【談話】
◆ 大田原市教育委員会の扶桑社版歴史・公民教科書採択に断固として抗議する
栃木県大田原市教育委員会は、7月9日、新しい歴史教科書をつくる会(「つくる会」)編集の扶桑社版歴史教科書、公民教科書を2005年につづいて再び採択した。私たちはこの暴挙に怒りを込めて抗議し、採択の撤回・やり直しを要求する。
大田原市教委は、歴史教科書の採択に際し扶桑社版と自由社版だけしか検討していない。教科書採択ではすべての教科書を対象に検討を行うことが義務付けられており、文科省の今年の採択にあたっての「通知」もそのこと求めている。大田原市教委の採択は不法であり、文科省「通知」にも違反するものである。
扶桑社版歴史教科書は、私たちがこれまでも繰り返し批判してきたように、極めて問題のある教科書である。この教科書は、日本の歴史を天皇中心のように描いている。また、日本の植民地支配や侵略戦争を正当化・美化し、日本の戦争の加害や被害をほとんど書いていない。戦争そのものを正当化し、日本国憲法を敵視している。歪曲した歴史を子どもたちに刷り込むことによって、子どもたちを「戦争をする国」の忠実な国民に育てることをねらいとするものである。
扶桑社版公民教科書は、日本国憲法を敵視し、憲法改悪を主張している。また、子どもの権利条約や女子差別撤廃条約、男女共同参画社会基本法などを無視し、子どもの権利や両性の平等を敵視するものである。さらに、自衛隊を前面に出す内容になっている。これは、国際貢献の名で自衛隊の海外派兵を積極的に推進し、子どもたちを戦争に動員する教育をめざすものである。
扶桑社版教科書は、内容上に重大な問題があるだけではない。私たちは、扶桑社版教科書に多くの間違いがあることを指摘してきたが、扶桑社はそれらをまったく訂正していない。2008年度の教科書検定において、文部科学省は扶桑社版歴史教科書と全く同じ記述をした*自由社版教科書に対して、少なくとも8か所の誤りを指摘し、修正させている。文科省が2004年度の検定において見落としたと思われるこれらの誤りがそのまま記述されている。
大田原市教育委員会は、こうした多くの誤りのある教科書を今後さらに2年間、子どもたちに使わせることを決定したわけである。加えて、「つくる会」は06年に分裂し、扶桑社版教科書の著作権をめぐって裁判で争うなどの抗争をつづけている。子どもや教育そっちのけで争いを続けている無責任な団体が編集した教科書を使いつづけることは、子どもたちの教育をかんがえても重大な問題である。
2005年に大田原市が扶桑社版教科書を採択したことに対し、この4年間、地元はもとより日本各地の市民や諸団体、韓国をはじめアジアの人びとや団体から、多くの抗議や批判が寄せられてきた。さらに、今回の採択にあたっても、地元、全国各地、アジアから、多くの人びとや団体が、扶桑社版の使用をやめること、自由社版を採択しないことを求める要請が多数寄せられた。しかし、大田原市教育委員会はこうした声を完全に無視して、再び扶桑社版の採択を強行した。
地域の教育に責任を負う教育委員会が、子どもや地域の教育のことを考慮しないで、政治的な判断のみで、こうした“非教育的”なことを平気で行った無責任な行為に対し、怒りを通り越してあきれかえる思いである。私たちはこの暴挙に対し、抗議するとともに、採択の撤回・やり直しを要求するものである。以上。
『俵のホームページ』
http://www.ne.jp/asahi/tawara/goma/2009.7.11/1.pdf
◆ 大田原市教育委員会の扶桑社版歴史・公民教科書採択に断固として抗議する
2009年7月9日 子どもと教科書全国ネット21事務局長・俵 義文
栃木県大田原市教育委員会は、7月9日、新しい歴史教科書をつくる会(「つくる会」)編集の扶桑社版歴史教科書、公民教科書を2005年につづいて再び採択した。私たちはこの暴挙に怒りを込めて抗議し、採択の撤回・やり直しを要求する。
大田原市教委は、歴史教科書の採択に際し扶桑社版と自由社版だけしか検討していない。教科書採択ではすべての教科書を対象に検討を行うことが義務付けられており、文科省の今年の採択にあたっての「通知」もそのこと求めている。大田原市教委の採択は不法であり、文科省「通知」にも違反するものである。
扶桑社版歴史教科書は、私たちがこれまでも繰り返し批判してきたように、極めて問題のある教科書である。この教科書は、日本の歴史を天皇中心のように描いている。また、日本の植民地支配や侵略戦争を正当化・美化し、日本の戦争の加害や被害をほとんど書いていない。戦争そのものを正当化し、日本国憲法を敵視している。歪曲した歴史を子どもたちに刷り込むことによって、子どもたちを「戦争をする国」の忠実な国民に育てることをねらいとするものである。
扶桑社版公民教科書は、日本国憲法を敵視し、憲法改悪を主張している。また、子どもの権利条約や女子差別撤廃条約、男女共同参画社会基本法などを無視し、子どもの権利や両性の平等を敵視するものである。さらに、自衛隊を前面に出す内容になっている。これは、国際貢献の名で自衛隊の海外派兵を積極的に推進し、子どもたちを戦争に動員する教育をめざすものである。
扶桑社版教科書は、内容上に重大な問題があるだけではない。私たちは、扶桑社版教科書に多くの間違いがあることを指摘してきたが、扶桑社はそれらをまったく訂正していない。2008年度の教科書検定において、文部科学省は扶桑社版歴史教科書と全く同じ記述をした*自由社版教科書に対して、少なくとも8か所の誤りを指摘し、修正させている。文科省が2004年度の検定において見落としたと思われるこれらの誤りがそのまま記述されている。
大田原市教育委員会は、こうした多くの誤りのある教科書を今後さらに2年間、子どもたちに使わせることを決定したわけである。加えて、「つくる会」は06年に分裂し、扶桑社版教科書の著作権をめぐって裁判で争うなどの抗争をつづけている。子どもや教育そっちのけで争いを続けている無責任な団体が編集した教科書を使いつづけることは、子どもたちの教育をかんがえても重大な問題である。
2005年に大田原市が扶桑社版教科書を採択したことに対し、この4年間、地元はもとより日本各地の市民や諸団体、韓国をはじめアジアの人びとや団体から、多くの抗議や批判が寄せられてきた。さらに、今回の採択にあたっても、地元、全国各地、アジアから、多くの人びとや団体が、扶桑社版の使用をやめること、自由社版を採択しないことを求める要請が多数寄せられた。しかし、大田原市教育委員会はこうした声を完全に無視して、再び扶桑社版の採択を強行した。
地域の教育に責任を負う教育委員会が、子どもや地域の教育のことを考慮しないで、政治的な判断のみで、こうした“非教育的”なことを平気で行った無責任な行為に対し、怒りを通り越してあきれかえる思いである。私たちはこの暴挙に対し、抗議するとともに、採択の撤回・やり直しを要求するものである。以上。
『俵のホームページ』
http://www.ne.jp/asahi/tawara/goma/2009.7.11/1.pdf
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