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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

丸山穂高は、日本軍国主義の復活の先駆者なのか

2019年07月17日 | 平和憲法
 ◆ 丸山「戦争」発言の背景
   兵器の爆買いに突き進む安倍政権
(週刊新社会)
ルポライター 鎌田慧

 ◆ 成果が問われる発言の追及
 6月下旬、自民、公明、維新は、野党が提出した安倍内閣不信任決議案を否決し、通常国会が閉幕した。このとき、どこに隠れていたのか、平然と姿をあらわしたのが丸山穂高議員
 雲隠れをきめこんでいた、この35歳の恥知らずの衆議院議員は、どこかに逃げ込んで、自分が起こした騒ぎが鎮まるのをじいっと待つていた。
 ひとのうわさも75日、安倍の森友、加計問題が消えたのに倣ってのことだ。糾弾の声烈しかったマスコミも、なぜか続報なく、尻切れトンボにおわっている。
 しかし、彼は猫の手も借りたい衆院での不信任案採決には、政権擁護の挙手マシーンとして、恥知らずにも病気を理由に休んでいた国会に姿をあらわした。迎合の計算であろう。
 所属する維新の会は、彼のあまりにもひどい発言に、「関係ありません」あっさりあっさり除名。無所属になっていたが、自公維新に追随して採決に反対の一票を投じた。
 ◆ 明白な戦争鼓吹

 しかし、「戦争しないとどうしようもなくないですか」の丸山の不穏な声は、けっして消えてしまったわけではない。
 あのぎょっとさせる発言は、「令和」(倭“大和に、命じるどこかの国)の浮かれた元号騒ぎが消えたあとでも、残響を響かせている。
 「戦争しないとどうしようもなくないですか」。
 二重否定の婉曲話法だが、丸山が言ったのは、明白な戦争鼓吹論だった。
 戦後はじめて、現職の国会議員が「戦争しないのか」と他人を煽った歴史的発言である。
 これが時代錯誤の馬鹿げた暴言、として記憶されるのか、それとも彼が崇拝する日本軍国主義の復活の先駆者になれるのか。これからのわたしたちの運動の成果が問われている。
 ◆ 平和憲法の鬼子

 丸山穂高議員の発一言は、「武力の行使は永久に放棄した」日本国憲法9条をドブに投げ捨てようとする憲法違反の言辞だ。そればかりか、99条「憲法を尊重し擁護する義務を負う」国会議員の義務違反でもある。
 といっても、安部首相みずから憲法を蔑(ないがし)ろにしているのが現実だ。口をひらけば「憲法改定」「防衛力増強」「日米同盟の強化」を唱え、戦車に乗ったり、戦闘機のコックピットに入ってポーズをとったり、病的に武器が好きな安倍もまた、平和憲法の鬼子というべきだ。
 安倍はただ祖父の岸信介以来の対米追随による身分安定を狙う保身が、精神を支配しているのだが、この永年の居座りが、ところ構わず戦争を鼓吹する、若き「国会議員」の出現をもたらした。
 そのような未成熟な人間を自党の候補者として公認し、三期も当選させていた、維新の会の責任は大きい。戦争発言は選挙前なら了解可能だったのかもしれない。
 ◆ 人間的想像力ゼロ

 丸山議員の発言が、北方四島の国後島で、それも国後から追われた元島民の老人たちにむけての発言だったことの非常識は、許せるものではない。
 いうまでもなく、国後などの四島は日本の国土だったのだが、敗戦間際、ソ連軍に占領され、いまなお、実効支配されている。
 だから、四島返還は日ロ交渉の最大のテーマである。
 しかし、だからといって、現地に住むロシア人との交流を深め、元島民がビザなし渡航によって、ようやく墓参ができている現状なのに、元島民の心の傷を抉るように、「奪還戦争で解決しないのか」と煽る無神経は許されない。人間的な想像力ゼロの国会議員が大手を振る時代になった。
 彼は安倍政権支持だが、「日米同盟強化」まっしぐらの安倍は、武力行使の放棄を世界に約束した憲法に違反して、米国に追随して軍備強化を進めている。
 ◆ 軍拡議員は選挙で落とす

 あまりにもむき出しな戦争論にたいして、国会での「辞職勧告決議」が議題なったが、わたしは「言論によって身分を剥奪していいかどうか」と反対論を東京新聞、5月21日の連載コラムに書いた。
 戦時中、ひとり衆議院で反軍演説を打って除名処分にされた斉藤隆夫の故事が念頭にあった。
 将来、少数となっても反戦を訴える場面をむかえるがもしれない。そのとき後悔しないためである。
 選挙で当選した者は選挙で落とすしかない、それが議会制民主主義の要諦であろう。
 反対意見にも耳をかす精神は、ヴォルテールに学ぶべきだ。
 「あなたの意見には反対だ。だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」
 戦争論など、言論ではない、と丸山を批判する意見もあったようだが、少し前まで反軍論など言論ではない、と言われていたのだ。
 ◆ 年金より戦争準備

 丸山議員の勘違いには、安倍政治の現状が反映されている。
 米国とイランの間の「仲介役」を演じるためにイランに出かけ、空振りでノコノコ帰ってきた。ルモンドは「ドナルド・トランプのイラン特使」とやっつけたが、トランプの権力を笠に着るトランペットの姿は世界では嘲笑の的だ。
 年金がこれからどうなるか判らない、というのに、トランプとのゴルフの合間に、一機140億円のステルス(見えない戦闘機)F35を147機、ミサイル防衛のイージス・アショアを2基6000億、さらにオスプレイの大量買いなど、維持費、部品交換をふくめると、数兆円におよぶ。これほどの兵器をあわてたように爆買いするなら、戦争準備と思われて当り前だ。
 丸山議員の発言が、歴史的に馬鹿げた戦争論で終わるのか、それとも軍事大国の出発を告げる先駆者となるのか。
 それがこれからの、わたしたちの運動次第だ。
 歴史の奥底から、またぞろ本音がでてきたからといって、あわてて、除名処分などで蓋をしてすむ問題ではない。
『週刊新社会』(2019年7月9日)

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