パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

子どもの貧困は、いま最も緊急で重要な社会問題!

2010年10月10日 | こども危機
 日弁連がこどもの貧困問題をテーマにシンポ開催 第53回人権擁護大会:盛岡
 ◎ 子どもの貧困は、いま最も緊急で重要な社会問題!


 日本弁護士連合会(日弁連)は7日、盛岡市内で第53回人権擁護大会を開き、第1分科会で「子どもの貧困」をテーマに取り上げ、6時間にわたってシンポジウムなどが行われ、弁護士や市民ら966人が参加しました。
 宇都宮健児会長が開会あいさつで、「子どもの貧困は社会問題であるだけでなく人権問題。すべての子どもが人間らしく生きられるように」と訴えました。

 今回、日弁連は「子どもの貧困は、現在最も緊急かつ重要な社会問題」として、子どもの生きる権利を保障するための政策を提言する機会としてのシンポジウムを準備し、浅井治夫立教大学教授が「子どもの貧困と根絶への政策課題」と題して、総合的支援対策、保育の保障、子どもにふさわしい教育の保障など国と地方公共団体に求めた政策課題について提言しました。
 現在のこどもの貧困の実態について、現場の相談活動をしている弁護士たちによって、幼いころ両親が離婚し母子家庭で育った女子高校生を主人公にしてカリヨンの活動を紹介した「もがれた翼」特別公演「しあわせになりたい」を熱演しました。
 上演後、10代で子育てをしているカップルや「派遣切り」された父親ら4組の当事者が、自分の置かれている状況を発言。定時制に通う女性が「人間にとって、一番怖いのはひとりぼっちになること。そのような子がいたら手をさしのべてほしい」と訴えました。
 最後のプログラム「提言~子どもの貧困に対して何をすべきか」のテーマで基調報告とシンポジウムが行われました。
 シンポジウムでは、三上邦彦氏(岩手県立大学社会福祉学部准教授)が、「東北における子ども虐待の現状と民間団体の取り組み」について報告。
 赤石千衣子NPOしんぐるまざあず・ふぉーらむ理事(写真;左から3人目)は、日本の貧困率は14%だが、ひとり親の貧困率は54・3%であり貧困にさらされている子どもたちのうちでも、ひとり親の子どもが多いことは否定しようもない事実であり、とりわけ深刻な母子家庭の子どもたちの現状について報告。
 経済的支援・税社会保障・雇用・支援制度の拡充の要望と、私的教育費を廃止して教育の無償化を徹底することと学力競争でこどもを排除する教育ではなく自己肯定感が持てる教育への転換を求めて発言しました。
 「日本の子どもの貧困と英国の子ども支援」と題して、中塚久美子朝日新聞記者(大阪本社生活文化グループ)が、取材の現場から見た大阪でのこどもの現状をこれまでの取材記事とともに報告し、イギリスの支援の実情について調査した映像などとともに報告。
 大阪夜間定時制高校不合格者が09年3月末、公立定時制の2次募集で167人もの前代未聞の不合格者を出し、全国では1200人が入試で定時制からはじき出され、今年3月末には東京で313人、愛知で94人が不合格。
 一方、定員に達していないにもかかわらず、大量の不合格者を出している府県も多数あり、志願者は増加傾向にあること。09年に、入学定員に対する希望者は、初めて100パーセントを超え、入学者は過去10年間で最高であると報告しました。
 この1~2年、子どもの貧困の深刻な反映として定時制高校希望者が急増している状況に危機感を持ち、緊急の対策を含めて抜本的なこどもの貧困対策の必要性を訴えました。
 彩の国子ども・若者支援ネットワーク代表理事の青砥恭氏(明治大学。埼玉大学講師)は、2008年の春から、高校中退者が多い大阪や埼玉などの関東近県を歩いて、中退した若者や教師、保育し、児童福祉士などから、中退の理由や家庭の事情、学校の対応などを聞き取り調査をし明らかになったことについて報告された結果は下記10点。
 1、高校中退後の多くの若者たちは日本社会の際底辺を生きていた。
 2、ほとんどの中退した若者の貧困は親の代から続いており、不安定雇用と低賃金の連鎖の中からつくられたものだった。
 3、家庭の経済力のなさ(貧困)が、親の子育てに対する意欲を失わせ、しかも子どもの社会性が育つのを妨げて、さらに低学力にしている。
 4、貧困が、子どもの学ぶ意欲だけでなく、働く意欲、人とつながる意欲、自分の未来をつくろうという「生の意欲」までも失わせている。
 5、高校を中退した若者たちには、まともな就業チャンスも訓練もなく、生活再建やその後の生活デザインをするきっかけすらつかめていない。
 6、社会階層と連動した学校序列が形成されており、後期中等教育の階層移動機能はすでに失われている。
 7、貧困で低学力の生徒が高校の序列の中の最底辺校に「囲い込まれている」。
 8、社会階層ごとにつくられた学校序列のトラックは交わることがない。
 9、中間層の解体が進み、二分化している。
 10、「家庭の貧困ー低学力ー教育・雇用などの社会的排除ーさらなる貧困」という子どもの貧困図式がこの10年で一層鮮明になった。

 青砥氏は、「ほとんどの中退した若者たちは仕事もなく、貧しい親たちより一層の貧しさの中で暮らしているが、これらはすべて彼らの自己責任と言えるのだろうか」とし、幼児期から脆弱な家族資源の中で育ち、人間として発達するための文化的な生活から無縁に生きてきた子どもたちが学校や社会から切り離されて生きている。今の学校システムでは彼らは生涯、貧困と孤立の中から抜け出せないだろう。」「全ての若者に労働機会を保障し、若者が地域社会で生きていけるために新たな中等教育(青年期教育)、教育支援の在り方を検討する必要がある。」と報告しました。
 岩手県内で私学助成を充実させる運動をしている私立高校出身の女子看護学生が、高校の学費の公私間格差について発言し、重い学費負担を軽減する施策の必要性を訴えました。
 分科会の閉会のあいさつを第1分科会実行委員会委員長の竹下善樹弁護士が行って閉会しました。 
 この分科会に言論・表現の自由を守る会事務局長も参加し、シンポジウムを終えた各パネラーに、日本政府が批准している人権条約で、子どもの貧困問題に関する外務省作成の2つの人権条約のパンフレット(”子どもの権利条約・武力紛争における子どもの関与とこどものポルノに関する選択議定書”と、“世界人権宣言と国際人権規約”)を2冊ずつ手渡し、2つの条約と勧告の普及と活用について提案しました。
 子どもの貧困問題を解決する上で、急いで、今年6月に国連子どもの権利委員会が日本政府に勧告した3つの勧告を条約と一緒に、人権条約の主体である日本の全18歳以下の子どもたちに急いで届け知らせることが重要です。
 子どもの権利に関する3つの勧告子どもの権利条約と武力紛争における子どもの関与とこどものポルノに関する2つの選択議定書に関するもの)は、こどもの意見表明権を保障している子どもの権利条約と2つの選択議定書に関する日本の政府報告書に対して、前回の勧告とNGOから提出された実態を告発したレポート・意見などに基づいて、国連子どもの権利委員会が審査を行って勧告したものです。
 当会は、都教委による日の丸・君が代の子どもへの強制の実態を告発したレポートや審査中のニュースを国連高等難民弁務官事務所(ジュネーブ)での審査会場に持参し、日本の勧告作成責任者のクラップマン委員(ドイツ)に手渡してロビー活動を行いました。
 この3つの勧告とこどもの権利条約を、こども(親)と教師と子どもに関係する福祉・医療・教育・地方自治体などすべての関係者にすみやかに届けることは、国連から勧告されていることであり、政府に課せられた責任です。
 国連子どもの権利委員会から、財政的な措置を含めて大変厳しく具体的に懸念を示した上で改善策を勧告しています。
 全ての日本の子どもたち自身に、条約と勧告全文をインターネットで普及することは、わずかな予算で直ちにできることであり、すでに当会として外務省と東京都教育委員会に要望しています。
 今回の分科会の休憩時間や閉会後も、日弁連会員の弁護士のみなさんと意見交換や懇談を行いました。
『今 言論・表現の自由があぶない!』(2010/10/8)
http://blogs.yahoo.co.jp/jrfs20040729/17219825.html

コメント    この記事についてブログを書く
« 「橋下「教育改革」・新勤評... | トップ | 日弁連:10.20院内集会... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

こども危機」カテゴリの最新記事