しずくな日記

書きたいなあと思ったときにぽつぽつと、しずくのように書いてます。

尊敬する先生へ

2012-08-13 21:39:56 | 日記
ふと思い出して、文学部時代お世話になった、
というか、私の今に決定的な影響を与えた先生のことをネットで調べてみる気になった。
心身ともにフラフラしてた私を、よく温かく叱咤激励してくださった先生。
滋賀県にある先生のご自宅にも、ゼミ生で遊びにいったことがある。

私が元々いた大学を随分前に退職されたのは知っていた。
名誉教授という肩書きが、基本アウトローな先生には全然似合わないなあと思った。
企業就職に強い大学の、これまた企業にコネのある教授がずらり居並ぶゼミの中で、
この先生だけは違った。
工場労働者、社会福祉施設の職員、家庭裁判所補佐官、高校教師そして大学教授という経歴の持ち主。
企業にコネなんてない人だった。
貧しい中で育ち、働きながら大学へ進学し、社会の底辺を見てきた人だった。
だからゼミ生は私を含め、たった6名。
この人のゼミは「左」系だから、就職に不利だよ、とも噂されていた。
社会福祉系のゼミだった。

でもとにかく絶対、この人についていこう、とゼミを決める2年生の終わりには既に思っていた。
口が相当悪い先生だったけど、底にある誠実でまっすぐな人柄を感じていた。


大学退職後も他の大学で教鞭をとっていらっしゃったのは知っていたから、
まだまだご活躍のことだとばかり思っていた。
この先生もその昔、高校の先生をしていたことがあるから
「先生~!!笑わないでくださいよ、私も、中学ですけど先生になりました!」と、
いつかご挨拶にいかなければと思っていたのに。



2011年3月12日に亡くなっていたことを今知った。
奇しくも、東日本大震災のつぎの日だ。

阪神淡路大震災の時は、仮設住宅での暮らしや孤独死について実態調査を指導されたことを伺っていた。
今回の震災でも、生きていらっしゃったら今頃、実態調査に入られていたと思う。

心筋梗塞だったという。
先生の言ってきたこと、研究してこられたことは、
これからの日本に必要なことだと思う。
先生の言葉を思い出す。

「僕の言っていることが今はわからなくても、
もっとあとになって、ぱっと分かる日もくるだろう。
話は『種』、芽を出す日まで、忘れるなよ。
ま、だから、人の話はとりあえず聴いておけよ。」



先生のお話、今になってひしひし心に響くものが増えてきました。
先生を、恩人だと思っています。どうしようもない学生だった私に、
常に温かく、人の道を説いてくださった先生だからです。


遅くなってごめんなさい、三塚武男先生。
ご冥福をお祈り致します。