◆ 2020年東京オリンピック開催決定の裏に、巨額の不正資金《後篇》 (星の金貨プロジェクト)
オーエン・ギブソン / ガーディアン 5月11日
今回の疑惑はIOCがただでさえ難問を抱えている最中に表ざたになりました。
この夏オリンピックの開催が予定されているリオデジャネイロは現在首相が深刻な政治問題の渦中にある上、その開催・運営能力に対する疑問が再浮上しており、IOCに対する圧力となっています。
さらには2024年以降のオリンピック開催地への立候補準備を進めている各国の都市に対し、大会開催が名誉と価値に溢れたものである事を納得させられるかという問題も生じることになりました。
2020年の東京開催の実現に関わる巨額の不正資金の支払いについて、電通が果たした役割についても疑問が生じています。
電通は日本の巨大広告会社ですが、国際陸上連盟(IAAF)の2029年までの一切の広告権利を電通が取得できるように、今回の疑惑の中心人物であるラミン・ディアク氏は辞任直前まであらゆる手段を尽くしました。
世界アンチドーピング機関(WADA)のディック・パウンド氏が議長をつとめ独立委員会が明らかにした報告書は、イアン・タン・トン・ハン氏が管理する不正資金の隠匿口座の存在について詳述しています。
イアン・タン・トン・ハン氏は日本の電通の子会社で、スイスのルツェルンに拠点を置くスポーツ事業の「アスリート・マネジメント・アンド・サービス」社の顧問を務めていたことがあります。「アスリート・マネジメント・アンド・サービス」社は国際陸上連盟(IAAF)の広告等の商業権利を扱うために設立された会社です。
コンピュータによる分析の結果、タン・トン・ハン氏はラミン・ディアック氏を含む国際陸上連盟(IAAF)の高官と頻繁に、そして定期的に接触し、「国際陸上連盟(IAAF)の役員のひとりであるかのように行動し」「国際陸上連盟(IAAF)の非公式の支配機構の一員であるかのように見えていた」ことが判明しました。
タン・トン・ハン氏は2014年に生まれた自分の子供をマッサタと名付けるほど、パパ・マッサタ・ディアク氏と親密な関係にありました。
報告書はさらにタン・トン・ハン氏がディアク・ファミリーと現在も続く共通の利害をシンガポールとセネガルに保有しているものと見られるとしています。
国際刑事警察機構(インターポール)はパパ・マッサタ・ディアク氏の逮捕を正式に通知しましたが、同氏はセネガル国内に潜伏しています。
ガーディアンからの質問に対し、日本の電通の広報担当者は同社が今回の不正資金の支払いについては一切関知しておらず、タン・トン・ハン氏を顧問として雇ったことも無いと語りました。
世界最大の広告企業のひとつである電通は先に、パパ・マッサタ・ディアク氏は国際陸上連盟(IAAF)の顧問ではあったが、電通の顧問であった事実は無いと表明していました。
不正資金口座の存在が初めて世界的に知られるようになったのは、2014年3月にロシアのマラソン・ランナー・リリア・ショブホワのドーピング検査での結果を隠ぺいしそこなった後に、30万ユーロ(約3,700万円)が彼女の口座に払い戻された際にこの口座が使われたことが暴露されたためでした。
国際陸上連盟(IAAF)の独立倫理学委員会は2014年後半、この件に関する詳細な調査に着手しました。
そして今年1月170ページに及ぶ報告書において動かぬ証拠を提示し、パパ・マッサタ・ディアク氏とアンチドーピング部門の責任者であったガブリエル・ドレを含む4人の高官を、腐敗と金銭的見返りを要求したかどで追放しました。
ラミン・ディアク元会長の法律顧問だったシス弁護士は国際陸上連盟(IAAF)から制裁処置を受けてはおらず、この報告書を作成した委員会によって面談も事情聴取もされませんでしたが、報告書の内容について争う姿勢を見せています。
パウンド委員会報告は、この不正資金口座がブラック・マーケティングを目的とするものであり、文字通り、「不正資金の洗浄」マネーロンダリングを目的とするものであったと断定しました。
関係者は、「数千万」ユーロの巨額の現金がこの口座を通り抜けたと考えています。
現在行われている捜査に関係するそれぞれ異なる2つの独立した情報源は、今回の7ケタに上る巨額の資金が2020年東京オリンピック開催に関わるところから支払われた点も捜査対象になっていることを確認しました。
パウンド委員会報告の補足には2020年のオリンピック開催地決定の際、行なわれた可能性がある犯罪のシナリオについて次のように記載されています。
日本のスポンサーがIAAFとの協定に署名したことを受け、ラミン・ディアク氏がイスタンブールに対する支持を翻して東京支持へと立場を変えた。
ラミン・ディアク氏が突如立場を変えたことについて、東京側は『自分たちの理解を超えている』と話し、イスタンブール側は今回の敗因がその事によるものではないと考えていると答えていました。
国際オリンピック委員会(IOC)は、ラミン・ディアク氏の主張の根拠となった会話記録について調査を行う意向であることを明らかにしました。
パパ・マッサタ・ディアク氏はセネガル警察から7時間に及ぶ事情聴取を受けましたが、司法当局は同氏を国外追放にはしないと語っています。
ガーディアンの取材に対し、パパ・マッサタ・ディアク氏は次のように語りました。
「これら問題については現在フランスの警察及び司法当局によって調査中のため、私はいかなるコメントもするつもりはありません。」
国際オリンピック委員会(IOC)は、リオデジャネイロでの夏季オリンピック大会の開催前に第129回の総会を開催する予定ですが、倫理・コンプライアンス部門の責任者が、国際陸上連盟(IAAF)の問題を調査中の世界アンチドーピング機関(WADA)とフランスの治安判事とすでに接触し、司法手続きのための捜査に協力していると語りました。
その上でIOCのスポークスマンは次のように付け加えました。
「IOCの倫理・コンプライアンス部門の主要な役員は、嫌疑のかかっているすべての不正行為を明らかにするため、利害関係のあるすべての組織と接触を続けています。IOCは現段階においてそれ以上の内容については明らかにできません。」
https://www.theguardian.com/sport/2016/may/11/tokyo-olympics-payment-diack-2020-games
『星の金貨プロジェクト』
http://kobajun.chips.jp/?p=27819
オーエン・ギブソン / ガーディアン 5月11日
○ 疑惑の中心にいる複数の人物と日本の巨大広告企業、そしてスイスの子会社との関係は…
○ 国際スポーツ機関に黒い触手を広げるファミリーと日本をつなぐ第三の男
○ 黒い人脈と不正資金の流れを暴いた、世界アンチドーピング機関(WADA)の独立委員会
今回の疑惑はIOCがただでさえ難問を抱えている最中に表ざたになりました。
この夏オリンピックの開催が予定されているリオデジャネイロは現在首相が深刻な政治問題の渦中にある上、その開催・運営能力に対する疑問が再浮上しており、IOCに対する圧力となっています。
さらには2024年以降のオリンピック開催地への立候補準備を進めている各国の都市に対し、大会開催が名誉と価値に溢れたものである事を納得させられるかという問題も生じることになりました。
2020年の東京開催の実現に関わる巨額の不正資金の支払いについて、電通が果たした役割についても疑問が生じています。
電通は日本の巨大広告会社ですが、国際陸上連盟(IAAF)の2029年までの一切の広告権利を電通が取得できるように、今回の疑惑の中心人物であるラミン・ディアク氏は辞任直前まであらゆる手段を尽くしました。
世界アンチドーピング機関(WADA)のディック・パウンド氏が議長をつとめ独立委員会が明らかにした報告書は、イアン・タン・トン・ハン氏が管理する不正資金の隠匿口座の存在について詳述しています。
イアン・タン・トン・ハン氏は日本の電通の子会社で、スイスのルツェルンに拠点を置くスポーツ事業の「アスリート・マネジメント・アンド・サービス」社の顧問を務めていたことがあります。「アスリート・マネジメント・アンド・サービス」社は国際陸上連盟(IAAF)の広告等の商業権利を扱うために設立された会社です。
コンピュータによる分析の結果、タン・トン・ハン氏はラミン・ディアック氏を含む国際陸上連盟(IAAF)の高官と頻繁に、そして定期的に接触し、「国際陸上連盟(IAAF)の役員のひとりであるかのように行動し」「国際陸上連盟(IAAF)の非公式の支配機構の一員であるかのように見えていた」ことが判明しました。
タン・トン・ハン氏は2014年に生まれた自分の子供をマッサタと名付けるほど、パパ・マッサタ・ディアク氏と親密な関係にありました。
報告書はさらにタン・トン・ハン氏がディアク・ファミリーと現在も続く共通の利害をシンガポールとセネガルに保有しているものと見られるとしています。
国際刑事警察機構(インターポール)はパパ・マッサタ・ディアク氏の逮捕を正式に通知しましたが、同氏はセネガル国内に潜伏しています。
ガーディアンからの質問に対し、日本の電通の広報担当者は同社が今回の不正資金の支払いについては一切関知しておらず、タン・トン・ハン氏を顧問として雇ったことも無いと語りました。
世界最大の広告企業のひとつである電通は先に、パパ・マッサタ・ディアク氏は国際陸上連盟(IAAF)の顧問ではあったが、電通の顧問であった事実は無いと表明していました。
不正資金口座の存在が初めて世界的に知られるようになったのは、2014年3月にロシアのマラソン・ランナー・リリア・ショブホワのドーピング検査での結果を隠ぺいしそこなった後に、30万ユーロ(約3,700万円)が彼女の口座に払い戻された際にこの口座が使われたことが暴露されたためでした。
国際陸上連盟(IAAF)の独立倫理学委員会は2014年後半、この件に関する詳細な調査に着手しました。
そして今年1月170ページに及ぶ報告書において動かぬ証拠を提示し、パパ・マッサタ・ディアク氏とアンチドーピング部門の責任者であったガブリエル・ドレを含む4人の高官を、腐敗と金銭的見返りを要求したかどで追放しました。
ラミン・ディアク元会長の法律顧問だったシス弁護士は国際陸上連盟(IAAF)から制裁処置を受けてはおらず、この報告書を作成した委員会によって面談も事情聴取もされませんでしたが、報告書の内容について争う姿勢を見せています。
パウンド委員会報告は、この不正資金口座がブラック・マーケティングを目的とするものであり、文字通り、「不正資金の洗浄」マネーロンダリングを目的とするものであったと断定しました。
関係者は、「数千万」ユーロの巨額の現金がこの口座を通り抜けたと考えています。
現在行われている捜査に関係するそれぞれ異なる2つの独立した情報源は、今回の7ケタに上る巨額の資金が2020年東京オリンピック開催に関わるところから支払われた点も捜査対象になっていることを確認しました。
パウンド委員会報告の補足には2020年のオリンピック開催地決定の際、行なわれた可能性がある犯罪のシナリオについて次のように記載されています。
日本のスポンサーがIAAFとの協定に署名したことを受け、ラミン・ディアク氏がイスタンブールに対する支持を翻して東京支持へと立場を変えた。
ラミン・ディアク氏が突如立場を変えたことについて、東京側は『自分たちの理解を超えている』と話し、イスタンブール側は今回の敗因がその事によるものではないと考えていると答えていました。
国際オリンピック委員会(IOC)は、ラミン・ディアク氏の主張の根拠となった会話記録について調査を行う意向であることを明らかにしました。
パパ・マッサタ・ディアク氏はセネガル警察から7時間に及ぶ事情聴取を受けましたが、司法当局は同氏を国外追放にはしないと語っています。
ガーディアンの取材に対し、パパ・マッサタ・ディアク氏は次のように語りました。
「これら問題については現在フランスの警察及び司法当局によって調査中のため、私はいかなるコメントもするつもりはありません。」
国際オリンピック委員会(IOC)は、リオデジャネイロでの夏季オリンピック大会の開催前に第129回の総会を開催する予定ですが、倫理・コンプライアンス部門の責任者が、国際陸上連盟(IAAF)の問題を調査中の世界アンチドーピング機関(WADA)とフランスの治安判事とすでに接触し、司法手続きのための捜査に協力していると語りました。
その上でIOCのスポークスマンは次のように付け加えました。
「IOCの倫理・コンプライアンス部門の主要な役員は、嫌疑のかかっているすべての不正行為を明らかにするため、利害関係のあるすべての組織と接触を続けています。IOCは現段階においてそれ以上の内容については明らかにできません。」
https://www.theguardian.com/sport/2016/may/11/tokyo-olympics-payment-diack-2020-games
『星の金貨プロジェクト』
http://kobajun.chips.jp/?p=27819
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