★ 2022年3月句会報告(レイバーネット川柳班)
兼題「戦争」21人 53句
★ 5点句(1句)
・国旗振るたびに命が軽くなり 一志
⇒見慣れていることに隠れている事実をうまく表現している。穿ち。「国旗振るたびに命が軽くなる」または「国旗振るたびに命を軽くする」などはどうか。
⇒ナショナリズムに対する批判。国のために殺されていく。国家の名のもと、戦いに行けと命じられる人々。胸が痛い。
★ 4点句(1句)
・にんまりと戦火へ油注いでる 笑い茸
⇒改憲派は大喜びしている。日本でもにんまりしている政治家が国会の過半数を占る。
⇒川柳らしいうまい句。油は武器・弾薬。
★ 3点句(1句)
・入隊の時に心が一つ死に J・ポンド
⇒兵士になることの意味をいろいろと深く考えさせる。下五の「一つ死に」がいい。「時に」を「夜に」と具体的にイメージできるようにしたらもっとよくなるのでは。
⇒当時の若者と今の若者の気持ちが推し量られて辛い。
*皇軍や自衛隊に入った若者たちの「自殺」などをめぐって話し合いがつづいた。
★ 2点句(4句)
・戦争をやめろと武器を投入す 蘭綺麗
⇒戦争は矛盾だらけ。それを端的に指摘。
⇒面白い。落語にも同じような表現がある。
・ロシア兵彼等も命ひとつだけ いりたまご
⇒命の問題ではロシア兵もウクライナ兵も同じ。
・満州に攻め込む日本思い出し かぼす
⇒ロシアのウクライナ侵攻は満州事変の流れと同じ。
⇒「満州は日本の生命線」「国を守るため」は常套手段。
・火炎瓶作る市民を皆で褒め 芒野
⇒いまの世相、風潮への諷刺が効いている。かつて過激派として批判した行為。
⇒火炎瓶で戦っていることを美談として報じていることを批判。
⇒「皆で」を「ニュース」にするのはどうだろうか。
★ 1点句(10句)
・改憲だ核をシェアだと大はしゃぎ 奥徒
⇒この機に乗じて声高に主張し始める恐ろしさ。議員は侵攻を止めるためにこそ尽力するべき。
・高みにて武器商人のえびす顔 夕雲
⇒ウクライナが使っている携行式対戦車ミサイルが一発2000万円、発射装置が8000万円とか。戦争は巨大利権。
・戦争を前に消されるコロナ死者 なずな
⇒テレビは戦争一色。コロナで毎日大勢死んでいっているのに目をそらされている。
・憲法に非戦ある国武器援助 白眞弓
・プーチンが戦時の日本再演中 木根川八郎
・便乗しはしゃぐ日本のミニプーチン かぼす
⇒アベのこと。
・戦争を唱える人は行かぬ人 すなふきん
⇒よくある句だけど、よくまとまっている。
・戦争がすでにそこまで来た日本 乱鬼龍
⇒渡辺白泉の「戦争が廊下の奥に立っていた」の一歩手前か。追い返さないと本当に家に上がり込んでくる。
・国境はないが縄張りある資本 笑い茸
⇒資本の本質を面白い表現で描いている。
⇒国や民族の戦争に見えるが、ロシア、ウクライナのオリガルヒのショバ争い。
・ロシア軍過去の日本重ね見る 今明
⇒プーチンの領土拡大は日本の過去と同じ。
(乱鬼龍選)
にんまりと戦火へ油注いでる 笑い茸
国旗振るたびに命が軽くなり 一志
火炎瓶作る市民を皆で褒め 芒野
★ (選外句)
★ 自由吟 20人 51句
★ 3点句(3句)
・原発を狙えばそれが核兵器 すなふきん
⇒原発を核兵器と言い切ったところが新鮮。
⇒日本を核攻撃するのに核ミサイルは要らない。安全保障を考えるなら原発を無くすこと。
⇒原発をつくった時点で自国攻撃用の核を持っているようなもの。
⇒ウクライナでの戦争が第二次大戦の時の戦争と違うのをあらためて感じた。
・面接に黒塗りできるかと訊かれ 笑い茸
⇒聞かれたら「出来ます!」と言わねばならないのでしょうね。
⇒現実にはないだろうが川柳らしいフィクション。
⇒皮肉が効いていて面白い。
・言えそうで異論も言えぬ民主国 蘭綺麗
⇒マスメディアはロシア、プーチン非難一色。政党も労働団体も同じ。労働者の目で見ていない。
⇒「言えそうで」「言えぬ」のリフレーンがいい。戦争だけでなく様々なことで言いにくい世の中になっていることをも表現している。
⇒この言えない雰囲気はずっと前からあることで、今更という感じはする。
⇒「民主国対専制国」の構図でいま宣伝されている。「民主国」を入れることで時事川柳。
★ 2点句(6句)
・ダーウィンもヒトの退化に驚いて 一志
⇒世の中進んでいる時代になっても戦争をやっている。ダーウィンもがっかりしている。
⇒進化でなく退化。
・セシウムのなみだ魚の春遠く サカマキフミエ
⇒芭蕉の「行く春や鳥啼き魚の目は泪」の本歌どり。トリチウムの方がいい。魚が大変だ。
⇒汚染水の事は忘れてはいけない。
・差別やら無差別やらが幅利かせ 今明
⇒いま「差別」と「無差別」の恐怖が広がっている。その重いテーマを並列にし「幅利かせ」と軽く言っているところが上手い。
⇒差別されてもろくなことはない。無差別に爆撃されてもろくなことはない。どっちにころんでもそんな世の中が幅を効かせている。ウイット。
・「ネオナチ」と鏡に吼える独裁者 すなふきん
⇒プーチンのこと。「鏡に吠える」が面白い。
⇒漫画チックで絵になる。「ネオナチ」の「 」はいらない。
・一斉にニュースキャスター口揃え 笑い茸
⇒マスメディアの醜態を如実に表現。
⇒ウクライナの問題でどのキャスターも同じことを言っている。操作されている感じ。
・廃炉まであと何回の震度6 奥徒
⇒今回の地震でフクシマ大丈夫かとみんな思った。こんなことがあと何回続くのかという思いを上手く表現。
⇒その思いは「あと何回」ではなくて、何十という相当の回数だろう。
⇒廃炉などできない。
★ 1点句(9句)
・大あくび侮辱罪で禁固刑 かぼす
⇒川俣事件のこと、田中正造のこと?
⇒ゼレンスキーの国会演説の時に外務大臣が欠伸をした。そのこと?
*今国会に「侮辱罪の厳罰化」として、罰を「禁固刑」まで広げる法改正案が提出され、適用範囲が無制限。法廷で大アクビしたために「検察官を侮辱した罪」で投獄された「田中正造のあくび事件」の話が現実化するかもしれないよ、というつもりでした。こういう釈明と言い訳をしなければ通じないのはお恥ずかしい限りです。反省、反省。と作者。
・地に足の着かぬ速さが恐ろしい 奥徒
⇒上手い味のある川柳。技術革新、国際情勢、政治の右傾化、公有の私有化と福祉の劣化、労働者の非正規化、環境破壊、コロナパンデミック、世界中で進んでいるその速さが怖い。とくにウクライナで使われている最新兵器はIT化でその速さは凄まじい。ドローンは子どもでも操作できる・・・。
*選者の深読みで、今回の地震で脱線した東北新幹線のこと。
・米基地を遺骨で造るヤマトンチュー 木根川八郎
⇒遺骨の混じる土砂で辺野古埋め立てとは二重三重に罪深い所業。
・107兆おいらのための予算なし かぼす
⇒くだけた感じで皮肉が効いていている。
⇒軽るさががいい。
・まん防解除あとは野となれ山となれ 乱鬼龍
⇒このとおり。
・睨み合い長テーブルの端と端 夕雲
⇒最近こういう風景が多い。
⇒テーブルには着くが歩み寄る気はない。
・一票が五千円だと侮られ 今明
⇒選挙目当てのばら撒き。年金生活者が軽く見られている。
・ウクライナ国旗がダブる日の丸に 一志
⇒国旗の擬人化が効いている。「尖閣諸島奪還」「台湾海峡有事」、米軍指揮下で日米合同演習が盛んに行われている。膨大な軍事予算が組まれ、死の商人が暗躍する。死ぬのは兵士、一般市民。仕掛けられ、引きずり込まれ、国のためだと死んでいく。「ウクライナ国旗にダブる日の丸が」では?
・川の声聞いて治水をする古老 白眞弓
⇒田中正造のこと。
⇒田中正造だけではない。いまも同じような古老がダム反対などに闘っている。
★ (乱鬼龍選)
差別やら無差別やらが幅利かせ 今明
言えそうで異論も言えぬ民主国 蘭綺麗
廃炉まであと何回の震度6 奥徒
★ (選外句)
3月29日(火)の句会はオンライン併用にて行われました。句会参加者は4名、オンラインでの参加者は4名の計8名でした。選句を寄せた方は2名でした。
今回は投句者、句数が多かったわりに句会、選句への参加は少なかった。そのため選句数は少なくなり、その分、一句一句の批評に時間がとれ、話しもあっちへ飛んだりこっちへ飛んだりしながら充実した句会になった。一方、選外句が多くなってしまった。
句会の後の交流会はうまくて安い店を発見。楽しく盛り上がりました。
句会を開くにもいろいろ労力がかかります。
そのひとつ句会報告の作業が白眞弓さんに偏っていました。反省をして平均化することにしました。
当面は一年で11回を、一志、白眞弓、芒野、笑い茸が2回、残りの3回をそれ以外の参加者で行うことにしました。早速、なずなさんが4月担当に手を上げてくれました。みなさん、分担し合って楽しく句会を続けましょう。
それと、商業新聞などへの投句と違い、参加者の互選、感想を言い、批評し合い、新しい発見や、作句の力をつけ、レイバーネットで発信していこうとする句会です。毎回でなくても結構です。投句するだけではなく、句会への参加、それが無理の方は選句に是非力を貸してください。選句は兼題、自由吟とも3句選び、選んだ理由を簡単に書いてください。
4月の句会は4月26日(火)午後6時半~8時半 郵政共同センター及びオンラインにて開催予定です。近くなりましたらオンラインのアドレスをお知らせします。
■兼題は「憲法」です。兼題、自由吟とも1句以上3句までです。
■投句締め切りは4月19日(火)24時
■投句先は https://labornetjp.jimdofree.com/senryu/
又はFAX 03-3530-8578 です。
「世直し川柳かわら版」№2をつくり、5月3日の憲法集会に配布しようと決めました。前回のように句会に発表された句から選び、A4裏表で編集します。(報告:笑い茸)
『レイバーネット日本』(2022-04-03)
http://www.labornetjp.org/news/2022/1648942528805staff01
兼題「戦争」21人 53句
★ 5点句(1句)
・国旗振るたびに命が軽くなり 一志
⇒見慣れていることに隠れている事実をうまく表現している。穿ち。「国旗振るたびに命が軽くなる」または「国旗振るたびに命を軽くする」などはどうか。
⇒ナショナリズムに対する批判。国のために殺されていく。国家の名のもと、戦いに行けと命じられる人々。胸が痛い。
★ 4点句(1句)
・にんまりと戦火へ油注いでる 笑い茸
⇒改憲派は大喜びしている。日本でもにんまりしている政治家が国会の過半数を占る。
⇒川柳らしいうまい句。油は武器・弾薬。
★ 3点句(1句)
・入隊の時に心が一つ死に J・ポンド
⇒兵士になることの意味をいろいろと深く考えさせる。下五の「一つ死に」がいい。「時に」を「夜に」と具体的にイメージできるようにしたらもっとよくなるのでは。
⇒当時の若者と今の若者の気持ちが推し量られて辛い。
*皇軍や自衛隊に入った若者たちの「自殺」などをめぐって話し合いがつづいた。
★ 2点句(4句)
・戦争をやめろと武器を投入す 蘭綺麗
⇒戦争は矛盾だらけ。それを端的に指摘。
⇒面白い。落語にも同じような表現がある。
・ロシア兵彼等も命ひとつだけ いりたまご
⇒命の問題ではロシア兵もウクライナ兵も同じ。
・満州に攻め込む日本思い出し かぼす
⇒ロシアのウクライナ侵攻は満州事変の流れと同じ。
⇒「満州は日本の生命線」「国を守るため」は常套手段。
・火炎瓶作る市民を皆で褒め 芒野
⇒いまの世相、風潮への諷刺が効いている。かつて過激派として批判した行為。
⇒火炎瓶で戦っていることを美談として報じていることを批判。
⇒「皆で」を「ニュース」にするのはどうだろうか。
★ 1点句(10句)
・改憲だ核をシェアだと大はしゃぎ 奥徒
⇒この機に乗じて声高に主張し始める恐ろしさ。議員は侵攻を止めるためにこそ尽力するべき。
・高みにて武器商人のえびす顔 夕雲
⇒ウクライナが使っている携行式対戦車ミサイルが一発2000万円、発射装置が8000万円とか。戦争は巨大利権。
・戦争を前に消されるコロナ死者 なずな
⇒テレビは戦争一色。コロナで毎日大勢死んでいっているのに目をそらされている。
・憲法に非戦ある国武器援助 白眞弓
・プーチンが戦時の日本再演中 木根川八郎
・便乗しはしゃぐ日本のミニプーチン かぼす
⇒アベのこと。
・戦争を唱える人は行かぬ人 すなふきん
⇒よくある句だけど、よくまとまっている。
・戦争がすでにそこまで来た日本 乱鬼龍
⇒渡辺白泉の「戦争が廊下の奥に立っていた」の一歩手前か。追い返さないと本当に家に上がり込んでくる。
・国境はないが縄張りある資本 笑い茸
⇒資本の本質を面白い表現で描いている。
⇒国や民族の戦争に見えるが、ロシア、ウクライナのオリガルヒのショバ争い。
・ロシア軍過去の日本重ね見る 今明
⇒プーチンの領土拡大は日本の過去と同じ。
(乱鬼龍選)
にんまりと戦火へ油注いでる 笑い茸
国旗振るたびに命が軽くなり 一志
火炎瓶作る市民を皆で褒め 芒野
★ (選外句)
戦争は殺した数の競い合い
戦争はいつも平和のためと言う
一パーがやる戦争に乗せられて
アメリカのイラクロシアのウクライナ
ともだちをぶったりしてはいけないよ
戦争で儲けるロシア研究家
中立なし殺し殺さる戦争で
お友達ならば戦時下シンゾウで
戦争や明日の平和考える
空爆のライブ流れる三月十日
戦争の悲惨さ平和考える
いくさの暇ないと哲医師雲間から
青と黄地球埋めても血は流れ
戦争後残る心に深い傷
安保理を機能不全にする拒否権
革命や反戦ですら利用され
戦争を知らぬ輩の勇ましさ
人が人撃ち殺し合う犬に恥じよ
五輪と戦争ニュース楽しむ隣人
ウクライナ映す鏡にぞっとする
侵略に憲法九条揺るがせぬ
9条が揺らぐ窮状断固阻止
戦争をやめねば地球もうもたず
戦時下で強くも弱い市民たち
戦争はしないとみんな決めたのに
日本の空に爆音未だ止まず
戦えと鼓舞する政府かつて見た
瓦礫山ひとり見つめる子の涙
戦争はすぐにやめなよすべて無駄
爆撃の下を逃げ行く人ら想う
アメリカの使い走りはすぐにやり
いつか来た道が突然あらわれて
それ見たかまず原発が狙われる
オンオフで自衛反戦入れかわる
戦争を知らない人ほど発奮し
青空と菜の花が乞う停戦を
★ 自由吟 20人 51句
★ 3点句(3句)
・原発を狙えばそれが核兵器 すなふきん
⇒原発を核兵器と言い切ったところが新鮮。
⇒日本を核攻撃するのに核ミサイルは要らない。安全保障を考えるなら原発を無くすこと。
⇒原発をつくった時点で自国攻撃用の核を持っているようなもの。
⇒ウクライナでの戦争が第二次大戦の時の戦争と違うのをあらためて感じた。
・面接に黒塗りできるかと訊かれ 笑い茸
⇒聞かれたら「出来ます!」と言わねばならないのでしょうね。
⇒現実にはないだろうが川柳らしいフィクション。
⇒皮肉が効いていて面白い。
・言えそうで異論も言えぬ民主国 蘭綺麗
⇒マスメディアはロシア、プーチン非難一色。政党も労働団体も同じ。労働者の目で見ていない。
⇒「言えそうで」「言えぬ」のリフレーンがいい。戦争だけでなく様々なことで言いにくい世の中になっていることをも表現している。
⇒この言えない雰囲気はずっと前からあることで、今更という感じはする。
⇒「民主国対専制国」の構図でいま宣伝されている。「民主国」を入れることで時事川柳。
★ 2点句(6句)
・ダーウィンもヒトの退化に驚いて 一志
⇒世の中進んでいる時代になっても戦争をやっている。ダーウィンもがっかりしている。
⇒進化でなく退化。
・セシウムのなみだ魚の春遠く サカマキフミエ
⇒芭蕉の「行く春や鳥啼き魚の目は泪」の本歌どり。トリチウムの方がいい。魚が大変だ。
⇒汚染水の事は忘れてはいけない。
・差別やら無差別やらが幅利かせ 今明
⇒いま「差別」と「無差別」の恐怖が広がっている。その重いテーマを並列にし「幅利かせ」と軽く言っているところが上手い。
⇒差別されてもろくなことはない。無差別に爆撃されてもろくなことはない。どっちにころんでもそんな世の中が幅を効かせている。ウイット。
・「ネオナチ」と鏡に吼える独裁者 すなふきん
⇒プーチンのこと。「鏡に吠える」が面白い。
⇒漫画チックで絵になる。「ネオナチ」の「 」はいらない。
・一斉にニュースキャスター口揃え 笑い茸
⇒マスメディアの醜態を如実に表現。
⇒ウクライナの問題でどのキャスターも同じことを言っている。操作されている感じ。
・廃炉まであと何回の震度6 奥徒
⇒今回の地震でフクシマ大丈夫かとみんな思った。こんなことがあと何回続くのかという思いを上手く表現。
⇒その思いは「あと何回」ではなくて、何十という相当の回数だろう。
⇒廃炉などできない。
★ 1点句(9句)
・大あくび侮辱罪で禁固刑 かぼす
⇒川俣事件のこと、田中正造のこと?
⇒ゼレンスキーの国会演説の時に外務大臣が欠伸をした。そのこと?
*今国会に「侮辱罪の厳罰化」として、罰を「禁固刑」まで広げる法改正案が提出され、適用範囲が無制限。法廷で大アクビしたために「検察官を侮辱した罪」で投獄された「田中正造のあくび事件」の話が現実化するかもしれないよ、というつもりでした。こういう釈明と言い訳をしなければ通じないのはお恥ずかしい限りです。反省、反省。と作者。
・地に足の着かぬ速さが恐ろしい 奥徒
⇒上手い味のある川柳。技術革新、国際情勢、政治の右傾化、公有の私有化と福祉の劣化、労働者の非正規化、環境破壊、コロナパンデミック、世界中で進んでいるその速さが怖い。とくにウクライナで使われている最新兵器はIT化でその速さは凄まじい。ドローンは子どもでも操作できる・・・。
*選者の深読みで、今回の地震で脱線した東北新幹線のこと。
・米基地を遺骨で造るヤマトンチュー 木根川八郎
⇒遺骨の混じる土砂で辺野古埋め立てとは二重三重に罪深い所業。
・107兆おいらのための予算なし かぼす
⇒くだけた感じで皮肉が効いていている。
⇒軽るさががいい。
・まん防解除あとは野となれ山となれ 乱鬼龍
⇒このとおり。
・睨み合い長テーブルの端と端 夕雲
⇒最近こういう風景が多い。
⇒テーブルには着くが歩み寄る気はない。
・一票が五千円だと侮られ 今明
⇒選挙目当てのばら撒き。年金生活者が軽く見られている。
・ウクライナ国旗がダブる日の丸に 一志
⇒国旗の擬人化が効いている。「尖閣諸島奪還」「台湾海峡有事」、米軍指揮下で日米合同演習が盛んに行われている。膨大な軍事予算が組まれ、死の商人が暗躍する。死ぬのは兵士、一般市民。仕掛けられ、引きずり込まれ、国のためだと死んでいく。「ウクライナ国旗にダブる日の丸が」では?
・川の声聞いて治水をする古老 白眞弓
⇒田中正造のこと。
⇒田中正造だけではない。いまも同じような古老がダム反対などに闘っている。
★ (乱鬼龍選)
差別やら無差別やらが幅利かせ 今明
言えそうで異論も言えぬ民主国 蘭綺麗
廃炉まであと何回の震度6 奥徒
★ (選外句)
真実は闇に葬るマスメディア以上
改憲派反戦デモを称賛し
人の血が好きな国家と軍隊と
聞く耳がなんと聞こえず耳掃除
うたたねに夢見し遠き母の胸
九条は今こそ出番国越えて
ここに来てかつての日本よく見える
振り出しに戻る冷戦後の世界
核共有正体見せた輩たち
今年こそ神輿に乗ると鎮守神
核置けば安心と言うとんちんかん
いつか来る思っていたらついに来た
義務教育無料の外に金かかり
許せない処理水放出迫り来る
コロナ戦争地球はすでにキレてくる
加速する値上げラッシュに音を上げる
青年に譲られし席はずかしき
踏みにじる靴は写らず独裁者
桜花雪片載せて聴く銃声
地球から殺す道具を無くしたい
戦場(いくさば)に散らしてならぬ生命たち
大ロシア妄想止まらず綱渡り
呆然と反ワクチンデモの隊列に
スノーデン米の謀略みぬいてる
東欧に心寄せつつ茶渋とる
5000円で騙されるほどウブでなし
ミャンマーやロヒンギャとの格差なぜ
シンエヴァ後ヤシマ作戦再伝播
やわらかき春の陽射しに猫一匹
非戦にて集え世界の平和主義
3・11忘れるなよとまたも揺れ
ウクライナ難民だけは受け入れる
縮めたい賃金格差腹回り
3月29日(火)の句会はオンライン併用にて行われました。句会参加者は4名、オンラインでの参加者は4名の計8名でした。選句を寄せた方は2名でした。
今回は投句者、句数が多かったわりに句会、選句への参加は少なかった。そのため選句数は少なくなり、その分、一句一句の批評に時間がとれ、話しもあっちへ飛んだりこっちへ飛んだりしながら充実した句会になった。一方、選外句が多くなってしまった。
句会の後の交流会はうまくて安い店を発見。楽しく盛り上がりました。
句会を開くにもいろいろ労力がかかります。
そのひとつ句会報告の作業が白眞弓さんに偏っていました。反省をして平均化することにしました。
当面は一年で11回を、一志、白眞弓、芒野、笑い茸が2回、残りの3回をそれ以外の参加者で行うことにしました。早速、なずなさんが4月担当に手を上げてくれました。みなさん、分担し合って楽しく句会を続けましょう。
それと、商業新聞などへの投句と違い、参加者の互選、感想を言い、批評し合い、新しい発見や、作句の力をつけ、レイバーネットで発信していこうとする句会です。毎回でなくても結構です。投句するだけではなく、句会への参加、それが無理の方は選句に是非力を貸してください。選句は兼題、自由吟とも3句選び、選んだ理由を簡単に書いてください。
4月の句会は4月26日(火)午後6時半~8時半 郵政共同センター及びオンラインにて開催予定です。近くなりましたらオンラインのアドレスをお知らせします。
■兼題は「憲法」です。兼題、自由吟とも1句以上3句までです。
■投句締め切りは4月19日(火)24時
■投句先は https://labornetjp.jimdofree.com/senryu/
又はFAX 03-3530-8578 です。
「世直し川柳かわら版」№2をつくり、5月3日の憲法集会に配布しようと決めました。前回のように句会に発表された句から選び、A4裏表で編集します。(報告:笑い茸)
『レイバーネット日本』(2022-04-03)
http://www.labornetjp.org/news/2022/1648942528805staff01
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