予防訴訟をひきつぐ会通信《いまこそ》から
◎ 2013年9月一連の最高裁判決・原告の感想
〈9月5日第1小法廷判決〉
◎ 最高裁またもや不当判決
最高裁はまたもや正面からの憲法判断は避け、裁量権の範囲での判決でお茶を濁しました。国策を擁護し行政に追随する判決は、司法の死を意味しています。
ただこんな中でも牧野さん岸田さんの累積加重処分が取り消されたのは喜ばしいことです。しかし全員の戒告および根津さんの累積加重処分、米山さんの非常勤教員採用取り消しをそのまま是認していることは許せません。
特に根津さんの処分が取り消されていないことからも、最高裁判決が累積加重処分を認める余地を残してあることに警戒しなければならないと思います。
まだ岸田さんの裁判が残っているので皆さんのご支援をお願いします。
〈9月5日第1小法廷判決〉
◎ 旭川学テ判決の後退と「異国民」
都教委は「日の丸・君が代」の教育方法(一律起立・斉唱・伴奏)を決定、命令させた。そして、最高裁は教育内容(儀礼的所作・敬意の表明)を判じて教育介入を是認した。実質的な教育の自由侵害を容認したのは明らかである。
ところで、敬意の表明を拒否する者の存在を認めざるを得なかった最高裁は、不起立・不斉唱・不伴奏者=「異国民」(異質・異端・異様な日本人)に対し処分是認しつつ処分量定において裁量権逸脱濫用を適用し衝突を緩和した。
〈9月6日第2小法廷判決〉
◎ 大政翼賛を阻止し、人権を守らなければ!
もの言わない教師を多数にした10.23通達は、「治安維持法」です。子どもたちを再び戦場へ送らない、『茶色の朝』を迎えない、『灰色のバスがやって来た』状況を作らないために、第3次・4次(今後)訴訟を支援する。
「間接的」でも憲法19条違反を認め、「教育は自由闊達であるべき」と都教委の政策を批判した最高裁判決を使う運動もしたい。
都教委に、違法を行った責任を認めて被処分者への謝罪を公表し「10.23.通達」・職務命令政策の反省検討協議を公開することを要求したい。
〈9月6日第2小法廷判決〉
◎ 職務命令を合憲とし、「君が代解雇」を是認した最高裁判決弾劾!
今つくづく思うことは、不起立自体が非違行為だと言えず、職務命令違反という服務事故に仕立てて処分していることが、強制する側の決定的な弱点だ、処分覚悟で職責を果たした教育労働者の側に道理があるから、裁判所は「教育の自由」についての憲法判断から逃げ回っているのだということです。合格取消についても、「本件合格取消の相当性については、これを裁量権の範囲内における当不当の問題として論ずる余地がある」としながら、それについての言及が全くありません。法に則って当不当を論ずることを放棄して、裁判だと言えるのかということです。
裁判闘争は道半ばです。これからの裁判で是非風穴を開けてほしい、その意味で私の闘いもまだまだ続くと覚悟しています。
〈9月10日第3小法廷判決〉
◎ 「神話」に乗せられることなく歩む!
これによって、「2名の戒告処分は妥当」「1名の減給処分は取り消すが、損害賠償は認めない」という東京高裁の判決が確定し、7年間にわたる長期の裁判闘争に終止符をうつことになりました。非常に悔しく残念な結果ではありますが、これまで長期間に渡って支援してくださった方々にこの場を借りてお礼申し上げます。
私たちの裁判では、競争原理の元でバラバラにされている人たちを、「日の丸・君が代」「愛国心」という「神話」によって巧妙にまとめようとしている教育行政のやり方をあばいてきました。今、原発を始め、TPP、経済成長、防衛等様々な分野で「神話」が強調され流布されています。これからも私たちは、「神話」に乗せられることなく、地道に歩んでいきます。
<9月10日第3小法廷判決>
◎ 門真三中「君が代」裁判をたたかって
2008年春の卒業式、私は「君が代」斉唱時に着席しました。そして、処分を受けた後、「なぜ着席したのか」ということを裁判で訴え続けてきました。裁判を始めようとした時、まわりからいろんな激励や意見をいただきました。
そんな中にこんな考え方の意見もありました。「負けたら『君が代』強制が正しいことになってしまう」。私は、一瞬「あ、そうか」と思ってしまいました。ところがすぐに次のような意見が聞こえてきました。「東京の人達は、負けても負けても闘い続けている」。私はこの言葉を聞いて、「裁判はやるべきだ」と思いました。
支持者の方から「負けたのはあなたではない。負けたのは裁判官だ」という言葉を戴きました。たくさんの人と出会い、とても心が豊かになる裁判闘争でした。まだ何も終わっていません。皆さんと一緒にこれからも頑張ります。
予防訴訟をひきつぐ会通信『いまこそ No.2』(2013/10/18)
◎ 2013年9月一連の最高裁判決・原告の感想
〈9月5日第1小法廷判決〉
◎ 最高裁またもや不当判決
東京小中「君が代」裁判原告団(東京教組)秋山良一
9月5日10人裁判、6日米山裁判の最高裁判決が立て続けに出されました。結果は残念ながら私たちが求めていたものと程遠いもので、敗訴と言わざるを得ません。最高裁はまたもや正面からの憲法判断は避け、裁量権の範囲での判決でお茶を濁しました。国策を擁護し行政に追随する判決は、司法の死を意味しています。
ただこんな中でも牧野さん岸田さんの累積加重処分が取り消されたのは喜ばしいことです。しかし全員の戒告および根津さんの累積加重処分、米山さんの非常勤教員採用取り消しをそのまま是認していることは許せません。
特に根津さんの処分が取り消されていないことからも、最高裁判決が累積加重処分を認める余地を残してあることに警戒しなければならないと思います。
まだ岸田さんの裁判が残っているので皆さんのご支援をお願いします。
〈9月5日第1小法廷判決〉
◎ 旭川学テ判決の後退と「異国民」
累積加重処分取消裁判原告 近藤順一
2013年9月の判決は教育の自由には直接言及しなかった。ところが職務命令が憲法19条に違反するものでないのは旭川学テ判決(昭和51年5月21日大法廷判決)の「趣旨に徴して明らか」としている。行政の教育内容決定権限(教育統制機能)を認め、教師の教授の自由を認めなかった。都教委は「日の丸・君が代」の教育方法(一律起立・斉唱・伴奏)を決定、命令させた。そして、最高裁は教育内容(儀礼的所作・敬意の表明)を判じて教育介入を是認した。実質的な教育の自由侵害を容認したのは明らかである。
ところで、敬意の表明を拒否する者の存在を認めざるを得なかった最高裁は、不起立・不斉唱・不伴奏者=「異国民」(異質・異端・異様な日本人)に対し処分是認しつつ処分量定において裁量権逸脱濫用を適用し衝突を緩和した。
〈9月6日第2小法廷判決〉
◎ 大政翼賛を阻止し、人権を守らなければ!
東京「君が代」裁判二次訴訟原告 減給処分取消 石川美紀子
最高裁が減給・停職処分を再度取消したこと、新任の鬼丸裁判官が補足意見をつけたことに少しの嬉しさを感じる。しかし、最高裁は「立憲主義破棄へ」「戦争する国へ」なによりも「体制翼賛」の現状認識が甘すぎる。もの言わない教師を多数にした10.23通達は、「治安維持法」です。子どもたちを再び戦場へ送らない、『茶色の朝』を迎えない、『灰色のバスがやって来た』状況を作らないために、第3次・4次(今後)訴訟を支援する。
「間接的」でも憲法19条違反を認め、「教育は自由闊達であるべき」と都教委の政策を批判した最高裁判決を使う運動もしたい。
都教委に、違法を行った責任を認めて被処分者への謝罪を公表し「10.23.通達」・職務命令政策の反省検討協議を公開することを要求したい。
〈9月6日第2小法廷判決〉
◎ 職務命令を合憲とし、「君が代解雇」を是認した最高裁判決弾劾!
08年処分取消請求・非常勤教員合格取消撤回訴訟 原告 米山良江
9月6日、最高裁第二小法廷は、2008年3月の不起立処分に対して、上告を棄却する反動判決を出しました。私の場合の重要な争点は、定年退職後の仕事を取り上げるのは都教委の裁量権の逸脱であり、合格取消は不当な解雇だという点です。今つくづく思うことは、不起立自体が非違行為だと言えず、職務命令違反という服務事故に仕立てて処分していることが、強制する側の決定的な弱点だ、処分覚悟で職責を果たした教育労働者の側に道理があるから、裁判所は「教育の自由」についての憲法判断から逃げ回っているのだということです。合格取消についても、「本件合格取消の相当性については、これを裁量権の範囲内における当不当の問題として論ずる余地がある」としながら、それについての言及が全くありません。法に則って当不当を論ずることを放棄して、裁判だと言えるのかということです。
裁判闘争は道半ばです。これからの裁判で是非風穴を開けてほしい、その意味で私の闘いもまだまだ続くと覚悟しています。
〈9月10日第3小法廷判決〉
◎ 「神話」に乗せられることなく歩む!
東京都障害児学校労働組合
9月10日、最高裁判所は東京都障害児学校労働組合(都障労組)として支援してきた、「君が代」斉唱時不起立による処分の撤回を求めた3人の被処分者に対して、「上告棄却」の判決を言い渡しました。これによって、「2名の戒告処分は妥当」「1名の減給処分は取り消すが、損害賠償は認めない」という東京高裁の判決が確定し、7年間にわたる長期の裁判闘争に終止符をうつことになりました。非常に悔しく残念な結果ではありますが、これまで長期間に渡って支援してくださった方々にこの場を借りてお礼申し上げます。
私たちの裁判では、競争原理の元でバラバラにされている人たちを、「日の丸・君が代」「愛国心」という「神話」によって巧妙にまとめようとしている教育行政のやり方をあばいてきました。今、原発を始め、TPP、経済成長、防衛等様々な分野で「神話」が強調され流布されています。これからも私たちは、「神話」に乗せられることなく、地道に歩んでいきます。
<9月10日第3小法廷判決>
◎ 門真三中「君が代」裁判をたたかって
原告 川ロ精吾
裁判結果を、「朝日」の朝刊記事で知りました。9月10日、最高裁は、上告を棄却しました。判決文には「教員に対する本件指導が憲法19条に違反するものではない」と書かれてありました。2008年春の卒業式、私は「君が代」斉唱時に着席しました。そして、処分を受けた後、「なぜ着席したのか」ということを裁判で訴え続けてきました。裁判を始めようとした時、まわりからいろんな激励や意見をいただきました。
そんな中にこんな考え方の意見もありました。「負けたら『君が代』強制が正しいことになってしまう」。私は、一瞬「あ、そうか」と思ってしまいました。ところがすぐに次のような意見が聞こえてきました。「東京の人達は、負けても負けても闘い続けている」。私はこの言葉を聞いて、「裁判はやるべきだ」と思いました。
支持者の方から「負けたのはあなたではない。負けたのは裁判官だ」という言葉を戴きました。たくさんの人と出会い、とても心が豊かになる裁判闘争でした。まだ何も終わっていません。皆さんと一緒にこれからも頑張ります。
予防訴訟をひきつぐ会通信『いまこそ No.2』(2013/10/18)
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