パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

都教委個人情報漏洩裁判控訴審

2006年10月06日 | 増田の部屋
おはようございます。増田です。
 昨夜は疲労困憊していたため、横着報告で済ませてしまいました。

 本日、和久田弁護士による、理路整然、明快至極の「控訴理由書」が送られてきましたので、私の渾身の!? 陳述書とともに添付します。これに横田耕一先生の意見書をつければ、最強!? になる、ハズ・・・・「さぁ、高裁裁判官どもよ、これを覆すことのできる、どんな詭弁を考え出せるかね?」ってところなんですけど・・・裁判官が法律に基づいて裁きさえすれば公正な判決が出される、ってことは、9月21日の難波孝一・名判決で証明済みです。

 次回の裁判予定は、10月17日(火)13:15~対産経名誉毀損、控訴審第2回、812号法廷(たぶん、これで結審するでしょう)です。その他については、以下増田HPの「ますだのスケジュール」を見ていただければ嬉しいです! ご都合の合うときがありましたら、傍聴参加をお願いします!
http://www.masudamiyako.org/

…長いので2回に分けて掲載します。

2006年10月4日
                 陳  述  書
                                     増 田 都 子


 東京都教育委員会は1999年11月末から2000年3月末にかけて、原告(当時、足立区立第十六中学校教諭)の個人情報(処分説明書、研修発令通知書、事故報告書、研修状況報告書・・・これは原告の開示請求には完全非開示)を土屋たかゆき・田代ひろし・古賀俊昭の3都議に漏洩していました。

 これは、同都議らが原告を誹謗中傷するために出版した俗悪本に、これらの文書が掲載されていたことで発覚したものです。
 上記4文書を伊沢けい子都議が開示請求すると、被告・都教委は公開条例7条2号の「個人情報は開示してはならない」に違反するからと、開示しませんでした。

 そこで、原告は、東京都情報公開条例違反・個人情報保護条例違反による個人情報漏洩によってプライバシーを侵害されたことへの人権救済を求めて被告・都教委を提訴しました。

 しかし、本年6月28日第1審・東京地裁の裁判官によって作成された判決文は、暴論に次ぐ暴論が書きこまれており、裁判官ともあろうものが「法の番人」である任務を投げ捨て、「行政の違法行為」をこれでもかという調子で擁護、推奨し、これでよく恥ずかしくないものだ、と唖然とするものでした。以下、7点にわたって陳述します。

<裁判官の暴論、その1>
 判決文には「(原告に関する4文書は)公開条例7条2号の定める非開示情報に該当すると解することは可能である。しかしながら・・・7条2号の存在を同号に該当する文書を任意に開示等する行為を直ちに違法行為とみなす根拠規定として位置づけることはできない」とあります。
 つまり、裁判官が「都教委(行政)は、法令に違反することを『任意(好き勝手に!?)』に行っても『違法行為』とみなさない、というのです。

 伊沢都議には同条例をたてに開示しなかったのですから、都教委は「法令に従えば違法行為である」ことを十分に認識していたのです。しかし裁判官は「違法行為とみなさない」と認定するのです。これでは司法が被告・都教委(行政)に対して「違法行為を擁護し、追認し推奨し、行政法律主義を守らなくても良い」とお墨付きを与えることになり、法令で『個人情報保護』をしている意味が全くなくなります。「法の番人」としての裁判所の存在意義も、自ら否定してしまうことになります。

<裁判官の暴論、その2>
 判決文では「個人情報保護条例十条に違反するものということになる」と認定しました。
 同条は「実施機関は、個人情報を取り扱う事務の目的を超えた個人情報の当該実施機関内における利用及び当該実施機関以外のものへの提供をしてはならない」ですから当然、3都議に「原告個人情報」を「提供」したのは違反です。この被告・都教委の行為が、「法令違反」を犯したものであることは中学生にだって分別が有れば分かります。判決は被告・都教委が法令によると「提供してはならない」対象であると規定されている都議個人に、法令によると「提供してはならない」と規定されている個人情報を提供するという、通常はありえない行政による二重の法令違反を認定しました。

 ところが、地裁裁判官によれば「しかしながら」上記4文書は、原告の「プライバシー情報」=私生活情報には当たらない職務に関するものだから「プライバシー侵害に該当しない」!? と、被告・都教委による二重の法令違反を是認するのです・・・この地裁裁判官の判断力では個人情報保護条例がなぜ「積極的、消極的(私生活)プライバシーの権利保護を目指したものであると解されて」いるのか、まるで理解できていないといわざるを得ません。

 同判決には「都知事名の通達によれば『公務員等の勤務態度、勤務成績、処分歴等職員としての身分取り扱いにかかわる情報は・・・(公開していい)職務の遂行にかかわる情報』には当たらない」(カッコ内原告)つまり、それらは公開してはならないものである、と書いてあります。ところが、それが「法令に従って公開されない」ことを原告が期待することは権利として認めない、というのです。なぜなら、3都議が都議会において原告の実名をあげて処分を議論し、産経新聞(のみ!)が実名入りで処分のことを書いているので「一般の人に未だ知られていない(プライバシー)情報とはいうことができない」からだそうです。

 そして「当該文書の内容が広く知られている場合には、その情報が広く開示されることによって、私生活上の平穏が害されることはない」とも書いています・・・よくもまぁ、裁判官が、こんなことを書けるものですね!? 「内容が広く知られている」といっても、右翼偏向と定評のある産経新聞だけの、それも興味関心のある一部の読者だけに過ぎないものを、しかも「内容」でなく、広く知られてはいない生年月日まで記載された文書そのものを法令に違反して公開することが、どうして「権利として保護されるべきプライバシ-・・・侵害には該当しない」となるのでしょうか? ここでも「行政は違法行為をおかしてもいいよ」と、この地裁裁判官らは言ってあげるのです。

<裁判官の暴論、その3>
 被告・都教委が公開条例、個人情報保護条例に違反して漏洩した「研修状況報告書」には「病歴」も含まれていました。判決は、これはさすがに「プライバシーに関する事実に該当する」と認定しました。「しかしながら」「その内容に照らし秘匿の必要性が高い情報に当たることまでは認めがたい・・・本件情報が本件議員らに提供されたことにより、原告のプライバシーが大きく侵害されたと評価することは相当ではなく、侵害があったとしても、その程度は軽微なものと評価すべきである」!? なぜなら、3都議もさすがにこれだけは「本件書籍」である俗悪本に公開していないし、原告が「研修」を欠席したことの正当な理由の説明として3都議に被告・都教委が提供したものだから、と。

 病休を取るために被告・都教委に提出した診断書の病名=(消極的)プライバシー情報を、原告に対する誹謗中傷を何年にもわたって都議会内外で執拗に繰り返してきた3都議に、何種類もの法令に違反して被告・都教委が漏洩しても、裁判官が勝手に「秘匿の必要性が」低いのだから、おまえの被害は「軽微だと評価すべき」「プライバシーを侵害しても違法性を認めることはできない」というのです。

 原告は、他の誰に知られても、この3都議にだけは被告・都教委だけに提出した診断書の病名など知られたくなかったものです。まさか、診断書に書かれた病名を行政庁の被告・都教委が法令に違反して3都議に漏洩するとは思いもしないから提出したのです。そんなことを被告・都教委がしていた、という事実を知っただけでも、気持ち悪く何日も眠れないぐらいで、さらに病気が悪化したのに、それを裁判官が「軽微だと評価・・・違法性はない」とは・・・いったい何のための「プライバシー権」なんでしょうか? 何のための「個人情報保護」なんでしょうか?

 行政庁が法令で禁じている行為を行い(個人情報保護条例違反、情報公開条例違反、地公法の守秘義務違反)、一方、法令でしなければならないと義務規定となっていることは行わず(保護条例十一条『必要な措置を講ずることを求めなければならない』)、その結果、強い精神的苦痛を受けた被害者に対して、裁判官が「お前の被害は軽微だ、軽くて微かだ、文句言うな」と言える!? これでは、セカンドレイプにも類する二重被害を裁判官によって与えられたも同然です。こんな貧困なる人権感覚の持ち主が裁判官席に座っている裁判所に、人権侵害の救済を期待したのが、間違いだったと、いうのでしょうか?

<裁判官の暴論、その4>
 個人情報保護条例は第十一条で「実施機関は、個人情報の外部提供を受けるものに対し、個人情報の使用目的若しくは使用方法の制限その他の必要な制限を付し、又はその適切な取扱いについて必要な措置を講ずることを求めなければならない」とあります。ところが被告・都教委の違法な情報漏洩「担当者」は、全く「必要な制限」も「付」さなければ、「必要な措置」も「求め」ていません。つまり、この条項にも違反です。

 ところが、判決は、これについても「本件議員らの都議会及び文教委員会での活動の限りで利用されると考えるのが通常であり・・・本件書籍を出版することまで予見不可能であったというべきである」から、「本件情報提供と、本件書籍出版によって原告がこうむった精神的苦痛との間に相当因果関係を認めることもできない」ので不法行為はない、んだそうです。

 しかし、都の通達には「第11条関係(個人情報の外部提供の制限)趣旨」として
「2 個人情報の外部提供をするときは、個人情報に対する適切な取扱いを確保するため、相手方に対して、必要な措置を講ずることを求める義務があることを明らかにしたものである」となっています。「義務」なのです。「活動の限りで利用されると考えるのが通常」であったとしても、「予見不可能であった」としても、というより、どんなふうに悪用されるか「予見不可能」であるからこそ、必ず行わなければならない「義務」なのだと、被告の通達自体が規定しているのです。被告がこれを知らないはずはなく、情報公開条例、個人情報保護条例によれば禁じられているのを知りながら、被告は、あえて原告の個人情報を漏洩したように、被告は、この義務規定も知りながら、あえて、このような義務規定違反の不作為を行ったのです。

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