つぼみな日々

いろんな花の蕾をもっていたい。たくさんの花を咲かせたい。
言葉を紡ぎたい私のブログです。

無意識の衝撃

2015-05-13 14:33:14 | 日記
先日、3分の2くらい残っている煙草を箱ごともらった。
吸い口にミントのカプセルが入っていて、それを噛んでカチッと割るとミントの清涼感と一緒に吸えるもの。
ミントが入っていないものもその場で吸わせてもらったけれど、その方が煙草の“あの匂いの味”がダイレクトにする。

30年間、特に理由もなく、いや時にとても毛嫌いして、本当に1本たりとも吸ったことがなかった。
笑ってしまうくらい、私は煙草の吸い方を知らない。

数か月前、初めて丸ごと1本吸った。
「花火を吸っているみたい!」という感想は記憶に新しい。

私にとって初めて煙草を吸うことは、「依存してしまうかもしれない」という身構えが多分にあった。
まあでも、本当にもしそうなっても、総合的にそれは良いことのような気がしたから、差し出された煙草を受け取ったのだった。

持ち方も、灰の落とし方も、煙の吐き方も、全然分からない。
買ってきてと言われたって、何がどれで何ミリで、ソフトケースとハードケースと、ほとんど何にも分からない。
かろうじて知っていることと言えば、吸いながらでないと火が付かないことくらいだ。

当たり前だけれど、1本吸って昇天するとか、体が熱くなるとか、気持ちが落ち着くとか、そんなことは全然なかった。
私は煙草に対して、ある種の魔法作用のようなものを実は期待していたのかもしれない。
煙の刺激だけは喉にきつく、こんな刺激になれてしまえるものなのか、と思った。

あれから、私は煙草のことを忘れていた。
そして箱ごともらった煙草が玄関に置いたままになっていたけれど、ふとあのミントのカプセルを割ってみたくなって火をつける。
一般的には、自分の手のひらを顔の方に向けて人差し指と中指で挟んで持つ、と教わったことを思い出しながら。

また煙が喉にきつく、むせる。
煙草をひと吸いしたら、空気とブレンドして好みの濃さにしてさらに吸い込む、とまた教わったことを思い出す。
なるほど、むせない。
灰皿も空き缶もないので、ティーライトキャンドルのカラを使う。

一連の動作を、私は鏡の前で行った。

中学生の頃、トイレで煙草を吸っていた人たちは、どのくらい煙草が好きで吸っていたのだろうか。
反抗のシンボルとしての意味や、惰性以外に、「嗜好品」として。

私は今のところ、この箱だけは長い時間をかけて吸い切りそうな気はしている。


「書家なら一度は書いてみたい言葉シリーズ」と題して、自分の拡張を図る。
「愛」「夢」「笑顔」「絆」「感動」「感謝」
そんなに簡単なことではなくて、涙が出そうになる。


憧れて糸子拵ふアッパッパ