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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

権力は加害の歴史を隠したがる、9月1日は次世代に伝える日

2017年08月31日 | ノンジャンル
 ◆ 消される虐殺 (東京新聞【本音のコラム】)
   斎藤美奈子(文芸評論家)


 東京都教育委員会が発行する都立高校用の日本史副読本『江戸から東京へ』が問題になったのは2013年だった。
 この副読本は11年度から使われているが、13年度版から記述の一部が変更されたのだ。そのひとつが「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」についてのコラムである。
 旧版は〈大震災の混乱のなかで数多くの朝鮮人が虐殺された〉。
 新版は〈碑には、大震災の混乱のなかで、「朝鮮人の尊い命が奪われました。」と記されている〉。
 虐殺の事実を都は隠蔽(いんぺい)しちゃったのである。変更の理由は「殺害方法がすべて虐殺と判断できない」。
 今年、小池百合子都知事が関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文送付を断ったのと、副読本の一件はひとつながりと見るべきだろう。
 同様の隠蔽はしかし、過去にもあった。西崎雅夫氏の労作『関東大震災朝鮮人虐殺の記録 東京地区別1100の証言』〈現代書館・16年〉には、〈鮮人がひなんしたのを殺されたりした〉を〈知らない人が来たのをぶったりした〉に改ざんするなど、子どもの作文が徹底検閲された例が数多く示されている。
 私たちにできるのは、せめて2つの事実を次世代に伝えることだろう。
 第一に虐殺の歴史があったこと。第二に権力は加害の歴史を隠したがること。9月1日はそのための日。教材ならいくらでもある。
『東京新聞』(2017年8月30日【本音のコラム】)
  (8月30日東京新聞朝刊27面「本音のコラム」より)

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