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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教員免許更新制→教員免許法改正

2007年03月26日 | 平和憲法
 「免許」と言えば、医師・裁判官・会計士・建築士・栄養士・英検など、「資格社会」の今日山ほどあるが、その中で「免許更新」を必要とするものはほとんどない。
 平和主義者が多い教員をねらい打ちにした、タカ派政治家の「イジワル」ではないか。現場で仕事をしていて技量が錆び付くなど考えられない。ごく一部の「不適格教員」是正なら、現行の経年研修で十分可能なはずだし、ペーパー免許証排除のためなら、実害のないところに余りにも費用と時間がかかりすぎる。


 =教員免許更新制=
  研修で教師置き去り


 “ダメ教師”排除の切り札として、現在は生涯有効な教員免許を十年ごとの更新制にする法改正が行われようとしている。教育再生会議は「公教育への信頼回復のため」、中教審は排除ではなく「知識技能の刷新のため」と説くが、その有効性はどうだろうか。

■全員一律の講習 効果を疑問視

 東京都文京区にある東京都教職員研修センター。ここでは都内の全公立学校教師のための研修が行われている。

 二〇〇三年から法的に義務づけられた「十年経験者研修」には、数百人が大教室で一斉に受ける「教育法規」「人権教育」「服務等」などの講座のほか、「学習指導」「生活指導」「進路指導」など実際の学級運営に即した講座も用意されている。福祉施設や企業でのボランティア活動や社会体験も課せられる。受講時間は約三十時間。目的は技量の向上だ。

 だが評判はいまひとつだ。「普段の寝不足を講義中に解消した」「講師に魅力がない」という声もある。都内のある公立小の副校長は「私の立場で言うのもなんだが、時間を割いて研修を受けても『聞いて良かった』と心から思える講義は少ない」と打ち明ける。

 むしろ技量向上なら「教師同士で授業を見せ合い批評し合う方が有意義」と、現場での教師同士の連携が有効と指摘する。

 更新条件の研修についても、都内の市立中の副校長は「知識や技能の刷新のためなら個々に応じた研修の方が身になる。全員一律の講習に効果はあるのか」と同様の見方だ。不適格教員排除の効果についても「運転免許のように講習を受けるだけで更新できるなら不適格者も生き残る可能性があるし、そもそも向かない人を十年間も放置するのは長過ぎる」と疑問視する。

■授業に“空白”費用も膨大に

 研修導入は別の懸念を生む。教師が研修で学校を離れると、当然、授業に穴があく。そのたびに自習にしたり別の教師が補欠として入るのが現状だが、免許更新制になれば、さらに三十時間の“空白”ができる。

 公立中で水泳部顧問を務める英語教師(39)は「学期中なら授業に穴があくし、夏休みは大会シーズンで手を抜けない。いつ受けるにしても現場を離れることになる」と訴える。へき地では研修先の都心まで「一日かかる」(離島の高校教師)地域もある。すべての教師の負担が増え、割を食うのは子どもたちだ。

 費用も膨大だ。公立学校の教師は全国に約百十万人。仮に毎年十人に一人が十万円の講習を受けるとすると、受講料だけで百億円を超す。ある公立中学教師(42)は「今ある研修制度を無視して新システムをつくるのは金と時間の無駄」と嘆く。

 一方で、中教審答申は「勤務実績の優秀な教師や管理職は受講を免除する場合もある」とする。誰がどんな基準で優秀と判定するのか。

 都内の公立中学で学年主任を務める教師(38)はこう考える。「免許更新制の発想は教師への不信感が土台にあるが、問題教師はほんの一部。一番の問題はそういう人を放置していることなのに、教師全員が不適格であるような想定で議論が進んでいる。皮肉なことに、改革のたびに教師は生徒から遠ざけられていく」 (井上圭子)

<メモ>教員免許更新制
 教育再生会議の1次報告は不適格教師の排除を念頭に置き「講習受講のみでなく実績や外部評価も勘案し認定を厳格に行う」としている。一方、中教審答申は技量の向上を狙い「社会の尊敬と信頼を得るための前向きな制度」と位置づけ、
 ▽免許の有効期限は10年間
 ▽大学などが開設する約30時間の講習を期限内に受講し修了することを更新条件とする
 ▽修了できなければ免許は失効
 ▽教員免許を持ちながら別の職業に就いている人も更新には同様の手続きが必要
-としている。肝心の講習内容や費用負担者についての議論はこれから。


『東京新聞』(2007/3/24朝刊「学校再生 教師に聞け!」)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20070324/ftu_____kur_____000.shtml

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