パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「うた」を強制する国

2005年09月18日 | ノンジャンル
 私の学んだ中学校は、毎年秋に学級対抗の合唱大会があった。
 ある年、「君が指揮すると歌声がきれいになる」という級友の勧めで指揮台に立ち、クラスは優勝した。ほめ言葉だと思っていたが、級友から「一番歌の下手なやつが指揮者になってコーラスから抜ければ、歌がよくなるのは当然だ」と真相を明かされ、絶句した。
 そんな下手っぴでも歌は好きだった。
仲間と歌った「木琴」は、空襲で死んだ妹をいたむ絶唱で、中学生の胸にしみこんだ。
 戦時中、軍歌ばかり教えこまれた母が「戦争が終わっていろんな歌を自由に歌えるようになったとき、音楽ってこんなに素晴らしいものかと思った」と話す心境が、少しだけ分かる気がした。
 戦後六十年たった今、その"自由"はどこにいったのか。学校では子どもたちに「君が代」が強制され、声量の調査さえ公然と行われている。恐ろしい。
 歌はひとの心の奥に宿り、そこからあふれ出る。それを強要するのは、自由で民主的な国のすることではない。
 政治家が「全体主義だ」と嫌悪感をむき出しにする国々の教育と、どこがどう違うのか。(信)

東京新聞(2005/9/17夕刊)「コンパス」から

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