☆ レイバーネット川柳句会報告（2024年10月）

　☆ 「強制が任意任意とやってくる」

 

　レイバーネット川柳句会が、10月31日(木）、郵政共同センタ―で行われました。今回の参加者は、会場10人オンライン4人の合計14人。ほかに2人がメールで選句しました。また前回に引き続き新メンバーが加わり、大いに盛り上がりました。

　兼題「色」61句、自由吟62句から、一人それぞれ３句を選びました。全体の投句者数も22人でだいぶ増えました。

 

　今回の自由句の最高得点句は「強制が任意任意とやってくる」（乱鬼龍）で7点を獲得しました。乱師匠が力を見せつけました。この句は、マイナ保険証批判にとどまらず、政府の一連のやり口を痛快に批判しています。

　　　「任意任意のリズムがいい」
　　　「同調圧力をうまく表現している」
　　　「ワクチンもそうだったし、昔の特攻兵も命令でなく志願という形をとった。自己責任にしてしまう国のやり方が恐ろしい」
　などのコメントが続きました。今後、「むしろ旗デモ」に使えそうです。

　兼題「色」の高点句には、
　　　「顔色を変えずに首相舌を変え」（笑い茸）
　　　「赤信号みんなで渡っているところ」（一志）
　　　「議事堂も迷彩色に塗りはじめ」（Ｊ・ポンド）
　などが選ばれました。
　後者２句の「渡っているところ」「塗りはじめ」の表現は現在進行形であり、軍事化が進む「危険ないま」を巧みに表していました。
　ほかには、袴田事件・ガザ・裏金問題・闇バイトなどを取り上げた句がありました。
　それぞれの句や事件をめぐって話がはずみ、時事討論会の様相でした。初参加のＳさんからは「川柳の愉しさと奥深さの一端に触れることができ、楽しい時間があっという間に過ぎました」との感想が寄せられました。

　次回１１月句会は１１月２２日（金）午後６時半～、郵政共同センター＋オンラインで開催します。兼題は「道」。
　兼題句、自由吟それぞれ３句まで、１１月１５日（金）までに投句してください。
　なお例年とおり「レイバーフェスタ」（12/25 練馬ココネリホールで開催）で川柳大会があります。こちらの投句、参加もお楽しみに。

（報告：一志）

→11月句会の投句先　https://www.labornetjp2.org/tokuform/

→川柳班サイト　https://www.labornetjp2.org/specialized/senryu/

 

●兼題　色

 

＜6点句＞

 

顔色を変えずに首相舌を変え　　笑い茸

 

＜4点句＞

 

赤信号みんなで渡っているところ　　一志

議事堂も迷彩色に塗りはじめ　　J・ポンド

 

＜3点句＞

 

里山が伐られソーラーパネル色　　笑い茸

 

＜2点句＞

 

モノクロの未来しかない高齢者　　一志

黒い雨浴びて反核つらぬいて　　なずな

色々と言い訳しても裏の金　　今明

老眼にかけてはならぬ色眼鏡　　J・ポンド

防衛費ふくれ色めく奥座敷　　笑い茸

無自覚に日本を染める家父長制　　坂巻フミエ

列強の趣味はぬり絵で世界地図　　J・ポンド

今日からは民の顔色知らんぷり　　ソロンゴ

戦世（いくさゆ）は白旗掲げばこれで良し　　幸柳

何処行った秋すっ飛んで赤トンボ　　為子

 

＜1点句＞

 

染み込んだ真っ赤なウソに半世紀　　奥徒

色のない世界に生きるガザの子ら　　なずな

放射能無色透明無味無臭　　乱鬼龍

教会も派閥も色を変えただけ　　今明

新首相国防色で身を固め　　なずな

黒煙をあげて苦しむ世界地図　　ソロンゴ

黄金色に染まる夢みる休耕田　　木根川八郎

色のない裏金今ぞ使い時　　今明

月給日すでに家計は赤字なり　　乱鬼龍

野党でも自民色ならお断り　　芒野

 

＜乱鬼龍選＞

 

顔色を変えずに首相舌を変え　　笑い茸

議事堂も迷彩色に塗りはじめ　　J・ポンド

教会も派閥も色を変えただけ　　今明

 

●自由吟

 

＜7点句＞

 

強制が任意任意とやってくる　　乱鬼龍

 

＜5点句＞

 

ケーサツとケンサツ誰が取り締まる　　奥徒

 

＜3点句＞

 

地獄から自由もぎ取る姉の愛　　八金

墓に入るその時くらい別姓で　　幸柳

税金を払うためです闇バイト　　今明

雨降って軟弱地盤露呈する　　白眞弓

国防力みせてほしいな被災地で　　春うらわ

 

＜2点句＞

 

宇宙展のぞけば武器の見本市　　笑い茸

捏造と冤罪の文字書けますよ　　かぼす

官邸の引っ越しゴミに耳ふたつ　　笑い茸

三流の政治を許す三流民　　りんた

 

＜1点句＞

 

ただ1人幼子の立つガザの朝　　白眞弓

スマホより俺の顔見てくれないか　　夜市

若者の貧困映す闇バイト　　なずな

あのメガネ消えてマイナはなぜ消えぬ　　奥徒

ばんざいも握りこぶしに裏の金　　J・ポンド

もうとうに終わっているかもこの地球　　なずな

ヒバクシャを二度とだすなのノーベル賞　　芒野

三グラムさえ取り出せず再稼働　　今明

後退し石破の顔が岸田似に　　勇ちゃん

戦争の記憶が消える令和の世　　木根川八郎

パワハラは上下社会の必需品　　一志

平和賞たたえた総理 核共有　　八金

 

＜乱鬼龍選＞

 

地獄から自由もぎ取る姉の愛　　八金

ケーサツとケンサツ誰が取り締まる　　奥徒

三流の政治を許す三流民　　りんた

 

以上

 

『レイバーネット日本』（2024-11-02）

http://www.labornetjp.org/news/2024/1031hokoku