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日弁連:「個人通報制度」批准に向けて集会開催

2011年03月02日 | 人権
 ◇ 「個人通報制度の早期実現は喫緊の課題!」
 日弁連:「個人通報制度」批准に向けて集会開催
 公選法:ビラ配布弾圧大石市議事件、住友電工男女賃金差別事件、メルボルン事件


 【写真:公選法弾圧大石市議事件 (右)大石忠昭豊後高田市議会議員と河野善一郎弁護士】

 選挙弾圧事件や男女差別などの人権侵害に対して、国内で救済手段を尽くしても救済されない場合、被害者が国連機関に救済措置を求めることができる「個人通報制度」(国連の各人権機関に備わっている救済制度)を日本政府に適応させるために、国会での即時批准を求めて、日本弁護士連合会が25日夜、明治大学アカデミーホールにて「今こそ、個人通報制度の実現を!大集会」を開催しました。弁護士、国会議員、多くの市民が参加し「個人通報制度の即時実現を求めるアピール」を採択しました。
 宇都宮健児会長は、開会にあたって「隣の韓国も批准している。G8参加国では日本だけ批准していない。民主党のマニュフェストに掲げられたが、まだ残念ながら実現していない。市民と一緒になって実現する運動を強力に進めていきたい」と挨拶しました。
 山花郁夫外務大臣政務官は個人通報制度批准の意義2点を指摘した上で「昨日江田法務大臣と懇談した。主たる所掌は、外務省と法務省で、何とか進めていこう。いつまでにという報告をできるに至っていないが、スケジュール感が見えるような形にしていきたい」と挨拶。
 江田五月法務大臣は、メッセージを寄せ「人権分野においてより一層国を開き国際世論と向き合っていくことも我が国にとって貴重な取り組みであると考えています。個人通報制度は民主党のマニュフェストで国民の皆様に実現をお約束している課題であり法務省においても通報事案への具体的対応の在り方や体制整備等のあり方について検討を行っているところです。この制度を導入することによって国内的には人権尊重の意識がより醸成されるとともに、国際的に日本が人権の尊重に積極的であると発信していくと考えます。今後外務省と関係省庁とも連携しながら導入に向けて具体的な検討を進めてまいります。」と表明しました。
 人権問題を市民と考える議員連盟幹事長の牧野聖修衆議院議員も駆けつけ、全国会議員に本集会への参加を呼び掛けた事を報告し、さらに力を合わせて即時批准に向けてがんばる決意を表明され、社民党党首福島みずほ参議院議員も挨拶。
 日本共産党仁比聡平元参議院議員は「(個人通報制度をマニュフェストに掲げた民主党が)人権保障の分野でも国民の期待を裏切っているのは大変罪深いのではないか。何としても(即時批准を)後押しをしたい」と発言し、民主党中谷大輔衆議院議員は、「事件当事者から貴重な話をきくことができ国を開くグローバルスタンダードにかなうもの」と発言。
 メッセージで、公明党山口那津男参議院議員は「国連人権理事国である我が国としてふさわしくない」と批判。民主党辻めぐむ衆議院議員は、「マニュフェストに批准を約束した 政権獲得後速やかに批准する法務部門 働きかけを強めていく」、社民党服部良一衆議院議員も、今日もなお批准されていないことは残念であるとして「今後政府に働きかけを強めていく」との表明が代読されました。
 集会では、ビラ配布行為を犯罪として取り締まった公選法弾圧大石市議事件、住友電工男女賃金差別事件、日本人がオースロラリアで初めて個人通報制度を利用した「メルボルン事件」での各事件の人権侵害の実態を、被害者本人と弁護士が報告しました。
◆ 「公選法弾圧大石市議事件」の元被告で、日本共産党の大石忠昭大分県豊後高田市議は、2003年の選挙後に不当逮捕され、人権蹂躙の脅迫的な取り調べを受けたことを報告し、「ぜひ個人通報制度を実現したい。公選法の戸別訪問禁止や文書配布の制限を撤廃させましょう」と訴えました。
 同事件の河野善一郎弁護士は、憲法の人権保障とともに、『自由権規約の人権保障を主張して裁判をたたかった。個人通報制度が実現していたら、救済の勧告を得られ、裁判所も正面から人権規約と向き合う姿勢に変化するだろう」と発言しました。
◆ 住友電工男女賃金差別事件の原告の西村かつみさんは「ひどい判決を覆したいと、女性の差別を国連で訴えた。国連から日本政府へ勧告が出され、高裁が和解勧告を出し勝利和解ができた。個人通報制度ができれば司法も政府も人権を配慮せざるをえなくなる」と発言。
行動提起を、菅充行 日弁連自由権規約個人通報制度実現委員会委員長が、下記のとおり行いました。最後に、集会アピールを読み上げ、満場の大きな拍手で採択され、日弁連栃木敏明副会長が閉会挨拶をして閉会しました。
「メルボルン事件」とは? ~日本人が唯一『自由権規約』審査を経験した事件~
 著名な事件だが、具体的な経過や問題点を当事者(本多千香氏)と弁護士(田中俊弁護団事務局長)、武村二三夫 日弁連自由権規約個人通報制度等実現委員会副委員長に、中西敬委員がインタヴューを行い、メルボルン事件の経過を通じて、個人通報制度と活用方法、その効力について説明しました。
△ 事件概要:海外旅行中に、国際麻薬犯罪に巻き込まれ、オーストラリアで懲役20年前後の刑が確定してしまった5人の日本人が、個人通報制度への申立てを契機として、刑期が半分ほどに短縮されたものの、9年間もの投獄の後に解放された重大な外国での冤罪事件(1992~2006)。
△ 事件の重要なポイント:①豪州は「選択議定書」を批准していた。②豪州は取り調べの「全面可視化」とビデオ録画を当然のこととして行っていた。そこで日本の弁護団は全ての記録を入手し、大学研究室の手助けを借りながら厖大なビデオの翻訳と申立書面を作成して、国連に通報することが可能だった。
△ 結論が出るまで8年かかったものの、申立が受理されてまもなく日本人被害者は解放され、実質的にはそこで解決(「通訳の不備」の主張は、国内的救済手段を尽くしていない条項に触れて却下された)した。
 これも相手国が選択議定書批准国だったからこそできたこと。(逆のケース:豪州人が日本国で冤罪被害を受けた場合にはあり得なかった。)
 以上、3件の報告と、挨拶や・メッセージを受けて、日弁連の菅充行自由権規約個人通報制度実現委員会委員長が、下記のとおり行動提起を行い、最後に、集会アピール(全文掲載 http://blogs.yahoo.co.jp/jrfs20040729/folder/618393.html )を読み上げられ満場の大きな拍手で採択され、日弁連栃木敏明副会長が閉会挨拶をして閉会しました。
≪行動提起≫:菅 充行 自由権規約個人通報制度実現委員会 委員長
 大石事件や住友電工男女賃金差別事件の報告から、人権条約は重要な役割を果たしており、憲法だけでは十分ではないということが明らかになった。また、メルボルン事件の当事者の話を通じて、個人通報制度の存在が国際人権条約・人権保障のより十分なより完全な補償を実現するために、非常に有益なものであるということも明らかにされた。
 国際人権条約による人権保障によって、国内の人権状況が改善されることは言うまでもなく、このことは我が国日本だけではなく世界各国共通のこと。
 それぞれの国の憲法とか国内法とかだけでは十分ではないので国際的に人権状況を監視していこうということから国際人権の制度・枠組みができてきた。
 そのためには、我が国も、わが国だけでなく諸外国の人権状況も改善されるように、経済先進国にふさわしい役割をはたして行かなくてはならないはずだが、残念ながら自由権規約の個人通報制度については世界で百十数か国が、女性差別撤廃条約でも多くの国々が批准している中で、我が国はいずれの個人通報制度も批准しておらず、非常に腰の引けた状態である。
 日本も、国際的な人権状況の中で指導的な役割を果たしていかなくてはならない。そういう観点からも、個人通報制度の早期実現が喫緊の課題である。
 政府は、『国内の受け入れ態勢の整備が必要である』と答弁してきているが、個人通報制度を実現している諸外国においても取り立てて何らかの法整備を設けている国は皆無といっていい状態である。(どの国も)みなさんいきなり制度を導入して、勧告に従って、自国の人権状況を改善しているのが実情。
 この個人通報制度による通報(件数)は、お隣の韓国の場合、20数年前から個人通報制度を導入しているが、最近、”良心的兵役拒否”で100件くらいの通報があが、これは我が国にはちょっと当てはまらない現象で、20年で20件ほどということで、わが国も毎年何百件という通報というのはちょっと考えられない。
 政府としては、国家賠償訴訟などに、いくらか負担が加わるくらいとしか考えられない状況であり、いまさら、ことさら準備が必要であるとか、考えられない
 ですから、ぜひ今日お集まりのみなさんがそれぞれのお立場に帰られて、個人通報制度の重要性を声を大にして皆さんのお力で一刻も早く我が国も個人通報制度が導入せれるように我々とともに頑張っていただきたい。
『今 言論・表現の自由があぶない!』(2011/2/28)
http://blogs.yahoo.co.jp/jrfs20040729/19299317.html

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