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懲戒処分取消後の再処分は裁量権の乱用:東京地裁西村判決

2018年05月21日 | 暴走する都教委
 ◆ 生徒に「不適切メール」で停職再処分も取り消す判決 (週刊金曜日)
池添徳明・ジャーナリスト

 担任の女子生徒に「不適切」なメールを送ったとして、停職6ヶ月の懲戒処分を受けた都立高校の男性教諭(36歳)が、東京都教育委員会を相手に処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決で、東京地裁の西村康一郎裁判長は4月25日、「停職処分は酷に過ぎ、相当性を欠く」として、処分を取り消した。損害賠償請求については認めなかった。
 判決によると、男性教諭は2011年、女子生徒に「抱きしめたい」など性的表現を含む845通のメールを送った。都教委は2014年7月に教諭を懲戒免職処分としたが、教諭は「親から虐待されていた女子生徒の相談に乗り、高校生活を支えて励ますためのメールだった」と一貫して主張。
 東京地裁は15年に「免職処分は裁量権を逸脱濫用している」として処分を取り消し、東京高裁も16年に一審判決を支持して判決が確定した。
 ところが、都教委は改めて停職6ヶ月の「再処分」を発令したため、教諭は停職処分の取り消しを求めて提訴していた。
 この日の判決は、「いったんは懲戒免職処分を受け、取り消されるまでの間に相当な不利益を受けてきたことや、長期間にわたる研修により相当な精神的負荷を受けてきたことも考慮すると、停職処分は裁量権の濫用に当たるもので違法である」と指摘した。
 免職処分を取り消した東京高裁判決は、女子生徒の窮状を見かねた支援目的だりたことや、生徒が教諭に感謝していることに触れた上で、「処分には女子生徒の気持ちが全く配慮されていない」と都教委を批判したが、この日の判決にはそうした言及はなかった。
 都教委は5月8日までに、判決を不服として控訴した。

 教諭側代理人の加藤文也弁護士は「処分を頻発する都教委の姿勢に歯止めをかける点で、意味のある判決だ」と話している。
『週刊金曜日 1184号』(2018.5.18)

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