◆ 安倍首相の「失策」再び!?
「Go Toトラベル」気になる海外メディアの評価 (井津川倫子 J-CASTニュース)
新型コロナウイルスの「感染第2波」が全国で広がっているなか、日本政府は多くの反対や見直しの声を押し切り、「Go To トラベル キャンペーン」に踏み切りました。
国内旅行を喚起して観光業や地方経済を救う目的のキャンペーンですが、対象時期の前倒しや「東京外し」などの強引な手法で日本中が大混乱に!さらに、「若者や高齢者除外」といった「曖昧すぎるルール」の対応に追われるなど、恩恵を被るはずの旅行業界からも悲鳴が上がっています。
日本国内では、一部で「アベノマスクに続く愚策」と酷評されている「Go To」事業ですが、海外メディアはどう評価しているのでしょうか? 欧米のメディアを追ってみました。
◆ 米通信社は「安倍首相の新たな『失策』だ」と報道
新型コロナウイルスで急減する消費を喚起する「看板政策」の「Go To」キャンペーン。この先、「Go Toイート(飲食業)」「Go Toイベント」「Go To 商店街」と、続々と計画されていますが、先陣を切った「Go Toトラベル」をめぐる政府のあまりのドタバタぶりに、自民党若手議員からも「方針が二転三転して、これじゃGo To『トラブル』だ」と、自虐的な声が出ているとか。果たして、海外からはどう見られているのでしょうか?
米通信社のBloombergは「東京外し」を見出しに掲げて、「Go Toトラベルキャンペーンに」批判的なトーンの記事を配信しました。
◎ Japan Travel Campaign Delivers Double Whammy to Tokyo Residents
(日本の旅行キャンペーンは、東京都民にとって二重の打撃となった)
double whammy二重の打撃
Bloombergの記事は「東京都民」に同情的(!)です。
「国内で一番所得税を納めている」東京都民が制度の対象から外されるのは法的に問題があるのではないか、という意見を紹介していて、都民としては、「おっしゃる通り!」と思わず声が出そうになりました。
さらに、他国に比べて「中国人観光客頼み」だった日本の旅行業界は、新型コロナによって大打撃を受けている。外国人観光客がほぼ100%近く減っているなかで、国内旅行の喚起策に「他国よりもさらに踏み込んだ」と分析していました。
なるほど、やはり日本の「Go Toトラベル」事業は、諸外国と比較しても「さらに踏み込んだ」政策なのですね。無理が生じるはずです。
そんな無理を押しての「看板政策」も、残念ながら「another misstep in Abe's management of the virus」(安倍首相のウイルス対策の新たな「失策」)だと捉えられていると伝えていて、安倍首相の手腕に疑問を呈していました。
◆ 「安倍首相は国民の怒りを買った」だけで1.7兆円はムダに!
「Go Toトラベル」キャンペーンの内容よりも、世論の反発にフォーカスしたのが米ニューヨーク・タイムズ紙です。
ほとんど「無理筋」のキャンペーンが日本国内でいかに「不人気か」を強烈な見出しで伝えています。
◎ Big Majority of Japanese Reject Government Tourism Campaign Amid New Coronavirus Fears
(日本人の大多数は、コロナ第2波に怯えるなかでの旅行キャンペーンを拒絶している)
「reject」は、「拒否する」「拒絶する」「却下する」といった強く否定する気持ちを表す単語です。ニューヨーク・タイムズ紙は、80%近い回答者がこの時期に「Go Toキャンペーン」を実施することに反対したという「世論調査」の結果を紹介。
「観光客が押し寄せることで、医療体制が脆弱な地方に感染が広がるのではないか」という国民の不安を強調する結果だ、と論じています。
ロイター通信は、「Go Toトラベル」をめぐるドタバタ劇が安倍政権に与える影響にフォーカスしていました。
◎ Japan's Abe faces anger over tourism subsidy as Tokyo COVID-19 cases hit record
(日本の安倍首相は、東京のコロナ感染者が最多記録を更新するなかでの旅行補助策で、国民の怒りを買っている)
ロイター通信は、Abe has borne the brunt of the negative reaction」(安倍首相が批判の矢面に立たされている)だけでなく、コロナウイルス対策への批判がさらに高まり、「首相の支持が浸食されている(支持が落ち込んでいる)」と報じています。
さらに、「Go Toトラベルキャンペーン」は、「the number of examples of Abe's incompetence in governing」(安倍首相の数々の無能な政策)に新たに加わった「愚策」、という大学教授のコメントを紹介。アベノマスクや「10万円給付金」をめぐる政府の混乱ぶりもしっかりと伝えていました。
残念なことに、安倍政権が他国よりも踏み込んで実施した「看板政策」の「GoToトラベルキャンペーン」は、これまでの報道を見る限り、海外からも「冷たい目」で見られているようです。
ロックダウンを解除した海外では、観光地になかなか観光客が戻ってこないとニュースになっています。それでも日本政府のように、「この時期に無理を押して」観光客誘致に乗り出す例は見かけません。
1.7兆円もの大規模予算をつぎ込んでも混乱と批判を招くばかりでは、税金の使い方としてあまりにもずさん過ぎ。
感染拡大も心配ですし、度重なる安倍政権の「コロナ失策」の中でも、歴史に残る「愚策」になるのではないでしょうか。(井津川倫子)
※ 井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
https://www.j-cast.com/kaisha/2020/07/24390726.html?p=all
『J-CASTニュース』(2020年07月24日)
「Go Toトラベル」気になる海外メディアの評価 (井津川倫子 J-CASTニュース)
新型コロナウイルスの「感染第2波」が全国で広がっているなか、日本政府は多くの反対や見直しの声を押し切り、「Go To トラベル キャンペーン」に踏み切りました。
国内旅行を喚起して観光業や地方経済を救う目的のキャンペーンですが、対象時期の前倒しや「東京外し」などの強引な手法で日本中が大混乱に!さらに、「若者や高齢者除外」といった「曖昧すぎるルール」の対応に追われるなど、恩恵を被るはずの旅行業界からも悲鳴が上がっています。
日本国内では、一部で「アベノマスクに続く愚策」と酷評されている「Go To」事業ですが、海外メディアはどう評価しているのでしょうか? 欧米のメディアを追ってみました。
◆ 米通信社は「安倍首相の新たな『失策』だ」と報道
新型コロナウイルスで急減する消費を喚起する「看板政策」の「Go To」キャンペーン。この先、「Go Toイート(飲食業)」「Go Toイベント」「Go To 商店街」と、続々と計画されていますが、先陣を切った「Go Toトラベル」をめぐる政府のあまりのドタバタぶりに、自民党若手議員からも「方針が二転三転して、これじゃGo To『トラブル』だ」と、自虐的な声が出ているとか。果たして、海外からはどう見られているのでしょうか?
米通信社のBloombergは「東京外し」を見出しに掲げて、「Go Toトラベルキャンペーンに」批判的なトーンの記事を配信しました。
◎ Japan Travel Campaign Delivers Double Whammy to Tokyo Residents
(日本の旅行キャンペーンは、東京都民にとって二重の打撃となった)
double whammy二重の打撃
Bloombergの記事は「東京都民」に同情的(!)です。
「国内で一番所得税を納めている」東京都民が制度の対象から外されるのは法的に問題があるのではないか、という意見を紹介していて、都民としては、「おっしゃる通り!」と思わず声が出そうになりました。
さらに、他国に比べて「中国人観光客頼み」だった日本の旅行業界は、新型コロナによって大打撃を受けている。外国人観光客がほぼ100%近く減っているなかで、国内旅行の喚起策に「他国よりもさらに踏み込んだ」と分析していました。
なるほど、やはり日本の「Go Toトラベル」事業は、諸外国と比較しても「さらに踏み込んだ」政策なのですね。無理が生じるはずです。
そんな無理を押しての「看板政策」も、残念ながら「another misstep in Abe's management of the virus」(安倍首相のウイルス対策の新たな「失策」)だと捉えられていると伝えていて、安倍首相の手腕に疑問を呈していました。
◆ 「安倍首相は国民の怒りを買った」だけで1.7兆円はムダに!
「Go Toトラベル」キャンペーンの内容よりも、世論の反発にフォーカスしたのが米ニューヨーク・タイムズ紙です。
ほとんど「無理筋」のキャンペーンが日本国内でいかに「不人気か」を強烈な見出しで伝えています。
◎ Big Majority of Japanese Reject Government Tourism Campaign Amid New Coronavirus Fears
(日本人の大多数は、コロナ第2波に怯えるなかでの旅行キャンペーンを拒絶している)
「reject」は、「拒否する」「拒絶する」「却下する」といった強く否定する気持ちを表す単語です。ニューヨーク・タイムズ紙は、80%近い回答者がこの時期に「Go Toキャンペーン」を実施することに反対したという「世論調査」の結果を紹介。
「観光客が押し寄せることで、医療体制が脆弱な地方に感染が広がるのではないか」という国民の不安を強調する結果だ、と論じています。
ロイター通信は、「Go Toトラベル」をめぐるドタバタ劇が安倍政権に与える影響にフォーカスしていました。
◎ Japan's Abe faces anger over tourism subsidy as Tokyo COVID-19 cases hit record
(日本の安倍首相は、東京のコロナ感染者が最多記録を更新するなかでの旅行補助策で、国民の怒りを買っている)
ロイター通信は、Abe has borne the brunt of the negative reaction」(安倍首相が批判の矢面に立たされている)だけでなく、コロナウイルス対策への批判がさらに高まり、「首相の支持が浸食されている(支持が落ち込んでいる)」と報じています。
さらに、「Go Toトラベルキャンペーン」は、「the number of examples of Abe's incompetence in governing」(安倍首相の数々の無能な政策)に新たに加わった「愚策」、という大学教授のコメントを紹介。アベノマスクや「10万円給付金」をめぐる政府の混乱ぶりもしっかりと伝えていました。
残念なことに、安倍政権が他国よりも踏み込んで実施した「看板政策」の「GoToトラベルキャンペーン」は、これまでの報道を見る限り、海外からも「冷たい目」で見られているようです。
ロックダウンを解除した海外では、観光地になかなか観光客が戻ってこないとニュースになっています。それでも日本政府のように、「この時期に無理を押して」観光客誘致に乗り出す例は見かけません。
1.7兆円もの大規模予算をつぎ込んでも混乱と批判を招くばかりでは、税金の使い方としてあまりにもずさん過ぎ。
感染拡大も心配ですし、度重なる安倍政権の「コロナ失策」の中でも、歴史に残る「愚策」になるのではないでしょうか。(井津川倫子)
※ 井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
https://www.j-cast.com/kaisha/2020/07/24390726.html?p=all
『J-CASTニュース』(2020年07月24日)
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