◆ 学校・生徒を民間産業の餌食にしてはならない
一正規教員を増やせ、4600億円をICTだけに使うな一 (個人情報保護条例を活かす会)
文科省は1人1台の端末と通信環境を2023年度目標に整備する予定でいました。GIGAスクール構想です。
しかし、このコロナ騒動で一挙にそれが進み始めました。今年4月、第1次補正予算とほぼ同額の第2次補正予算を獲得し、あわせて4600億円以上がこの構想に投入されることになりました。
ここに群がるIT企業があることを忘れてはなりません。
<セキュリティも格差解消も二の次の文科省>
5月11日、文部科学省高谷浩樹氏(初等中等教育局情報教育・外国語教育課長)はyoutubeで全国の教育委員会や校長などに向けてかなり強いメッセージを発信しました。
予算は取った、あとは現場(自治体)がどれだけやる気を出すかだというトーンで、ICTやらないのは自治体側に説明責任があるとまでいっています。ほとんど恫喝です。それにきわめて乱暴な論理です。
たとえば、5%の子供ができないからということがICTを使わない理由にはならない、やれるところからやれ、セキュリティよりICTを使うことが重要、ルールを守るということは最終目的ではない、そして、最後には教育委員会や管理職は180度頭を変えろとまで言っています。
このようなかなり乱暴な方針のもとでICT、オンライン学習が進められようとしています。怖いのは「緊急」時の措置が、そのまま「日常」となってしまうことです。
当面は、学校と生徒とがオンラインで情報交換ができ健康チェックや家庭学習のやりとりをするくらいでしょうが、電話やfa×ではないというだけでも大変な変化だと思います。
家庭の事情によってはそれさえままならないのが実情でしょう。
<オンラインになったけど>
しかし、そのような通信ができればそれはそれで問題も出てきます。神高教の分代資料からの引用です。
オンラインでの授業はまだハードルは高く、先行している大学でも、学生、教員双方にいろいろとストレスを抱えており6月21日の朝日新聞の投稿はそれを示しています。
◆ <狙いは民間教育産業の参入>
上記は当面のコロナ対応ですが、政府(文科、総務、経産省)が考えるICTの本来の目的はここにとどまるものではありません。
狙いはICT環境の上に、民間の教育・IT産業の参入を前提としたEdTechの導入であり、実証実験はすでに行われています。そこに転がり込んできたのが冒頭の予算と考えるべきでしょう。
経産省のホームページによれば「未来の教室」実証事業が80件、サービス企業は大小併せて132件が検索されます。
教育に民間産業をどんどん参入させようとしています。
「未来の教室」ビジョン(2019)によれば、現在の授業は「一律、一斉、一方向」であるとして否定され、これからはPCやタブレットを使い、自ら課題を設定し自学自習に取り組み、学校では探究・プロジェクト型学習(PBL)に費やす時間を捻出するよう提言します。
知識の獲得は学校である必要はないということです。
生徒の学習成果はビッグデータとして民間産業によって吸い上げられAlによって個々人に「最適化」された教育プログラムが課される、それが「個別最適化学習」の中身です。
その結果が自己責任とされることはおよそ見当がつきます。
地域間格差、学校間格差、家庭間格差が相乗されて個々の生徒に反映されることでしょう。
<教員を増やせ、クラス人数を減らせ。こっちにもっと金かけろ>
これに対応できる教員については、デジタルファーストの考え方で業務環境を再構築すること、新たに求められる「専門性」を身につけるための研修の充実、外部の専門家や職業人による教育参画などが上げられています。
ますます新たな仕事が増え、研修に追いまくられる姿がうかびます。
教育産業の下請けのような、PCやデータ処理に長けた人が「有能」な教員とされるのではないでしょうか。
いま本当に必要なのはPCやタブレットによる教育ではありません。
教育は生身の人間どうしが互いにリアルな空間で学び合うことが基本であり、そのための時間的、空間的なゆとりが最も重要です。
教員増員、少人数クラス実現!。4600億をICTだけに使うな!!
『神奈川・個人情報保護条例を活かす会 No.37』(2020/7/04)
一正規教員を増やせ、4600億円をICTだけに使うな一 (個人情報保護条例を活かす会)
外山喜久男(個人情報保護条例を活かす会共同代表)
文科省は1人1台の端末と通信環境を2023年度目標に整備する予定でいました。GIGAスクール構想です。
しかし、このコロナ騒動で一挙にそれが進み始めました。今年4月、第1次補正予算とほぼ同額の第2次補正予算を獲得し、あわせて4600億円以上がこの構想に投入されることになりました。
ここに群がるIT企業があることを忘れてはなりません。
<セキュリティも格差解消も二の次の文科省>
5月11日、文部科学省高谷浩樹氏(初等中等教育局情報教育・外国語教育課長)はyoutubeで全国の教育委員会や校長などに向けてかなり強いメッセージを発信しました。
予算は取った、あとは現場(自治体)がどれだけやる気を出すかだというトーンで、ICTやらないのは自治体側に説明責任があるとまでいっています。ほとんど恫喝です。それにきわめて乱暴な論理です。
たとえば、5%の子供ができないからということがICTを使わない理由にはならない、やれるところからやれ、セキュリティよりICTを使うことが重要、ルールを守るということは最終目的ではない、そして、最後には教育委員会や管理職は180度頭を変えろとまで言っています。
このようなかなり乱暴な方針のもとでICT、オンライン学習が進められようとしています。怖いのは「緊急」時の措置が、そのまま「日常」となってしまうことです。
当面は、学校と生徒とがオンラインで情報交換ができ健康チェックや家庭学習のやりとりをするくらいでしょうが、電話やfa×ではないというだけでも大変な変化だと思います。
家庭の事情によってはそれさえままならないのが実情でしょう。
<オンラインになったけど>
しかし、そのような通信ができればそれはそれで問題も出てきます。神高教の分代資料からの引用です。
「G suiteについて毎週課題が月曜日の朝8時にアップロードされ、生徒の中には課題の多さにつぶれかかっている者もいる。これだけの課題を行う上で、生徒の通信についても不安であるが、PCとスマホでも格差が生まれてしまっている」(また、「プりンターも各家庭では通常設置されていないようで、手で書いて提出という形はとりにくいのが実情」という話も聞きます。)
「管理職からスマホにOffice365を入れろと言われたが勤務時間外にたくさん来るようになった。通知オフを推奨されるが、学校からの連絡には緊急性を感じるため確認してしまう。生徒からの連絡もあり、24時間勤務の状態になってしまっており、線引きをしないと働き方改革から離れてしまう」(神高教分代資料6/13)。
オンラインでの授業はまだハードルは高く、先行している大学でも、学生、教員双方にいろいろとストレスを抱えており6月21日の朝日新聞の投稿はそれを示しています。
◆ <狙いは民間教育産業の参入>
上記は当面のコロナ対応ですが、政府(文科、総務、経産省)が考えるICTの本来の目的はここにとどまるものではありません。
狙いはICT環境の上に、民間の教育・IT産業の参入を前提としたEdTechの導入であり、実証実験はすでに行われています。そこに転がり込んできたのが冒頭の予算と考えるべきでしょう。
経産省のホームページによれば「未来の教室」実証事業が80件、サービス企業は大小併せて132件が検索されます。
教育に民間産業をどんどん参入させようとしています。
「未来の教室」ビジョン(2019)によれば、現在の授業は「一律、一斉、一方向」であるとして否定され、これからはPCやタブレットを使い、自ら課題を設定し自学自習に取り組み、学校では探究・プロジェクト型学習(PBL)に費やす時間を捻出するよう提言します。
知識の獲得は学校である必要はないということです。
生徒の学習成果はビッグデータとして民間産業によって吸い上げられAlによって個々人に「最適化」された教育プログラムが課される、それが「個別最適化学習」の中身です。
その結果が自己責任とされることはおよそ見当がつきます。
地域間格差、学校間格差、家庭間格差が相乗されて個々の生徒に反映されることでしょう。
<教員を増やせ、クラス人数を減らせ。こっちにもっと金かけろ>
これに対応できる教員については、デジタルファーストの考え方で業務環境を再構築すること、新たに求められる「専門性」を身につけるための研修の充実、外部の専門家や職業人による教育参画などが上げられています。
ますます新たな仕事が増え、研修に追いまくられる姿がうかびます。
教育産業の下請けのような、PCやデータ処理に長けた人が「有能」な教員とされるのではないでしょうか。
いま本当に必要なのはPCやタブレットによる教育ではありません。
教育は生身の人間どうしが互いにリアルな空間で学び合うことが基本であり、そのための時間的、空間的なゆとりが最も重要です。
教員増員、少人数クラス実現!。4600億をICTだけに使うな!!
『神奈川・個人情報保護条例を活かす会 No.37』(2020/7/04)
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