沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(1市2村の考え方の違い)

2016-05-15 09:03:18 | ごみ処理計画

今日は平成27年度までの1市2村のごみ処理計画における溶融炉(既存施設)に対する施策の違いについて書きます。

まずは、下の画像をご覧下さい。

これは、沖縄県の廃棄物処理計画(第三期)から溶融炉に関する部分を抜粋して、このブログの管理者が赤線を引いたものですが、県の計画は溶融炉の整備を促進して最終処分場の延命化を図る計画になっています。

【沖縄県における最終処分に関する課題】

【沖縄県における溶融炉に関する施策】

原寸大の資料(画像をクリック)

次に、下の画像をご覧下さい。

上は浦添市のごみ処理計画から溶融炉に関する部分を抜粋したものですが、浦添市の場合は溶融炉の稼動を続けることで最終処分ゼロを継続して行く計画になっています。そして、必要に応じて最終処分場の整備を検討する計画になっています。

下は北中城村のごみ処理計画から溶融炉の関する部分を抜粋したものですが、北中城村(2村及び中北組合)の場合は、溶融炉の稼動を行わずに焼却灰の民間委託処分を継続して行く計画になっています。そして、最終処分場の整備については検討しない計画になっています。

【浦添市における最終処分に関する施策】

【北中城村(2村)における最終処分に関する施策】 

原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像をご覧下さい。

1つ目は浦添市のごみ処理計画から抜粋した資料です。そして、2つ目は国(環境省)が作成しているごみ処理基本計画策定指針から抜粋した資料です。

市町村のごみ処理計画は市町村の自治事務に関する計画になるので、必ずしも県の計画を上位計画にする必要はありません。しかし、市町村がごみ処理施設の整備に当って国の補助金を利用する前提でごみ処理計画を策定(改定)する場合は、2つ目の画像にあるように、県の計画を上位計画として位置づけることになります。したがって、浦添市のごみ処理計画と県の計画との関係は国が作成したごみ処理基本計画策定指針にある関係と同じ関係になっています。

ところが、溶融炉に対して浦添市とはまったく異なる考え方をしている2村のごみ処理計画も同じ関係になっています。しかし、2村の計画は県の計画を完全に無視しています。 

【浦添市のごみ処理計画の位置づけ】

【ごみ処理基本計画策定指針における市町村のごみ処理計画の位置づけ】

【北中城村(2村と中北組合)のごみ処理計画の位置づけ】

 原寸大の資料(画像をクリック) 

   

なお、北中城村のごみ処理計画には廃棄物処理法の基本方針や廃棄物処理施設整備計画に関する記載がありません。おそらく、村の計画の位置付けを簡略化したからだと思いますが、実際に2村は廃棄物処理法の基本方針や廃棄物処理施設整備計画も無視しています。

このように、2村のごみ処理計画は、浦添市からすると理解に苦しむ計画になると思いますが、それでも、浦添市は2村との広域処理を推進することに同意しています。もちろん、浦添市は2村が考え方を改めて2村のごみ処理計画と浦添市のごみ処理計画との調和を確保することを求めていると思いますが、平成27年度にはその結論が出ませんでした。そして、平成28年度になってもまだ結論は出ていません。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、1市2村のごみ処理計画に対する考え方を整理した資料です。

1市2村はどちらも沖縄県の廃棄物処理計画を上位計画にしてごみ処理計画を改正しています。そして、浦添市の計画は県の計画に適合していますが、2村の計画は県の計画とは逆の計画になっています。

原寸大の資料(画像をクリック)

2村がなぜこのようなごみ処理計画を策定したのかは分かませんが、少なくとも2村の村長が県の計画を承知していれば、虚偽のある計画になるので県の計画を村の計画の上位計画にする決裁は絶対に行っていなかったはずです。

そうなると、2村の職員が県の計画を無視してごみ処理計画の改正案を作成して、県の計画を知らない2村の村長が決裁をした計画と考えた方が妥当と思われます。なぜなら、村長や議員や住民が知らなくてもごみ処理を担当している村の職員が県の計画を知らないはずがないからです。

しかし、2村の村長は、平成27年度に平成28年度から浦添市との広域処理を推進することを表明しています。そして、浦添市の市長も同意しています。

したがって、1市2村の職員は廃棄物処理法第6条3項の規定に基づいて1市2村のごみ処理計画の調和を確保するための事務処理を行わなければならないことになります。

そして、このことによって、2村の職員は平成28年度からは県の計画を無視することはできない状況になっています。 

下の画像をご覧下さい。

これは、1市2村の溶融炉に対する考え方を整理した資料になりますが、2村の考え方は、明らかに県の計画を無視した考え方であり、廃棄物処理法の基本方針や廃棄物処理施設整備計画を無視した考え方になります。

なお、2村がごみ処理計画を改正したときには、国のインフラ長寿命化基本計画が決定していました。その基本計画は平成28年度を「行動計画」の策定期限にしています。したがって、2村は2村がごみ処理計画を改正したときに溶融炉の長寿命化を行わないことを決定していたことになるので、2村はこのインフラ長寿命化計画も無視していることになります。その証拠に、2村は既に焼却炉の長寿命化を実施する時期を迎えているにもかかわらず、まだ長寿命化計画の策定を行っていません。 

原寸大の資料(画像をクリック)

2村が、地方財政法違反を是正(つまり、休止している溶融炉を廃止)すれば、現体制を維持したまま、国の施策や県の計画を無視してごみ処理を行っていくことは不可能でありません。しかし、2村が他の市町村(浦添市)との広域処理を推進する場合は、考え方を改めなければなりません。

その意味では、上の画像の一番下にある2つの法令の規定は、2村の考え方をチェックするための重要な規定になります。

下の画像をご覧下さい。

これは、2村の村長(実際は職員)が考え方を改めなかった場合を想定して作成した資料ですが、村長に広域処理を推進する意思があるとしても、職員にはないことになります。そして、2村の村長と職員には法令違反を是正する意思もないことになります。

したがって、中城村の村長の任期が満了する前に広域処理を推進するための協議会を設立することができなかった場合は、それ以上事前協議を続けても浦添市にとっては意味のない事務処理になるので、浦添市の方から広域処理を白紙撤回すべきだと考えます。

原寸大の資料(画像をクリック)

次の画像は、2村が広域処理を推進するために村の考え方を浦添市と全く同じ考え方に改めた場合を想定して作成した資料です。

この場合、2村は2年前にごみ処理計画を改正した行為を自ら撤回する形になりますが、広域処理を推進する場合は2村の溶融炉は広域組合の共有財産になります。したがって、法制度上、浦添市も2村の溶融炉に関するリスクを共有することになります。しかし、2村の溶融炉は国内では稼動している事例や長寿命化が行われている事例のない溶融炉なので、2村の村長と職員が考え方を改めたとしても、他の市町村(浦添市)との広域処理を推進する場合は地方財政法第2条第1項の規定に抵触することになるため、この場合も広域処理は白紙撤回ということになります。

なお、浦添市は事故や故障等のリスクの少ない「ストーカ炉+溶融炉」を選定していますが、2村と広域組合を設立した場合は、事故や故障等のリスクが高い「流動床炉+溶融炉」を選定することになります。したがって、1市2村の首長や職員が2村のこの施策に同意した場合であっても、浦添市の議会の承認や市民の同意は得られないと考えています。

いずれにしても、この施策(国内で稼動している事例のない溶融炉の再稼動と長寿命化)は2村にとってはギャンブルになるので、このブログの管理者は浦添市との広域処理を前提にした場合は地方財政法第2条第1項の規定に違反する施策になると考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

次の画像は、2村が法令違反を是正するために休止している溶融炉を廃止して、浦添市のごみ処理計画との調和を確保するために外部委託により焼却灰の資源化を継続することを想定して作成した資料です。

 

原寸大の資料(画像をクリック)

この場合、2村は浦添市の財政に累を及ぼすようなことにならないように、広域組合を設立してから広域施設が完成するまで間は、確実に外部委託を継続していかなければならないことになります。

しかし、外部委託については民間とのPFI事業として実施しない限り浦添市(市民)に対する担保にはなりません。2村の焼却炉は県内(本島)では唯一の流動床炉になりますが、この焼却炉からは塩分濃度の高い焼却灰(飛灰=ばいじん)が排出されるので、PFI事業として資源化を実施することはほぼ不可能な状況になっています。また、仮に可能だとしても排出量が少ないためにPFI事業を引き受ける民間企業は現れないと考えます。そして、現れたとしても、事業を実施するまでに相当の期間を要することになるので、広域処理は白紙撤回(タイムオーバー)になると考えます。

下の画像をご覧下さい。

このように、これまでことごとく国の施策や県の計画を無視してきた2村の村長(実際は職員)が、本気で浦添市との広域処理を推進するのであれば、外部委託に関する施策については完全に頭の中から消去して、自主的に代替措置を講じて溶融炉を廃止する施策を行うようにしなければならないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像の右側は、平成25年度から平成28年度までの2村の村長(実際は職員)の考え方を整理した資料になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

2村の職員が中城村の村長の任期が満了する前に、これまでの考え方を改めて、①法令違反を是正するために溶融炉を廃止すること、そして、②広域処理を推進するために自主的に代替措置を講じることを決定しなかった場合は、2村の村長に広域処理を推進する意思はあっても2村の職員にはないことになるので、浦添市は広域処理を白紙撤回して、市民の福祉の増進を図るために単独更新に関する事務処理に着手する必要があると考えます。 

ということで、下の画像をご覧下さい。

これは、2村がごみ処理計画を改正するときに、国の施策や県の計画を無視せずに、代替措置を講じて溶融炉を廃止していた場合を想定して策定した資料です。

この場合、焼却炉の長寿命化については平成27年度において着手しているか完了していたことになります。したがって、平成27年度において浦添市が予定していた広域処理を推進するための協議会を設立することができたことになります。 

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、2村は、2年前にごみ処理計画を改正するときに、代替措置を講じて溶融炉を廃止しなかったことにより、広域処理に対するハードルを自ら高くしてしまったことになります。

以上が、1市2村のごみ処理計画に関する考え方の違いです。

ここからは、代替措置に関する記事を少し書きます。

下の画像をご覧下さい。

これは、市町村のごみ処理計画と溶融炉を廃止するための代替措置の位置づけを整理した資料です。

1つ目の画像にあるように、溶融炉を廃止するために講じる代替措置は市町村の自治事務に対する自主的な施策になります。したがって、施策の実施に当って関係法令の規定を遵守すれば国や県の関与を受けずに実施することができます。

ただし、代替措置が廃棄物処理法の基本方針に適合しない場合は、代替措置を講じた市町村に対して国は財政的援助を与えることができなくなるので、代替措置にはならないことになります。ちなみに、これまで2村が行ってきた焼却灰の民間委託処分が廃棄物処理法の基本方針に適合しない代替措置ということになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

上の2つ目の画像にあるように、溶融炉を廃止するための代替措置については、環境基本法の規定(第16条第1項)と循環基本法の規定(第6条第2項)が適用されます。

しかし、本当に廃棄物処理法の規定は適用されないのか?

このことについては、このブログで前にも書きましたが、環境省が、①一般廃棄物の廃棄物該当性判断は国や県ではなく市町村が行うことになっている、②そもそも、占有者(市町村)が環境の保全上の支障を生じさせない方法で自ら利用するもの(溶融スラグなどの焼却灰の処理物等)については廃棄物(不要物)に該当しない、③市町村の自治事務が法令に違反していない場合は国や県は関与しない(関与できない)ということを表明しているので、廃棄物処理法は適用されないことになります。

ただし、占有者(市町村)が自ら利用しないものは不要物(廃棄物)になるので廃棄物処理法が適用されることになります。また、廃棄物処理法の基本方針に従って最終処分場を整備する場合も占有者(市町村)が不要物(廃棄物)を処分することになるので、廃棄物処理法が適用されることになります。

なお、2村が講じる代替措置については、環境基本法(第16条第1項)と循環基本法(第6条第2項)以外には国や県が関与するための根拠法はないので、2村がこの2つの基本法の規定を遵守すれば国や県の関与を無視しても国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を行うことができることになります。そして、1市2村が設立する広域組合において国の補助金を利用して広域施設の整備を行うことができることになります。

下の画像をご覧下さい。

これは、平成26年3月に2村の村長(実際は職員)が改正したごみ処理計画を整理した資料です。

このように、2村は国の施策や県の計画を無視することで、国の補助金を利用する権利を放棄しています。しかし、処分制限期間を経過した溶融炉の財産処分の承認手続を保留しているために、結果的に地方財政法に違反する事務処理を行っていることになります。

ただし、この法令違反については2村の職員が必要な事務処理を保留(先送り)しているだけなので、補助金適正化法の規定に従って適正に廃止すれば簡単に是正することができます。つまり、2村の職員に広域処理を推進する意思があれば、すぐにでも法令違反を是正することができる状況になっています。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

2つ目の画像にあるように、2村のごみ処理計画は、民間の廃棄物処理業者とほぼ同じ発想で改正されている計画であることが分かります。2村が民間の廃棄物処理業者である場合は、溶融炉を休止していても地方財政法は適用されないことになるので、法令を遵守して事務処理を行っていることになります。

しかし、この発想(考え方)では、他の市町村(浦添市)との広域処理を推進することは絶対にできないことになります。

最後に、下の画像をご覧下さい。

これは、平成25年度から平成27年度までの2村のごみ処理計画と溶融炉に対する考え方を前提にして浦添市との広域処理に関する1市2村の職員による事務処理を想定して作成した資料です。

浦添市の職員の事務処理は、間違いなく公共の職員として適正な事務処理を行っています。しかし、2村の職員の事務処理は、その真意はともかく、結果的に民間の廃棄物処理業者の発想で事務処理を行っています。

その証拠に、平成27年12月に浦添市が広域施設の整備に関する基本的な計画をマスコミ発表したときに、2村の職員は「選択肢の1つ」というコメントを行っていました。このことは、平成27年12月の段階では2村の職員が2村の既存施設に対する施策を決定していなかったことを意味しています。なぜなら、決定していれば、浦添市と同じように平成27年度中に協議会を設立する予定であることを明言することができたからです。

したがって、このブログの管理者は、広域施設の整備に関する基本的な計画については、ほぼ間違いなく2村の職員が浦添市の職員に委託する形で作成していたと考えています。


原寸大の資料(画像をクリック)

 

1つ目の画像にあるように、2村の職員が民間の廃棄物処理業者の発想で事務処理行っているとすれば、広域処理の推進に必要となる事務処理を浦添市の職員に委託する可能性は十分にあると考えています。そして、広域施設の整備に当って分担金を負担すれば、広域施設が完成するまで民間の廃棄物処理業者の発想で既存施設に対する施策を継続して行く可能性も十分にあると考えています。

しかし、広域施設の整備に関する基本的な計画を策定する事務処理については浦添市に委託することができても、2村の既存施設に対する施策を決定することや、それ以後の事務処理まで浦添市に委託することはできません。

したがって、2つ目の画像にあるように、2村の職員が中城村の村長の任期が満了する前に、既存施設に対する施策を決定して協議会を設立することができなかった場合は、民間の廃棄物処理業者の発想から脱却することができなかったことになるので、浦添市は広域処理を白紙撤回して単独更新に変更することになると考えています。

いずれにしても、平成27年度までの2村は地方公共団体ではなく民間の廃棄物処理業者とほぼ同じ発想で事務処理を行っていたことになります。したがって、平成28年度以降もその発想から抜け切れない場合は、広域処理は白紙撤回になると考えています。

【2村(中北組合を含む)の職員の皆さんへのメッセージ】

地方自治法の規定に基づいて2村の住民の福祉の増進を図るためのラストチャンスになるので、民間の廃棄物処理業者と同じ考え方(発想)では他の市町村(浦添市)との広域処理を推進することはできないことを確認して、中城村の村長の任期が満了する前に法令違反を是正して、2村の村長の施政方針に従って浦添市との広域処理を推進するための協議会を設立して下さい。

【浦添市の職員の皆さんへのメッセージ】

地方自治法の規定に基づいて浦添市の住民の福祉の増進を図るために、中城村の村長の任期が満了する前に、2村との広域処理を推進するための協議会を設立することができなかった場合は、2村の村長に広域処理を推進する意思があっても、村長の補助機関である職員には広域処理を推進する意思や法令違反を是正する意思がないことになるので、広域処理を白紙撤回して単独更新に関する事務処理に着手して下さい。 

広域処理の成功を祈ります。