パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

7団体共同意見書

2006年10月05日 | 日の丸・君が代関連ニュース
        横山証人不採用に抗議する7団体共同意見書

                2006(平成18)年  9月 27日

東京都人事委員会  御中

                   上記各事件各代理人ら
                       (末尾名簿の通り-押印省略)

1 東京都人事委員会は,9月12日付事務連絡をもって,「横山洋吉前教育長については,証人として採用しない」旨,各団体に通知した。
  横山洋吉前教育長は,「10.23通達」発出の責任者であり,現在の国旗国歌「強制」の路線を敷いた者であって,その尋問なくしては本件審理は成り立ちえないといわなければならない。
  請求人らは,横山証人不採用に断固抗議する。

2 人事委員会は,横山証人不採用の理由として,「近藤精一元教育長指導部長及び臼井勇元教育長人事部長等の尋問によって必要な証言が得られていること,また,東京地方裁判所における同人の証人尋問調書が提出されていること」を理由にあげている。
  しかし,近藤・臼井両証人の尋問が,横山証人の尋問の代替となりうるものではなく,むしろ両証人の尋問の結果,横山証人尋問の必要性がますます明確になったことは,7団体共同で提出した6月21日付「元教育長横山洋吉氏の尋問要請書」において詳述したとおりである。各証人ごとに,上記要請書にのべたことの要点を記せば,つぎのとおりである。

 (1) まず,近藤証人は,「職務命令」そのものの法的意義,法的効果,拘束力,強制力についての説明がまったくできなかった。指導・助言と職務命令との法的意義,法的効力の違いを正確に理解できていなかった。
  また,義務制学校の指導についても,全体的な指導内容を掌握していなかったことが判明した。障害児学校の教育現場の実態についても具体的には何ら把握していないこと,さらに指導部長注意については,法的根拠はなく,教育委員会の権限で行っていると答弁したが,この根拠も不明確であり,量定についても明確な基準が説明ができなかった。

 (2) また,臼井証人は,基本的な旭川学テ最高裁判決についての知識が乏しいことが露呈されたし,本件通達に関する校長説明会の内容についても,本件通達は教育庁全体で取り組むべき課題であると答弁し,人事部長として説明した効果についての返答は避けた。このことは,本件通達問題について,全体としての判断,評価は,責任者である前教育長でなければ答えられないことを述べた結果となっている。
   さらに,本件の大量の処分が,極めて短時間のうちに懲戒分限審査委員会の持ち回り回覧協議という異例な決定経過で行われたこと,その事務を臼井証人が行ったこと,その際,個別の事情を斟酌せず,また処分の量定にも反映しないという結果となっている事実を認めながら,なぜそのようなことをしたのかという根本的な質問については何ら説明できなかった。
  また,東京地裁における横山証人の尋問調書は本件とは事案の異なる別事件のものであって,これは本件についての尋問を代替するものにはなりえない。

3 さる9月21日東京地方裁判所(難波孝一裁判長)は,国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟に関し,10.23通達が違憲違法であると断じ,この通達に基づく校長の職務命令に基づき「国旗に向かって起立し,国歌を斉唱する義務のないこと」「国歌斉唱の際に,ピアノ伴奏義務のないこと」をそれぞれ確認したうえ,不起立,不斉唱,不伴奏等を理由とする「いかなる処分もしてはならない」との判決をくだした。

  判決は,10.23通達およびこれに関する都教委の一連の指導等は,憲法19条に違反し,教育基本法10条に違反すると明快に判示ししている。
  10.23通達を発出して,それ以前の路線を根本的に転換し,処分による脅しによって国旗国歌を「強制」するという政策判断をおこなったのは,横山洋吉前教育長なのである。判決は,「懲戒処分をしてまで起立させ,斉唱等させることは,いわば少数者の思想良心の自由を侵害し,行き過ぎた措置である」と痛烈に批判した。

  司法判断によって,その違憲違法性があきらかにされた今,現に処分をうけた多数の教職員に関する本件審理において,上記政策判断をおこなった横山証人の尋問がじっくりと時間をかけておこなわれるべきは当然のことといわなければならない。横山証人尋問の必要性は,この判決によって,ますますはっきりしたというべきである。
  今般の横山証人不採用は,東京都人事委員会が,審理機関としての職責を放棄するものに等しい。

4 請求人らは,2005年12月6日付「横山洋吉証人尋問の実施に関する共同統一要求書」において,つぎのとおりのべた。
   「本件各審査請求事件は,人権の基本である思想良心の自由を行政権力による強制から擁護するという課題であり,教育現場に対する行政権力の介入をどのように抑止するかという課題であるというべきであって,多数の国民が注目している問題である。
   まちがっても貴人事委員会が,現職の副知事であることに配慮して,最重要証人たる証人の尋問を回避するなどという事態があってはならない。
   万一にもそのようなことがあれば,都民の人事委員会制度に対する信頼がその根幹から揺らぐことになるといわざるをえないし,そのような事態になることを私たちは深く憂慮する。」

  今般,まさに私たちが憂慮したとおり,人事委員会制度に対する信頼がその根幹から揺らぐ事態にたちいたったといわざるをえない。前述のとおり,これまでの審理経過は,むしろ横山証人尋問の必要性を明確にさし示していたというべきである。人事委員会が証人不採用と決めたのは,尋問の必要性とはまったく別の配慮が働いたからだと考えざるをないのである。
  今般の横山証人不採用によって,東京都人事委員会が,けっして公平中立な組織ではなく,適正公正な判断を期待しうる信頼に足る判断機関ではないことが明らかになったといわなければならない。
                                   以上
                                     
         代理人名簿

            請求人ら代理人弁護士 尾山 宏、鳥生忠佑、菊池紘、澤藤統一郎、関島保雄、内田雅敏、吉峯啓晴、加藤文也、海部幸造、吉田榮士、遠藤憲一、青木護、和久田修、小山達也、松島宇乃、齊藤園生、松本美代子、山中眞人、八坂玄功、大山勇一、飯田美弥子、室伏美佳、高橋拓也、河村健夫、松尾文彦、岩井信、秋山直人、川口彩子、杉尾健太郎、與那嶺慧理、雪竹奈緒、大井倫太郎、坂田洋介、田村充、金舜植、金哲敏、穂積匡史、新村響子、白井劍、ほか

コメント    この記事についてブログを書く
« 処分撤回を求めて(16) | トップ | 都教委個人情報漏洩裁判控訴審 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日の丸・君が代関連ニュース」カテゴリの最新記事