沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(村長の施政方針と任期満了)

2016-05-17 23:00:25 | ごみ処理計画

今日は、中城村の村長の平成28年度における施政方針と任期の満了について書きます。

なお、北中城村の村長の施政方針は村の公式サイトには公開されていません。しかし、中城村の村長の施政方針は村の公式サイトに公開されています。その施政方針には下の画像にあるように北中城村も広域処理に参加することが明記されているので、浦添市との広域処理の推進は北中城村の村長の施政方針でもあると判断して記事を書きます。

中城村の平成28年度における施政方針(平成28年3月7日)

原寸大の資料(画像をクリック)

ということで、下の画像をご覧下さい。

これは、平成26年度から平成27年度までの広域処理に関する1市2村の取り組みを整理した資料です。

浦添市は平成23年3月にごみ処理計画を改正していますが、広域処理を検討課題として抽出しているので、平成26年度と平成27年度においても課題として抽出していたことになります。一方、2村は平成26年3月にごみ処理計画を改正していますが、広域処理を検討課題から除外して平成35年度までは現体制(中北組合)を維持することを決定しています。

原寸大の資料(画像をクリック) 

それでは、上の画像について順番に1つずつ考えて行くことにします。

(1)2村は浦添市が広域処理に関する基本計画をマスコミ発表した平成27年12月8日までに広域処理を検討課題として抽出している。

⇒浦添市が広域処理を検討課題から除外している2村との広域処理について勝手に基本計画を作成してマスコミ発表を行うことはあり得ないので、このことについては間違いはないと考えます。

(2)浦添市は2村との広域処理において広域施設を整備するための用地を提供することに同意している。

⇒マスコミ発表に当って、浦添市は広域施設を整備する場所を具体的に明示しているので、このことも間違いないと考えます。

(3)浦添市は平成27年度に広域処理を推進するための協議会を設立する予定でいたが、2村はマスコミ発表が行われた時点では広域処理については決断を保留して選択肢の1つと考えていた。

⇒2村はマスコミの取材に対して「選択肢の1つ」とコメントしているので、このことも間違いないと考えます。

(4)2村はマスコミ発表が行われた昨年の12月から、広域処理を前提に既存施設に対する施策について検討を開始している。

⇒このことは、平成28年3月7日に公開された中城村の平成28年度における施政方針を前提にすれば、間違いないと考えます。

(5)2村は平成28年3月7日の前に、広域処理を推進するための既存施設に対する施策について一定の結論を出していた。

⇒具体的な施策はまだ決定していなかったものの、既存施設に対する施策について一定の結論が出ていなければ、2村はまだ決断を保留して「選択肢の1つ」としていたはずです。したがって、平成28年3月7日に村長が施政方針を変更したことは、広域処理の推進を決断したことになり、その時点で一定の結論が出ていたと考えるのが妥当な考え方だと思います。

(6)2村の村長は平成27年度において既存施設に対する施策を決定することは困難であると判断して、協議会の設立を平成28年度に先送りした。

⇒2村の村長が広域処理の推進を決定した段階で既存施設に対する施策を決定することも可能な状況であった場合は平成27年度に協議会を設立することができたことになるので、このことも間違いないと考えます。

(7)浦添市はマスコミ発表から約3ヵ月後に、2村から正式に広域処理を推進することを告げられたが、協議会の設立については2村から平成28年度に先送りすること、つまり計画の遅延を告げられたことになる。

⇒中城村の施政方針に平成28年度に協議会を設立する予定と明記されているので、このことについては浦添市もそう考えているはずです。

(8)浦添市は平成24年度に既存施設に対する長寿命化を実施して広域処理を推進するための準備を整えているので、2村から「待機している期間」の延長を求められたことになる。

⇒浦添市にとっては協議会の設立を平成28年度に先送りするメリットはなにもありません。むしろ、計画が遅延することは平成24年度に長寿命化を実施した既存施設の老朽化が進むことになるので、2村の結論が出るまで待機していることはデメリットが増加することになります。 

(9)地方財政法第8条の規定や国の施策(廃棄物処理法の基本方針等)に従って処分制限期間を経過した溶融炉の長寿化を実施している浦添市は、2村が溶融炉を休止していることが地方財政法第8条の規定に違反していることを知っている。

⇒仮に浦添市が知らないとした場合は、2村と同じように設備(所有財産)の処分制限期間を経過した時に溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行っていたはずです。なぜなら、その方が確実に経費を削減することができるからです。

(10)浦添市は廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理計画を策定している市町村は、国の補助金を利用する権利を放棄していることを知っている。

⇒仮に浦添市が知らないとした場合は、処分制限期間を経過した焼却炉や溶融炉の長寿命化を実施して最終処分ゼロを継続するごみ処理計画は策定していなかったはずです。

以上により、平成27年度までの2村は添市との広域処理を推進すことを決定したにもかかわらず、既存施設に対する施策を決定することができなかったことになります。そして、浦添市は、そのために平成27年度における協議会の設立を見送らざるを得ない状況になってしまったことになります。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、1市2村における平成28年度以降の取り組みを整理した資料です。

平成28年度も既に1ヶ月を過ぎています。そして、7月3日には平成26年3月にごみ処理計画を改正した中城村の村長の任期が満了します。したがって、浦添市としては、それまでに協議会を設立することができなかった場合はタイムオーバーになると考えているはずです。なぜなら、中城村の村長が広域処理の推進を決定してから4ヶ月近くも法令違反の是正を行わずに既存施設に対する施策も決定しないということは、待機しているしかない浦添市からすれば広域処理を推進する意思がないと判断せざるを得ない状況になるからです。

原寸大の資料(画像をクリック)

それでは、上の画像について前の画像と同じように順番に1つずつ考えて行くことにします。

(1)2村が法令違反を是正することと、廃棄物処理法の基本方針に適合する既存施設に対する施策を決定することは中城村の村長が平成28年3月7日に施政方針を表明した時点で決定している。

⇒仮に、平成27年度における2村の既存施設に対する施策が法令に適合していて廃棄物処理法の基本方針にも適合している施策であるとすれば、1市2村は浦添市が予定していた通りに平成27年度に協議会を設立することができたことになります。

(2)2村は平成28年度になっても、1ヶ月半以上、既存施設に対する施策を決定することができないでいる。

⇒1市2村は既に広域施設の整備に関する基本計画については合意に達しています。しかも、計画地まで決定しているので、普通であれば、マスコミ発表の直後に協議会を設立することができたはずです。しかし、平成27年度においては3ヶ月以上既在施設に対する施策を決定することができませんでした。そして、5月の中旬を過ぎてもまだ協議会は設立されていません。その理由は、平成28年度になっても2村の既存施設に対する施策が決定していないことになります。

(3)2村は中城村の村長が施政方針を表明した3月7日の段階で、法令違反を是正するために溶融炉を廃止することと、焼却炉の長寿命化を実施することを決定していることになる。

⇒2村との広域処理に同意している浦添市が2村の法令違反を見逃して協議会を設立することは絶対にありません。また、浦添市が2村の溶融炉が国内で稼動している事例や長寿命化が行われている事例のない特殊な溶融炉であることは十分に承知しているはずです。なぜなら、1市2村が広域組合を設立した場合は、1市2村の既存施設を広域組合が無償で引き継ぐことになるからです。したがって、溶融炉を再稼動する選択肢は最初から除外しているはずです。なお、焼却炉の長寿命化を行わない場合は廃棄物処理法の基本方針に適合しないことになるので、長寿命化を実施することは必須条件になります。

(4) 法令違反を是正するために溶融炉を廃止しても、廃棄物処理法の基本方針に適合する代替措置を講じなければ協議会を設立することはできない。

⇒協議会は広域施設の整備に当って国の補助金を利用することを大前提にして設立することになるので、代替措置に関する具体的な方法やスケジュール等を決定しなければ協議会を設立するための条件が整わないことになります。

(5)2村が5月中に既存施設に対する施策を決定できなかった場合は、6月中に協議会を設立することができないことになり、中城村の村長は法令違反を是正しないまま任期を満了することになる。

⇒既存施設に対する施策には溶融炉を廃止(法令違反を是正)するための代替措置に対する施策も含まれています。なぜなら、代替措置を講じなければ焼却炉の長寿命化を行うことができないからです。したがって、6月中に協議会を設立することができなかった場合は法令違反を是正することもできなかったことになります。

(6)中城村の村長は平成27年度に広域処理を検討課題として抽出したときから半年以上も既存施設に対する施策を決定することができずに任期を満了することになる。

⇒1市2村が協議会を設立しても、2村は平成29年度には代替措置を講じて溶融炉を廃止しなければなりません。また、平成30年度には焼却炉の長寿命化を実施しなければなりません。そうなると平成28年度には代替措置を講じるための準備を完了していなければならないことになります。したがって、浦添市にとっては中城村の村長の任期が満了する前に協議会を設立することがタイムリミットになると考えます。

(7)中城村の村長の任期が満了した後において協議会を設立することができた場合であっても、平成28年度中に溶融炉を廃止するための代替措置に対する準備を完了しない場合は、平成29年度から広域施設を整備するための地域計画を策定するための事務処理を行うことができないことになる。

⇒広域施設の整備については、既存施設に対する施策(スケジュールを含む)が決定していなければ、地域計画の策定に関する事務処理を行っても無駄になります。なお、協議会を設立する場合は1市2村において覚書を締結することになりますが、当然のこととして2村の既存施設に対する施策についても覚書の中に明記することになります。

(8)中城村の村長が任期を満了する前に協議会を設立することができなかった場合は、結果的に平成31年度に広域組合を設立することは不可能になる。

⇒浦添市が広域組合の設立を平成32年度以降に先送りすることは、平成24年度に長寿命化を実施した既存施設の老朽化対策に余分な経費をかけなければならないことになります。広域処理における浦添市のメリットは広域施設の規模が大きくなることでスケールメリットが得られることにあります。しかし、人口の少ない2村との広域処理によって得られるスケールメリットは僅かしかないので、単独更新とのトータルコストの比較を行うと、広域処理のスケジュールが遅れた場合はそのメリットがなくなってしまう恐れがあります。したがって、中城村の村長の任期が満了する前に協議会を設立することができなかった場合はタイムオーバーになると考えます。

(9)中城村の村長が任期を満了する前に協議会を設立することができなかった場合は、平成26年3月にごみ処理計画を改正して法令に違反する事務処理を行うようになってから2年以上も違反を是正しなかったことになる。

⇒中城村の村長は溶融炉を廃止するつもりでごみ処理計画を改正したと考えています。また、ごみ処理計画を改正すると国の補助金を利用する権利を放棄することも承知していたと考えています。そして、国の補助金を利用する状況になったら再度ごみ処理計画を改正するつもりでいたと考えています。しかし、溶融炉を休止していること(法令違反)については放置してきました。したがって、任期を満了する前に職員に対して法令違反を是正する(溶融炉を廃止する)命令を行わなかった場合は、村民だけでなく浦添市の市民の評価も著しく低下することになると考えます。

(10)2村は広域処理が白紙撤回になると、平成29年度から40億円以上の基金の積み立てを行わなければならないことになる。

⇒2村が半年以上も既存施設に対する施策を決定することができなかった場合は、2村には代替措置を講じて溶融炉を廃止する意思がないと判断せざるを得ない状況になります。また、焼却炉の長寿命化を実施する意思もないと判断せざるを得ない状況になります。したがって、2村は今後も国の補助金を利用する権利を放棄したままごみ処理を行っていくことになります。そして、代替措置を講じて溶融炉を廃止しない限り国の補助金を利用する権利を確保することはできないことになるので、2村においては最低でも40億円以上の自主財源が必要になります。仮にそうなった場合は、中城村の村長は住民に過大な財政負担を強いた形で任期を満了することになってしまいます。

以上により、2村の村長にとっては中城村の村長の任期が満了する前に協議会を設立することが施政方針に即して広域処理を推進するための必須条件になると考えます。

なお、2村の村長は下の新聞の記事にあるように平成28年2月22日に中城村内に宜野湾市と北谷町と西原町の5市町村が共同で建設する予定であった広域火葬場の計画を白紙撤回しています。

その理由の1つに財源の確保に関する事務処理が十分に行われていなかったことが挙げられていますが、浦添市との広域処理が白紙撤回になると2村の村長は同じ理由によって失敗することになります。 


中城村内計画の公営火葬場白紙に 財源の確保困難

琉球新報 2015.10.16

【中部】公営の火葬場がない宜野湾、北谷、西原、北中城中城の5市町村が中城村内に建設を計画する「中部南地区火葬場・斎場」(仮称)について、約40億円の財源確保のめどが立たず、地元の合意も得られていないことから、場所も含めて計画を白紙に戻す方向で調整していることが15日までに分かった。関係者によると、既に各首長同士で計画白紙の意向を確認しているという。現在の計画では2019年供用開始の予定だが、計画白紙となれば供用開始の遅れは避けられない。

5市町村でつくる建設検討委員会(委員長・松川正則宜野湾市副市長)は当初、5市町村のうち3市町村が基地所在市町村のため防衛省予算の活用を検討した。だが基地がない自治体もあることから、防衛省予算では活用できるメニューがなく断念した。さらに一括交付金の活用についても県と協議したが「火葬場は沖縄の特殊事情に由来せず、なじまない」として見送られた。予算確保のずさんさなど行政手続きをめぐって批判が出そうだ。

5市町村の住民は現在、他市町村で高額な費用を負担して火葬している。そのため5市町村が合同で造ろうと12年に建設検討委を発足、13年9月までに中城村安里の県道35号沿いを建設候補地に決定した。

一方、候補地の安里区で15年3月に建設反対の立場を取る区長が誕生した。建設反対を決議するなど反発が強かった。検討委は10月末までに、5市町村の枠組みのまま候補地の再検討を進めることを確認する見通しだ。


中部南火葬場を白紙化 5市町村建設委解散決める

沖縄タイムス 2016.2.23

【中部】中部南地区の広域火葬場・斎場建設計画で、宜野湾、北谷、西原、中城北中城の各市町村長は22日夜、宜野湾市役所で会合を開き、5市町村による建設検討委員会の解散を決めた。中城村安里を候補地とする建設計画はいったん白紙となることが正式に決定、各市町村は5市町村による建設の枠組みを維持するかも含め再検討する。

会合では、事務レベルや副市町村長によるこれまでの協議で白紙化はやむを得ないとの報告があり各市町村長も了承した。一方で宜野湾市などが5市町村による検討の枠組み自体は維持したいとしたのに対し、中城村などは仕切り直しを明確にする意味から解散を主張。最終的に全員一致で検討委解散を決めた。

会合後、計画を先導する立場の宜野湾市の佐喜真淳市長は「火葬場が必要との認識では一致しているが、財源確保の問題のほか候補地の反対もありこのままでは前に進めない」と解散理由を説明した。 


下の画像は平成27年度における中城村の村長の施政方針から広域火葬場の建設に関する部分を抜粋したものですが、この約7ヶ月後に財源の確保が困難であることが判明しています。

浦添市との広域処理が白紙撤回になるとすれば同じ理由で失敗することになりますが、その場合、2村の村長は平成28年において2度、村長が決定した重要な施策を白紙撤回することになってしまいます。 

中城村における平成27年度の施政方針(平成27年3月6日)

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、2村の村長には財源の確保に関する事務処理を軽視しているところがあります。また、2村の職員には財源の確保に関する事務処理を苦手にしているところがあります。

しかし、浦添市は国の施策や県の計画に従って処分制限期間を経過した「運転経費の高い」溶融炉の長寿命化を実施して、最終処分ゼロを継続することによって最終処分場の延命化を図るための努力をしています。しかも、浦添市は2村に対して広域施設を整備するための用地を提供することにも同意しています。

その浦添市からすれば、2村は現村長が2年前にごみ処理計画を改正して「運転経費の高い」溶融炉を休止してから何の努力もしていないことになります。

したがって、2村の村長が中城村の村長の任期が満了する前に法令違反を是正しなかった場合は、浦添市は地方自治法の規定に従って市民の福祉の増進を図るために、広域処理を白紙撤回しなければならない状況に追い込まれてしまうと考えます。

【地方財政法第8条】

地方公共団体の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならない。

【廃棄物処理法第6条第3項】

市町村は、その一般廃棄物処理計画を定めるに当たっては、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関し関係を有する他の市町村の一般廃棄物処理計画と調和を保つよう努めなければならない。

【地方自治法第2条第16項】

地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。

【地方自治法第147条】

普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体を統轄し、これを代表する。

【地方自治法第148条】

普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の事務を管理し及びこれを執行する。

【地方自治法第154条】

普通地方公共団体の長は、その補助機関である職員を指揮監督する。

【地方自治法第1条の2第1項】

地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。

【地方自治法第2条第14項】

地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。

【地方財政法第4条第1項】

地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。

【地方公務員法第30条】

すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

広域処理が

白紙撤回にならないことを

祈ります。