おせっちゃんの今日2

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名前の物語

2021-09-11 14:00:56 | いろいろ

今朝の朝日新聞「声」は、「みんなで語ろう・名前の物語」と題して特集が組んでありました。

私の名前は「おせっちゃん」という所から類推してくださっていると思いますが「節子」です。この節子にきちんと落ち着くまでに、多少の紆余曲折がありました。

大学卒業の日でした。卒業証書をいただきました。見ると名前が誤字でした。「節子」の「ふしづくり」が「こざと」になっているのです。わかりやすく言えば「節」の最後に書く右下の旗のような形の所が、四角ではなく、くにゃくにゃと波打っているのです。大事な卒業証書がこれではいけん、と思いました。

証書をもって事務室に行き、書き換えてくれるよう申し出ました。事務長が顔色を変えて反論です。
「ああたは、まちがっちょるというけんど、これをみいさん。わしらはまちがっちゃあいけんとおもうから、一人一人、戸籍抄本と突き合わせてやっちょるんよ」。
見ると、抄本の私の名前はくにゃくにゃのこざとの節(これではないせつ)になっているのでした。「卩」「阝」。後者になっていたのです。
「ああたの本当の名前はこれなんよ。書き換えられん」とのこと。すごすご引き下がりました。

それまで、小・中・高と「節」で証書は貰っていました。抄本謄本もつくづく見たことはありませんでした。まさか誤字が名前になっているとは。
親にも証書を見せて、いきさつを話しました。何処で間違いが起こったのだろうということになりましたが、そのままうやむやになりました。

母がこっそり推理したのは、犯人は父ではないかというのです。その時代は手書きで届けを出し、役所の人も手書きで原簿に書き加えていたに違いありません。犯人は、父か役所の受け付けた人かと推し量れるのです。父は独特の癖字を書く人でしたし、「節」をくにゃくにゃに書く時もあったようです。母が内緒ごとを言うように「おとーちゃんに違いないと思う」と。

そんなごたごたがありましたが、特に支障が起こるというわけでもなく「節子」で生き続けました。

世の中がパソコンで動くように時代は移っていきました。本籍地の役所から葉書が一枚来ました。
あなたの名前はパソコンでは打ち出されない誤字ですが、正しい「節」に直していいですか?という変更要請の文書でした。
ほっとしました。これで間違えではない「節子」になれたのです。
そんなわけで、今、私は「節子」です。