《8・28都教委包囲行動資料》 早川由紀子公務災害認定請求書握りつぶし訴訟
本件は、1973年に、東京都の中学校教員であった原告早川由紀子が、頚肩腕障害を発症し、校長らによる療養妨害によって症状が悪化していく中で、1992年に公務災害認定請求書(以下「請求書」という)を校長、東京都教育委員会を経由して地方公務員災害補償基金(以下「基金」と言う)に提出しようとしたところ、何度も突き返され、最終的には校長が請求書を保管したまま、本件訴訟の中で明らかになるまで16年間も経過したものであり、その間、原告は分限免職の憂き目にあい、公務災害認定請求権が侵害され続けたまま、病状悪化のもとで呻吟し続けてきたという事案である。
原告は、2006年8月16日に、被告基金に対して、請求書を都教委に受理させなかった不作為の違法確認、被告東京都(都教委)に対して、請求書の受理と基金への送付、被告らに対して、長年にわたる請求書未送付の不作為についての損害賠償を求めて提訴した。
裁判所の訴訟指揮により、本判決前に、原告の請求書は都教委を経由して実に18年ぶりに基金のもとに送付され、原告の頸肩腕障害が公務に由来するものかどうかが、18年の歳月を経て、ついに審査されることとなった。そのため、原告は、不作為の違法確認及び義務付けの訴えを取り下げ、損害賠償請求のみとした。ただし、基金は、原告の請求書について全く関知していなかったと主張した。
よって、本件の主たる争点は、①不作為の違法が認められるか、②損害賠償請求権が時効にかからないか、③被告基金の責任が認められるか、の3点となった。
提訴から4年を経た本日、東京地方裁判所民事第11部は、原告の請求を認める判決を言い渡した。事実を正しく認定し、適切な法律判断を下した裁判所に深く敬意を表する。
判決は、①基金業務規程の定めから、所属部局長には、公務上外の判断権はなく、所属部局長による証明は、当該疾病が公務上によるものか否かについてまでの証明ではないとして、所属部局長たる文京七中校長は、少なくとも過失によって、原告の公務災害か否かの判断を被告基金から受けることに対する期待権を侵害したと認定した。
②そして、原告の請求書が長年、校長室のロッカーに保管されていたという事実から、請求書を預かり状態のまま放置したという不作為による義務違反の継続を認め、そのため消滅時効は完成していないとして、僅か50万円ではあるが原告の損害賠償請求を認めた。
③文京七中校長の給与負担者であった東京都はもちろん、校長は、公務災害認定請求手続きにおいては、被告基金の「公権力の行使に当たる公務員」であるとして、基金の責任を認めた。
本判決が、学校長の不法行為を認め、違反事実の継続による不作為の不法行為の損害賠償請求権について消滅時効の完成を認めなかったことは高く評価できるが、一方で原告の損害額を50万円と著しく低く認定したことは、18年以上にもわたる原告の頸肩腕障害と被告らの職務の怠慢という事実を不当に軽んじているのであって、到底納得できるものではない。
これまで所属部局長の証明がない場合には、都教委及び基金は、請求書の送付及び受領を一切行っていなかったが、前述のように、本件においては、裁判所の訴訟指揮により、所属部局長の証明なくして請求書が基金へと送付された。そして、判決文中にも、所属部局長が違法に証明を拒む場合には、民間の労災申請手続きと同様、証明印がなくても申請を受け付けられると解釈すべきと判示した。
このことは、原告だけでなく、証明が得られないばかりに公務災害認定請求手続を行うことができなかった大勢の公務員の公務災害認定に大きな影響を与えるものである。
原告と訴訟団は、被告らがこの判決を受け入れ控訴をしないことを強く求める。
これまでの各位のご支援に感謝するとともに、原告の公務災害の認定がなされ被告らが償うまで、引き続きご支援、ご協力をお願いする次第である。
★ 勝利判決声明 ★
本件は、1973年に、東京都の中学校教員であった原告早川由紀子が、頚肩腕障害を発症し、校長らによる療養妨害によって症状が悪化していく中で、1992年に公務災害認定請求書(以下「請求書」という)を校長、東京都教育委員会を経由して地方公務員災害補償基金(以下「基金」と言う)に提出しようとしたところ、何度も突き返され、最終的には校長が請求書を保管したまま、本件訴訟の中で明らかになるまで16年間も経過したものであり、その間、原告は分限免職の憂き目にあい、公務災害認定請求権が侵害され続けたまま、病状悪化のもとで呻吟し続けてきたという事案である。
原告は、2006年8月16日に、被告基金に対して、請求書を都教委に受理させなかった不作為の違法確認、被告東京都(都教委)に対して、請求書の受理と基金への送付、被告らに対して、長年にわたる請求書未送付の不作為についての損害賠償を求めて提訴した。
裁判所の訴訟指揮により、本判決前に、原告の請求書は都教委を経由して実に18年ぶりに基金のもとに送付され、原告の頸肩腕障害が公務に由来するものかどうかが、18年の歳月を経て、ついに審査されることとなった。そのため、原告は、不作為の違法確認及び義務付けの訴えを取り下げ、損害賠償請求のみとした。ただし、基金は、原告の請求書について全く関知していなかったと主張した。
よって、本件の主たる争点は、①不作為の違法が認められるか、②損害賠償請求権が時効にかからないか、③被告基金の責任が認められるか、の3点となった。
提訴から4年を経た本日、東京地方裁判所民事第11部は、原告の請求を認める判決を言い渡した。事実を正しく認定し、適切な法律判断を下した裁判所に深く敬意を表する。
判決は、①基金業務規程の定めから、所属部局長には、公務上外の判断権はなく、所属部局長による証明は、当該疾病が公務上によるものか否かについてまでの証明ではないとして、所属部局長たる文京七中校長は、少なくとも過失によって、原告の公務災害か否かの判断を被告基金から受けることに対する期待権を侵害したと認定した。
②そして、原告の請求書が長年、校長室のロッカーに保管されていたという事実から、請求書を預かり状態のまま放置したという不作為による義務違反の継続を認め、そのため消滅時効は完成していないとして、僅か50万円ではあるが原告の損害賠償請求を認めた。
③文京七中校長の給与負担者であった東京都はもちろん、校長は、公務災害認定請求手続きにおいては、被告基金の「公権力の行使に当たる公務員」であるとして、基金の責任を認めた。
本判決が、学校長の不法行為を認め、違反事実の継続による不作為の不法行為の損害賠償請求権について消滅時効の完成を認めなかったことは高く評価できるが、一方で原告の損害額を50万円と著しく低く認定したことは、18年以上にもわたる原告の頸肩腕障害と被告らの職務の怠慢という事実を不当に軽んじているのであって、到底納得できるものではない。
これまで所属部局長の証明がない場合には、都教委及び基金は、請求書の送付及び受領を一切行っていなかったが、前述のように、本件においては、裁判所の訴訟指揮により、所属部局長の証明なくして請求書が基金へと送付された。そして、判決文中にも、所属部局長が違法に証明を拒む場合には、民間の労災申請手続きと同様、証明印がなくても申請を受け付けられると解釈すべきと判示した。
このことは、原告だけでなく、証明が得られないばかりに公務災害認定請求手続を行うことができなかった大勢の公務員の公務災害認定に大きな影響を与えるものである。
原告と訴訟団は、被告らがこの判決を受け入れ控訴をしないことを強く求める。
これまでの各位のご支援に感謝するとともに、原告の公務災害の認定がなされ被告らが償うまで、引き続きご支援、ご協力をお願いする次第である。
2010年8月25日
原告 早川由紀子
全国一般東京労組文京7中分会
早川由紀子さんの不当免職撤回を支援する会
早川由紀子公務災害認定請求書握りつぶし訴訟弁護団
原告 早川由紀子
全国一般東京労組文京7中分会
早川由紀子さんの不当免職撤回を支援する会
早川由紀子公務災害認定請求書握りつぶし訴訟弁護団
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