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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

かつての「公助」から「自助」「共助」を強調する内閣府の『防災白書』

2019年08月29日 | 平和憲法
 ◆ 防災の日に
   日本社会の根幹が問われている
(週刊新社会【道しるべ】)


 9月1日は「防災の日」だ。今日では関東大震災犠牲者の慰霊とともに、各地で防災訓練が行われている。そこで今日の「防災」行政を検証し、また関東大震災で起きた「朝鮮人虐殺」問題を通じて「フェイク」について考えてみる。
 ◆ 忘れてはならない

 1923年9月1日正午2分前、マグニチュード7・9と推定される関東大地震が南関東、東海地方を襲った。東京、神奈川をはじめ関東近県の死者・行方不明者は約10万5000人。住宅被害では倒壊・焼失約37万3000棟、190万人が被災した。
 首都・国家機能がマヒしたことを教訓に、この日を「防災の日」として全国各地で防災訓練が行われているが、もろ手を挙げて歓迎するわけにはいかない。
 「防災」を口実に自衛隊や米軍の不要な宣伝活動が行われる問題があるからだ。
 関東大震災以降も大きな地震災害があった。1995年1月の阪神・淡路大震災、2011年3月の東日本大震災、これらは脳裏に焼き付いている。
 ◆ 「自助・共助」に

 では、今日の防災行政はどうなっているのか。「災害対策基本法」は1961年に制定された。
 この中に中央防災会議が位置付けられ、現在は内閣府内に置かれている。
 その内閣府が7月に出した『防災白書』は、「自助・共助による事前防災と多様な主体の連携による防災活動の推進」を前面に掲げる。
 かつての「公助」から、今や「自助」「共助」の強調である。

 一方、白書の「年度別防災関係予算」を見ると、「防災・減災」に関する予算は軽視されている
 2兆5300億円の防災関係予算では、科学技術の研究費は約210億円(0・8%)、災害予防費約4144億円(16・3%)で、防災関係予算総額に対する比率は17・1%
 これに国土保全費が約1025億円(4・0%)加わる程度だ。

 これに対し、災害結果に対する復旧援助費は約2兆円(78・8%)だ。政府の「防災・減災」方針は予算には反映されていない。とりわけ、災害弱者への「防災・減災」は、個人と自治体、地域の力に事実上丸投げしているのである。
 ◆ 災害でのフェイク

 関東大震災では、内務省が社会秩序の混乱に乗じて戒厳令を敷いた。
 「混乱に乗じた朝鮮人が凶悪犯罪、暴動などを画策」という「フェイク」を行政が主導し、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」との流言飛語が飛び交い、朝鮮人や中国人、聾唖(ろうあ)者、さらに社会主義者・無政府主義者らが自警団や軍、警察によって虐殺された。その数は、数千人といわれる。
 この悲劇が再び起きることは絶対にない、と断言できないのが今日の状況だ。
 民族差別・排外主義の横行、ネトウヨの跋扈(ばっこ)と権力発のフェイク、マスコミの劣化は深刻だ。
 防災の日に問われるのは、社会の根幹である。

『週刊新社会』(2019年8月27日【道しるべ】)

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