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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

◆ 横山洋吉元教育長が、死亡後国から叙位・叙勲を受けていた

2024年12月11日 | 暴走する都教委と闘う仲間たち

 ◆ 〝君が代〟強制通達出した横山元都教育長
   生徒・教員苦しめ叙勲・叙位 (週刊新社会)

教育ジャーナリスト 永野厚男

 2003年10月に卒業・入学式等で、「服従しなければ懲戒処分」と教職員を脅迫し、〝君が代〟起立強制を強化する10・23通達(通知より強力な命令・示達(じたつ)の意)を発出し、都立工芸高校を04年3月に卒業した当時の生徒が「怖いと感じた」と証言するほど、戒厳令下のような式に変質させた東京都教育委員会の横山洋吉教育長(当時)。
 その横山氏が23年2月6日、81歳の誕生日目前に病死した後、「死去後、都教委総務部総務課が死亡叙位候補者として都庁関係局を通じて総務省に推薦し、〝栄典〟の一種である叙位正五位に叙された」という事実が、都民が提出した請願書の質問への回答で明らかになった。
 99年の国旗国歌法審議当時、小渕恵三首相は「国民に対して強制することはない。国旗国歌を児童生徒の内心にまで立ち至って強制しようとする趣旨のものでなく、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくことを意味するものでございます」等、答弁していた。

 ◆ 「強制しない」との政府答弁否定

 だが、03年4月10日の都教委定例会では「あなたたちの腰が引けているように思ったのです。官僚のきれいな説明に過ぎないような気がしますね」等の放言が飛び交ったあと、横山氏は「そもそも国旗国歌については強制しないという(前出の)政府答弁から始まっている混乱なのです」と、憲法第19・20条の思想・良心・信教の自由にギリギリ配慮する趣旨の、政府答弁にすら反発。教育基本法第14条の教育の政治的中立性に違反し、かつ憲法第99条で憲法尊重擁護義務を課せられている公務員にあるまじき発言をしていた。
 なお横山氏の発言を受け、鳥海巌教育委員も「だから政府答弁が間違っているのです」と主張した上、〝君が代〟強制に反対する教職員を「がん細胞」にたとえ、「徹底的にやる(撲滅する)」と差別・敵視する放言をした。だが横山氏は事務局トップとして注意もせず、鳥海氏の差別発言は議事録に残った。

 ◆ 栄典は国家に忠実な証しか

 冒頭の都立工芸高校生の証言は、通達直後の04年3月の卒業式での〝君が代〟不起立で、定年退職後の再雇用を〝雇い止め〟にされた都立高校元教諭10人が、撤回を求めた訴訟の証人尋問(08年12月17日、東京高裁・宗宮(そうみや)英俊裁判長)でのもの。
 10・23通達下の〝君が代〟強制が、「式直前のHRの時、担任の教員が『上からの圧力があって言わされている感じ』で『立って歌う』よう強く言ったため、『おかしい』『怖い』と感じた。2年生当時参列していた03年3月の式は、3年生を祝う雰囲気があった。しかし04年3月は立って歌っているか監視され、式の雰囲気が変わり、暗く緊張した。03年までは君が代を起立して歌っていたが、私たちの式なのに、なぜ歌っているかどうかを監視されなければならないのかと感じ、不起立(着席)した」と、当事者の生徒に証言させたのだ。
 10・23通達は生徒の人命をも奪いかねない。都の人事委員会審理では「都立城北養護学校(現・城北特別支援学校)の07年3月の卒業式で、〝君が代〟の時に偶然、ある生徒の装着していた人工呼吸器のアラーム音が鳴ったため、職員(看護師)が腰をかがめ介抱していたら、副校長が飛んで来て『起立しなさい』と命じた」との現場教員の証言も出ている。
 なお、その都人事委員会審理で横山氏は、憲法の思想・良心の自由との関係で「第21条(表現の自由、検閲の禁止)の内容を知っているか」問われたのに対し、「知らない」と証言し、傍聴者の失笑を買っている。
 また思想・良心の自由の関係で、14年春の卒業・入学式で起立できず、連続して懲戒処分を受けた当時40歳台前半の数学科教諭は、翌年の卒業式等での更なる懲戒処分の恐怖から、早期退職し私立高校の講師に転職した。このように異常な〝君が代〟強制で、多くの生徒や教職員を苦しませてきた横山氏は、12年11月3日の秋の叙勲で瑞宝中綬章(ずいほうちゅうじゅしょう)も受章。このような同氏の叙勲・叙位には、多くの現・元の教職員や生徒、保護者たちから「国家権力や天皇に忠実な者に与えるのが栄典なのか?」と疑問視する声が出ている。


――2003年の都教委定例会で"君が代"起立強制に反対する教職員を「がん細胞」に譬え、「徹底的にやる(撲滅する)」と差別・敵視する放言をした鳥海巌・元教育委員は14年1月死去した。しかし24年7月25日の都教委定例会での都立中学社会科教科書採択の無記名投票では、右端に見える衝立を広げ記者席・傍聴席から見えなくする中、教育長を含む6名のうち、1名の委員が育鵬社(改憲政治団体のメンバーが執筆)に投票した。写真提供は教育行政研究会。――


――「学校に自由と人権を!」集会で、対都教委"君が代"訴訟の9団体(終結含む)を紹介する、近藤徹・被処分者の会事務局長ら= 24年10 月20 日、東京・千代田区、撮影:永野

 

 

『週刊新社会』(2024年12月11日)


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