=立川テント村通信=
◆ 朝雲レポート(11/25号~1/13号)
★ 毎年11月「自衛隊殉職隊員追悼式」が市ケ谷防衛省で行われている。昨年の「殉職者」は18人。迫悼式では死者を「柱」とよぶ。つまり今年は18柱。神道式の神様の数え方で、明確に靖国思想と接点を持つ。式典では遺族のあいさつも。米国で訓練中に死亡事故を起こしたパイロットの母親「殉職隊員は遺族にとって最高に自慢の家族であり、心から誇り」。これは自衛隊としては満点の惜別の言葉だろう。
しかし別面に掲載されている「殉職者名簿」には、「氏名非公表1名」とある。いじめやトラブルで自ら命をたった隊員はそもそも「柱」と呼ばれることもない。(11/25号)
★ 昨年5月から東京と大阪で開設された自衛隊の「コロナワクチン接種センター」が11月末に任務終了。196万回の接種回数の費用対効果を測るすべはない。
だが、衛生分野では、自衛隊が主導する初の「官民共同事業」であったことは押さえておくぺきだ。朝雲紙に登場する大臣・高官も、民間医療と自衛隊の「官民共同」をこれでもかとアピール。
「共にコロナと闘った仲間として今後も自衛隊にお力をお貸しいただきたい」(岸防衛相)。「自衛隊初の官民合同オペレーションに携われて大きなやりがい」(東京接種隊長・河野1陸佐)。「合言葉を書いたバッヂを作って、センター全体で共有」(大阪センター長・小池1陸佐)
★ コロナ対策に対しては、小学校からも感謝のメッセージ。朝雲紙も特大のスペースで、新宿区の小学生53名から送られた絵を掲載する。
取材に答えた1年生の担任教師「小学生にとって自衛隊は身近な存在ではなかったが、自衛隊の感染防止対策を知る中で、感謝の気持ちを伝えたくなった」「休校中のブルーインパルスにも勇気づけられた」「自衛隊の皆様には感謝の気持ちしかありません」
これが現代の小学校である。チクチクいう親は絶対に必要。(12/9号)
★ 2号にわたって、50代の愛媛県の歯科医が「歯科医ときどき予備自衛官」という体験投稿をしている。
試験会場で「医療系の方にはぜひ入隊してほしい。災害派遣の際には本当に助かります。私たちの仲間になってください」と声をかけられ感激。
教育訓練の場では、教官たちの熱意に胸を熱くし、息子と同じ年齢の班長の熱血指導を受ける。
「自衛隊の概念が一変した。自衛隊には鉄拳制裁などの暴力、差別や不公平な扱いなど、全くない」「訓練を通じて自衛隊は本当に信頼できる、誠実で、素晴らしい国防組織であると理解した」
この投稿者の主観に偽りはないだろう。だが、チヤホヤされる医官の予備自がなぞった表面が、どれだけ自衛隊をとらえているかは全くの別問題である。(12/16・23号)
★ 年末号は毎年「回顧」グラビアで終わる。
クアッド(日米豪印)や英・独などとの中国敵視の多国間訓練の拡大が最大のニュース。それに加えてオリパラ支援、アフガンC2派遣、30年ぶりの陸自大演習などが続く。(12/23号)
★ 昨年10月に、中ロの軍艦計10隻が、日本列島を周回したことも大きなニュース。領海侵犯はしていないため違法でもないのだが、笹川平相財団の小原凡司にその意図を分析させている。
「中国が軍事的手段を用いたことは、AUKUS(英・米・豪軍事同盟)の設立が関係している」「豪州と米国が南シナ海で攻撃側原潜を運用すれば、中国の戦略原潜は追尾され、中国の核抑止力は大きく低下する」「中国の危機感のメッセージを正確に読み取り、日本の意図を示さなければならない」
中国敵視政策のさじ加減は、今後も自衛隊を悩ましていくだろう。(12/9号)
★ 新年早々コラム「朝雲寸言」は過激。
「震災で大きな被害をうけた女川町は『還暦以上はロ出すな』を合言葉に新たな街づくり」「敵基地攻撃力を持たなくても済んだ『恵まれた世代』の思考停止が惰性のように幅を利かせていては、この先の日本は危うい」
何言ってんだこいつは?(1/6号)
★ 政府は「思いやり予算」という通称をやめて、「同盟強靭化予算」に変更するという。
在日米軍駐留経費、年2千億円超を「思いやり予算」と呼ぶようになったのは1978年のこと。命名者は金丸信だった。
いかにも軍事用語翻訳調の「同盟強靭化予算」は流行らないだろうが、俗っぽい言葉を必要としなくなった日米安保の「堅牢さ」の表われと言えるだろう。(1/13号)
『立川テント村通信』(2022年2月1日)
◆ 朝雲レポート(11/25号~1/13号)
★ 毎年11月「自衛隊殉職隊員追悼式」が市ケ谷防衛省で行われている。昨年の「殉職者」は18人。迫悼式では死者を「柱」とよぶ。つまり今年は18柱。神道式の神様の数え方で、明確に靖国思想と接点を持つ。式典では遺族のあいさつも。米国で訓練中に死亡事故を起こしたパイロットの母親「殉職隊員は遺族にとって最高に自慢の家族であり、心から誇り」。これは自衛隊としては満点の惜別の言葉だろう。
しかし別面に掲載されている「殉職者名簿」には、「氏名非公表1名」とある。いじめやトラブルで自ら命をたった隊員はそもそも「柱」と呼ばれることもない。(11/25号)
★ 昨年5月から東京と大阪で開設された自衛隊の「コロナワクチン接種センター」が11月末に任務終了。196万回の接種回数の費用対効果を測るすべはない。
だが、衛生分野では、自衛隊が主導する初の「官民共同事業」であったことは押さえておくぺきだ。朝雲紙に登場する大臣・高官も、民間医療と自衛隊の「官民共同」をこれでもかとアピール。
「共にコロナと闘った仲間として今後も自衛隊にお力をお貸しいただきたい」(岸防衛相)。「自衛隊初の官民合同オペレーションに携われて大きなやりがい」(東京接種隊長・河野1陸佐)。「合言葉を書いたバッヂを作って、センター全体で共有」(大阪センター長・小池1陸佐)
★ コロナ対策に対しては、小学校からも感謝のメッセージ。朝雲紙も特大のスペースで、新宿区の小学生53名から送られた絵を掲載する。
取材に答えた1年生の担任教師「小学生にとって自衛隊は身近な存在ではなかったが、自衛隊の感染防止対策を知る中で、感謝の気持ちを伝えたくなった」「休校中のブルーインパルスにも勇気づけられた」「自衛隊の皆様には感謝の気持ちしかありません」
これが現代の小学校である。チクチクいう親は絶対に必要。(12/9号)
★ 2号にわたって、50代の愛媛県の歯科医が「歯科医ときどき予備自衛官」という体験投稿をしている。
試験会場で「医療系の方にはぜひ入隊してほしい。災害派遣の際には本当に助かります。私たちの仲間になってください」と声をかけられ感激。
教育訓練の場では、教官たちの熱意に胸を熱くし、息子と同じ年齢の班長の熱血指導を受ける。
「自衛隊の概念が一変した。自衛隊には鉄拳制裁などの暴力、差別や不公平な扱いなど、全くない」「訓練を通じて自衛隊は本当に信頼できる、誠実で、素晴らしい国防組織であると理解した」
この投稿者の主観に偽りはないだろう。だが、チヤホヤされる医官の予備自がなぞった表面が、どれだけ自衛隊をとらえているかは全くの別問題である。(12/16・23号)
★ 年末号は毎年「回顧」グラビアで終わる。
クアッド(日米豪印)や英・独などとの中国敵視の多国間訓練の拡大が最大のニュース。それに加えてオリパラ支援、アフガンC2派遣、30年ぶりの陸自大演習などが続く。(12/23号)
★ 昨年10月に、中ロの軍艦計10隻が、日本列島を周回したことも大きなニュース。領海侵犯はしていないため違法でもないのだが、笹川平相財団の小原凡司にその意図を分析させている。
「中国が軍事的手段を用いたことは、AUKUS(英・米・豪軍事同盟)の設立が関係している」「豪州と米国が南シナ海で攻撃側原潜を運用すれば、中国の戦略原潜は追尾され、中国の核抑止力は大きく低下する」「中国の危機感のメッセージを正確に読み取り、日本の意図を示さなければならない」
中国敵視政策のさじ加減は、今後も自衛隊を悩ましていくだろう。(12/9号)
★ 新年早々コラム「朝雲寸言」は過激。
「震災で大きな被害をうけた女川町は『還暦以上はロ出すな』を合言葉に新たな街づくり」「敵基地攻撃力を持たなくても済んだ『恵まれた世代』の思考停止が惰性のように幅を利かせていては、この先の日本は危うい」
何言ってんだこいつは?(1/6号)
★ 政府は「思いやり予算」という通称をやめて、「同盟強靭化予算」に変更するという。
在日米軍駐留経費、年2千億円超を「思いやり予算」と呼ぶようになったのは1978年のこと。命名者は金丸信だった。
いかにも軍事用語翻訳調の「同盟強靭化予算」は流行らないだろうが、俗っぽい言葉を必要としなくなった日米安保の「堅牢さ」の表われと言えるだろう。(1/13号)
『立川テント村通信』(2022年2月1日)
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