職員と村長が浦添市との広域処理を推進するために公共の発想で事務処理を行う場合を想定して作成した資料です。

2村が平成25年度までの公共の発想に戻れば、ごみ処理計画(公文書)に虚偽の記載があることはすぐに分かるので、1日で適正化に関する事務処理を行うことができます。

また、廃棄物処理法の基本方針や廃棄物処理施設整備計画、県の廃棄物処理計画についてはネット上に公開されているので、これらについても1日あれば余裕を持って内容を確認することができます。

廃棄物処理法基本方針

廃棄物処理施設整備計画

沖縄県廃棄物処理計画(第三期)

原寸大の資料(画像)

上の画像において問題になるのは、2村がどの段階で、①溶融炉を休止していることが地方財政法第8条の規定に違反していることに気が付くか、②広域処理を推進する場合は廃物処理法第6条第3項と地方財政法第2条第1項の規定を遵守しなければならないことに気が付くかということです。

廃棄物処理法

地方財政法

しかし、このブログの管理者は、少なくとも2村の職員はそのことに気が付いていると判断しています。なぜなら、既に平成28年度になってから2ヶ月近い時間が経過しているからです。この間に、2村の職員は浦添市との事前協議において浦添市の職員(過去も現在も公共の発想で事務処理を行っている職員)から注意またはアドバイスを受けていると考えられるからです。

なお、2村の村長は3月の時点で中城村の村長の任期が満了する前に協議会を設立することができると考えていたはずです。なぜなら、広域施設を浦添市に整備することは昨年の12月の段階で決定しているからです。そして、4ヶ月(平成28年3月7日から平成28年7月3日まで)あれば必要となる事務処理は終了すると考えていたはずだからです。

したがって、上の画像は中城村の村長の任期が満了するまでの2村の職員の事務処理を整理した資料ということになります。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、2村の職員が国の施策や県の計画を確認して、廃棄物処理法第6条第3項と地方財政法第2条第1項の規定も確認した場合を想定して作成した資料です。

なお、2村の職員がこの事務処理を行えば、地方財政法第8条違反は自動的に是正されることになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

2村の職員が公共の発想で県の廃棄物処理計画を確認すれば、溶融炉の休止を中止することはすぐに決定します。また、2村の職員が公共の発想で国の施策(廃棄物処理法の基本方針と廃棄物処理施設整備計画)を確認すれば、供用開始から16年目(平成30年度)までに焼却炉の長寿命化を完了することもすぐに決定します。

したがって、平成30年度に焼却炉の長寿命化を完了することが広域処理を推進するためのタイムリミットになることもすぐに理解できるはずです。

下の画像をご覧下さい。

これは、2村ではなく、浦添市のごみ処理計画の法令に基づく「位置づけ」を整理した資料です。

浦添市は、平成23年3月に、2村と同様に県の廃棄物処理計画を上位計画としてごみ処理計画を改正しています。そして、公共の発想で適正にごみ処理を行っています。

原寸大の資料(画像をクリック)

浦添市は供用開始から11年目に溶融炉の長寿命化を実施しています。そして、国の施策や県の計画に従って最終処分ゼロを継続しています。

1市2村が広域組合を設立すると2村の焼却炉は広域組合の既存施設になりますが、浦添市は供用開始から16年目に焼却炉の長寿命化を実施することは遅すぎると考えるはずです。また、長寿命化を実施していない焼却炉を広域組合が引き継ぐことは拒否するはずです。

下の画像をご覧下さい。

これは、2村が供用開始から16年目までに焼却炉の長寿命化を実施しなかった場合を想定して作成した資料です。 

原寸大の資料(画像をクリック)

2村の職員が公共の発想で国の施策や県の計画を確認すれば、供用開始から16年目までに焼却炉の長寿命化を完了することがタイムリミットになることはすぐに理解できるはずです。

したがって、万が一、広域組合を設立する前に焼却炉の長寿命化を完了しなかった場合は、浦添市も民間の発想で広域処理に関する事務処理を行っていくことになってしまいます。もちろん、その場合は国の補助金を利用する権利を放棄することになるので、1市2村は自主財源により広域施設の整備を行うことになってしまいます。

下の画像をご覧下さい。

これは、2村の職員が公共の発想で適正な事務処理を行った場合を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

浦添市の計画によると、平成30年度には国や県と協議を行い広域組合を設立するための地域計画を決定することになっています。その時には、当然のこととして既存施設に対する施策についても国や県からチェックを受けることになります。

したがって、平成30年度の時点で国や県に対して上の画像にあるような事務処理を行っていることを報告できなかった場合は地域計画を決定すること(平成31年度に広域組合を設立すること)は不可能になります。

下の画像をご覧下さい。

これは、2村の職員や村長が中城村の村長の任期が満了するまでに協議会を設立することができなかった場合、つまり、2村の村長が協議会の設立を先送りした場合を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

2村の職員や村長が公共の発想で浦添市との広域処理を推進するための事務処理を行った場合は、間違いなく中城村の村長の任期が満了する前に協議会を設立することができます。

なぜなら、広域施設の整備に関する基本計画は既に決定しているので、2村の職員が公共の発想で国の施策と県の計画を確認すれば、1週間から2週間程度で協議会を設立するための事務処理を終了することができるからです。

したがって、2村の村長が中城村の村長の任期が満了する前に協議会の設立を見送った場合は、2村の村長の発想は平成27年度までと同じ発想(民間の発想)ということになってしまいます。

そうなると、浦添市としては完全にタイムオーバーということになるので、広域処理はほぼ間違いなく白紙撤回になります。

いずれにしても、中城村の村長が法令違反を是正しないまま任期を満了した場合は、それだけで2村の職員と村長は「公共の発想」で事務処理を行っていないことになります。

下の画像をご覧下さい。

これは、2村の職員と村長が平成28年度になっても民間の発想から脱却できなかった場合を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

2村の職員と村長は平成28年度から浦添市との広域処理を推進することを決定していますが、平成27年度までと同じ民間の発想で事務処理を行った場合は、ほぼ間違いなく、広域施設の整備に関する事務処理を浦添市に委託することになるはずです。なぜなら、広域施設は浦添市に整備することが決定しているからです。

そして、2村のごみ処理についても、平成27年度までと同じ発想で行っていくことになります。したがって、2村の職員と村長は、広域施設が完成するまで、溶融炉を休止したまま焼却炉の長寿命化も行わずに、焼却灰の民間委託処分を続けて行くことになります。

しかし、2村の職員や村長が本気でそのようなことを考えているとした場合は、既に浦添市の方から広域処理を白紙撤回しているはずです。したがって、上の画像にあるような状況にはならないと考えますが、万が一、浦添市の職員が2村の職員に対して何の注意もアドバイスもしていない場合は、あり得ないことではないと考えています。

なぜなら、2村の職員と村長は平成26年度から平成27年度までの2年間は、地方公共団体としては絶対にあり得ない「虚偽のあるごみ処理計画」を住民に告示して「法令(地方財政法第8条)に違反する事務処理」を行ってきているからです。

このブログの管理者は、国内においてここまで大胆に民間の発想でごみ処理を行っている市町村を知りません。しかし、その大胆さは、おそらく2村の職員に「公共の発想」が著しく不足しているからだと考えています。

そうでなければ、わざわざ「虚偽のあるごみ処理計画(公文書)」を作成して村長に「告示」させるはずがありません。

最後に、下の画像をご覧下さい。

これは、1市2村が広域処理を推進するための協議会を設立するタイムリミットについて整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

この資料は、平成30年度から逆算した資料になっています。

1市2村が国の施策や県の計画に適合する広域組合を設立するためには、2村の焼却炉に対する長寿命化を平成30年度(供用開始から16年目)までに完了していなければならないことになります。

そのためには、平成29年度に焼却炉の長寿命化を行うための地域計画を策定しなければならないことになります。そして、そのためには平成29年度に代替措置を講じて溶融炉を廃止しなければならないことになります。

しかし、溶融炉を廃止するための代替措置については簡単に決めることはできません。少なくとも半年以上はかかります。 しかも、琉球大学や民間のノウハウを活用しなければなりません。

なぜなら、国や県には代替措置に関するノウハウがないからです。

したがって、協議会については中城村の村長の任期が満了する前に設立することがタイムリミットになります。そして、それができなかった場合は完全にタイムオーバーということになります。

※2村にとっては、広域処理を推進するかしないかにかかわらず、平成30年度(供用開始から16年目)に焼却炉の長寿命化を実施することが、住民の福祉の増進を図り最少の経費で最大の効果を挙げるためのタイムリミットになります。

ごみ処理施設の長寿命化計画作成の手引き(環境省)

ごみ処理施設の長寿命化マニュアル(環境省)

広域処理の成功を祈ります。